杉晴夫の作品一覧
「杉晴夫」の「欧米のオペラ・コンサートから見た歴史の流れ 終焉に向かう古典オペラ」「栄養学を拓いた巨人たち 「病原菌なき難病」征服のドラマ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「杉晴夫」の「欧米のオペラ・コンサートから見た歴史の流れ 終焉に向かう古典オペラ」「栄養学を拓いた巨人たち 「病原菌なき難病」征服のドラマ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
ストレスの概念を確立し広めたのはハンス・セリエ。その出発点となったのは、1936年のたった半ページのNature論文。被験体はラット、著者はセリエひとり。ただ、論文に「ストレス」の文字は出てこない。どうしてそんな実験をしたのかもわからない。私はそれがずっと疑問だった。
本書には、その答えが書いてある。当時の内分泌学の研究の流れのなかに位置づけると、いろんなものが見えてくる(人間関係までも)。なるほど、そういうことだったのか。
著者の専門は筋収縮の生理。「あとがき」によると、定年後、生理学全般の講義をもつことになり、ストレスについても勉強せざるをえなくなったということらしい。
でも、もうひとつ、
Posted by ブクログ
「食物に有毒な物質が含まれていれば病気になることは誰でも容易に理解できるが、食物中にごく微量の物質が欠けていても病気になることを人々に納得させる困難さは、現代のわれわれの想像をはるかに超えるものであった。」
栄養学の成立に至るまでの、関連分野も含めた学者達の苦闘の歴史が綴られている。
ノーベル賞が慎重になったのは、後に誤りと判明した理論に早々と受賞させてしまったケースが続いた事への反省だった、とか、
実践の学問として栄養学を化学から分離独立させようという動きが、世界に先駆けて日本で起こっていた、など、
色々と興味深い話が載っていた。
中でも自説を盲目的に信奉し、証拠が出ても他説を認めなか
Posted by ブクログ
いつも思うことだが人類の科学結果は素っ気ないこともあるが、その発見の歴史はいろいろな紆余曲折があり興味深い。
本書は、栄養学(一部は生化学となるが)の歴史を追いながら、今では当たり前になっていることがどのようにして発見・研究されたかわかる中で、意味づけがわかってくると思う。
内容は、1章が熱関係も含めた自然科学、2章が3大栄養素、3.4章がビタミンの発見史、5章が生化学としてクエン酸回路に至るまでの発見史(著者の専門に近いらしい)、6章が第二次世界大戦後の給食開始などのエピソードである。
試験のためだけだともったいないので、栄養素や仕組みを覚える前に本書のように歴史を知ったうえで学ぶと、
Posted by ブクログ
今では当たり前のように受け入れている科学的な事実が発見される過程が、こんなにドラマチックだったのかと驚かされる。熱力学がいかにして栄養学という果実を宿すのか。ビタミン発見の競争。ビタミンB12が発見されるまで、悪性貧血の患者は生のレバーを毎日500g食べなければならなかった。クレブス回路で有名なクレブスは研究室を追い出された。
栄養学はまだまだ新しい学問で、最初のビタミンが発見されてから来年で100年である。科学的な発見につながるかはともかく、過去を見直すことで、未来がすこしは見えてくるのではなかろうか。
硬いテーマだが、予想以上に面白い本だった。文句なしにお勧め。