「問題解決」についてBasicな考え方・ステップをまとめたカイゼンのBible。Basicだが、Basicが故にあらゆるカイゼンを行う際に重要な考え方。
大きく、”カイゼン”をつのステップに分けて、それぞれについての考え方を以下のように解説している。
①目標の設定
②問題の明確化
③現状の把握
④真因の分析・特定
⑤対策の立案・実行
⑥成果の「歯止め」(標準化と管理の定着)
⑦横展開
①目標の設定
→問題解決には、
・発生型
・設定型
・ビジョン型
がある。どれも”あるべき姿”からのGapに対する解決目標を設定することには変わりはないが、ざっくり”発生型”は現状ある問題とあるべき姿のGap,”設定型”は現状から”もっと”を追求した際に出てくるあるべき姿とのGap,”ビジョン型”は背景・傾向から見えてくる今後のチャンスや課題に対してのあるべき姿とのGapを見ている。
特にビジョン型に言えることだが、目標設定の際には「何を」「どうしたいのか」の意思が入っていないと、ただのスローガンになってしまう。(健康になる。など)
そうならないためには、目標の具体化、数値化が必要。難しい場合は、それを達成するためのKPIをたてつける。
ポイントは、
①やることを目標にせず、「何を」「いつまでに」「どうするのか」をできるだけ具体的に、数値で表す
②目指している目標よりも、少しストレッチを効かせる。
③抽象的な言葉を使用しない。
④曖昧なジャンルは、達成のために必要なKPIを数値化する。
②問題の明確化
→一番重要なプロセス。ここで間違えると以下全ての意味がなくなる。
問題を明確化する際に考えるべきは、”何が問題であるか?”を考える。
そのためには、下記の点について観察するとより問題が見えてくる。
・悩んでいること、困っていることを一覧化し評価する。
・上位の方針と現場のGapを確認する。
・後工程・カスタマーへ発生させてしまっている迷惑
・”基準”(数値化されることが多い、あくまで基準)との比較
・”標準” (数値がが難しいが、今の現状でベストとされているやり方、条件)との比較
・過去との比較
・他部署、周りとの比較
・カスタマーが困っていること
・汚れのあるところ(ムリ・ムダ・ムラ)
・ムリ、に近いが、急ぎが発生している場所
・想定外のアウトプットが出ているところ
上記を加味した上で、問題はその根拠=数値やデータ/困っている背景/取り組むべき重要性。(やりたいではなくやるべき問題)を必ず持ち合わせるようにする。
そうすることで、取り組むべき問題が明確化され、かつぶか、メンバーとそれを必ず共有することで周りも根拠があり共有されているので納得してついてくる。
ここまでできたら、あとは”緊急度””重要度””拡大傾向”でどの問題に取り組むべきかに優先順位をつけるだけ。
③現状の把握
②で定めた問題をより具体化し、自ら取り組める問題へと落とし込んでいく。
そのためには、
・4W/QCD/4Mなどで、現状抱えている問題点を層別によりブレイクダウンしていく。(特性要因図/パレート図など)
・上記内での、”バラツキ”を探していく。
・見えたデータとバラツキをもとに、「三現主義」を徹底する。
→この際に取り組むべき問題を欲張らない。(大きな問題に取り組もうとするとやることが多すぎるのと、取り組むべき要素としても多すぎて効果的ではなくなるため。)
④真因の分析・特定
真因の特定のためには、正しい問題提起が必要となってくる。
そのためには、まずは、「特性要因図」や、QCD,4Mなどの多様な切り口からの分析が必要となってくる。
その上で、
・5回のなぜ
を行っていく。
具体的には
①問題提起が正しいかの確認(問題が拡散しないか)
・その問題/要因に手を打てば、狙った問題が解決され、成果が継続的に挙げられるか
・もう一度その問題に”なぜ?”を行った際に、拡散しないか?(Ex.)健康になるを問題提起した際に、なぜ健康にならないのか?はかなり多くの要素をはらんでいるため問題提起が拡散する。)
・真因特定後、逆からも流れが成り立つか?
②特定した真因について、「三現主義」で確認
③「三現主義」で確認した情報をもとに発見した新たな情報を、再度なぜなぜ
④最後に必ず問題→真因までのプロセスをメンバーと共有し、同じ方向を向かせる。
⑤対策の立案・実行
①対策の立案
大事なのは、できるだけたくさんの案を立案して考慮すること。
そのためには、下記の点から考えてみると良い。
・排除:それをやめてしまったら?
・正反:それを反対にしたら?
・拡大と縮小:大きくしたり小さくしたりしたら?
・結合と分散:結んだり、分けたりしたら?
・集約と分離:まとめてみたり、分解したりしたら?
・付加と削除:つけたり、取り去ってみたら?
・順序と入れ替え:順番を組み立て直してみたら?
・共通の差異:違った点を活かしてみる
・充足と代替:他に使えるか、逆に他のものに変更したらどうか?
・並行と直列:同時に行ったら?逆に順次行うようしたら?
②対策の選定
・効果
・実現可能性
・コスト・工数(スピード→時間もコスト)
・リスク
・自己成長
上記の観点から、どの対策を行うべきかを評価する
③実施
→実施に当たっては、何がなんでもスピード重視。ゆっくりやっていると確認したいこと以外の環境の変化が発生する。且つ、対策が複数ある場合はその期間に全ての対策を実行しないと目標が達成できないため。
④効果測定
→実施することが目標ではなく、あくまでカイゼンの実現が目標。つまり、狙った効果が出ているかの計測は必須。
効果測定には、
・効果を見る期限の設定
・何で見るかの設定
が必要。じゃないと、どこまでその対策が効果があると認定するのかが曖昧となり、ずるずる行くから。
期間内で効果が出なければ
・真因ではない可能性
・他の対策が求められる可能性
があるため、再度大項目④の「真因の特定」や、②の「問題の明確化」から再スタートを行う。
⑥成果の「歯止め」(標準化と管理の定着)
→成果が出せたら、今度はその歯止めが必要となってくる。
具体的には、
・標準化:いつ、誰がやっても同じ成果が出ること
・管理の定着:標準を管理し、当たり前に標準が守られる仕組み化→継続性の担保
⑦横展開
→⑥までできたら、最後はそれを横展開する。
⑥の歯止め(標準化と管理の定着)ができていると、横展開ができるようになる。
ここまでやることで初めてカイゼンをしたと言える。