あらすじ
いま、新聞社で何が起きているのか!
デジタル化の大波は新聞社をも襲っている。紙の部数が激減するなか、デジタル版を推進する新聞社の内部で何が起こっているのか。元大手新聞記者が、デジタルファーストで内部崩壊していく新聞社と取材現場の実態を描く! デジタルファーストの号令一下、アクセス数を稼ぐためのネット優先態勢が始まった。記者会見で一心不乱にキーボードを打つだけの記者、現場に行かずSNSと動画で取材をすますだけの記者、記事の中身よりもネット受けを求められる記者……。
速報性と合理化の前に「原稿は足で書け」は死語となったのか。若手育成の場だった支局は記者数が激減し、取材現場の弱体化はとどまるところを知らない。しかし、ネットニュースの大元は紙の新聞記事である。プロの取材力とチェック体制に裏打ちされたニュースこそがネット報道を支えているのだ。取材現場から失われゆくものに警鐘を鳴らし、新聞の底力を訴える書。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
速報性はネットに後塵を拝し、中身の濃さは書籍に劣る。広げにくい大きさに拘り、読まない方を悪者にする。記者クラブという参入障壁を作り、特権意識に染まる。・・負のイメージしかない新聞。発行部数減が取材の現場にしわ寄せる。人員削減。現地に行けない記者たち。質の悪化に拍車がかかる。育たない人材。・・ジャーナリズムの崩壊は国の衰退を招く。「だから新聞は守るべき」という決めつけには同調できない。メディアの形にこだわる必要はない。新聞ができなくなった業界にとって必要なこと、新しきものが引き継ぐ。それが本来あるべき姿。
Posted by ブクログ
ジャーナリストを志す学生諸君は必読だ。本書を読めば、その志をきっぱり捨てられるだろう。
全国紙である毎日新聞の内部崩壊がリアルに描かれている。
現場に行かない、原稿を大切にしない記者。怒鳴るだけの上司。まさに終わっている。そして、いつのまにか周回遅れになっている。
心を病む記者が増えているという。
その理由として著者は、デジタル化の進展による「徹底的な人減らし」とデジタル化で出現した「会話のない職場」(p186)の2点を挙げている。
しかし評者はここでさらに1点を加えたい。
「デジタル化による記者の社会的地位の低下」
である。周回遅れの職種である新聞記者は、もはやリスペクトされる業種ではないどころか、バカにされる側である。将来展望も描けない。やってられるか、である。
新聞記者という職人が消えつつある。それ自体は構わない。ただ、それが民主主義にとって悪い影響がないことを願うばかりだ。