ジャーナリストを志す学生諸君は必読だ。本書を読めば、その志をきっぱり捨てられるだろう。
全国紙である毎日新聞の内部崩壊がリアルに描かれている。
現場に行かない、原稿を大切にしない記者。怒鳴るだけの上司。まさに終わっている。そして、いつのまにか周回遅れになっている。
心を病む記者が増えているとい
...続きを読むう。
その理由として著者は、デジタル化の進展による「徹底的な人減らし」とデジタル化で出現した「会話のない職場」(p186)の2点を挙げている。
しかし評者はここでさらに1点を加えたい。
「デジタル化による記者の社会的地位の低下」
である。周回遅れの職種である新聞記者は、もはやリスペクトされる業種ではないどころか、バカにされる側である。将来展望も描けない。やってられるか、である。
新聞記者という職人が消えつつある。それ自体は構わない。ただ、それが民主主義にとって悪い影響がないことを願うばかりだ。