【感想・ネタバレ】栄養学を拓いた巨人たち 「病原菌なき難病」征服のドラマのレビュー

あらすじ

ラボアジエ、ボルツマンらの「熱」の研究、エネルギー源論争とアルプス登山実験、マッカラム、ゴールドバーガー、高木兼寛による「病原菌なき難病」征服とビタミンの発見……。そこには探偵小説をしのぐスリルとドラマがある。さらに大戦後の飢えた子どもたちを救ったサムス、最新知識の導入に努めた日野原重明、杉靖三郎ら、わが国の栄養学の「成立秘話」も明かす。(ブルーバックス・2013年4月刊)

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Posted by ブクログ


「食物に有毒な物質が含まれていれば病気になることは誰でも容易に理解できるが、食物中にごく微量の物質が欠けていても病気になることを人々に納得させる困難さは、現代のわれわれの想像をはるかに超えるものであった。」

栄養学の成立に至るまでの、関連分野も含めた学者達の苦闘の歴史が綴られている。
ノーベル賞が慎重になったのは、後に誤りと判明した理論に早々と受賞させてしまったケースが続いた事への反省だった、とか、
実践の学問として栄養学を化学から分離独立させようという動きが、世界に先駆けて日本で起こっていた、など、
色々と興味深い話が載っていた。

中でも自説を盲目的に信奉し、証拠が出ても他説を認めなかったり、意図的に無視したりなど、学者達のある意味人間らしいエピソードが満載で面白かった。


しかし、コッホやパスツールが病原菌を発見し感染症を次々と駆逐していった時代の熱狂は、どれ程のものだったのだろうか。

今では想像するしかないが、それは悪者を特定したという快感だったり、未知の領域を征服していく高揚感、また日本においては周回遅れの日本医学を世界レベルに引き上げたいという焦りも加わって、一大潮流となっていたのだと思う。

脚気細菌説に固執し、日露戦争で多大な犠牲を出す元凶となった森鴎外ら陸軍医官達に著者は厳しい評価を下しているが、彼らを単純に愚かだと嘲笑する気になれないのは、その思考回路に一定のシンパシーを感じてしまうからでもある。

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2019年10月06日

Posted by ブクログ

いつも思うことだが人類の科学結果は素っ気ないこともあるが、その発見の歴史はいろいろな紆余曲折があり興味深い。

本書は、栄養学(一部は生化学となるが)の歴史を追いながら、今では当たり前になっていることがどのようにして発見・研究されたかわかる中で、意味づけがわかってくると思う。

内容は、1章が熱関係も含めた自然科学、2章が3大栄養素、3.4章がビタミンの発見史、5章が生化学としてクエン酸回路に至るまでの発見史(著者の専門に近いらしい)、6章が第二次世界大戦後の給食開始などのエピソードである。

試験のためだけだともったいないので、栄養素や仕組みを覚える前に本書のように歴史を知ったうえで学ぶと、頭に入りやすいのではないかと思った。

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2013年09月17日

Posted by ブクログ

筆者の主観が多く見られるものの、栄養学や生化学といった(実践的要素を含む)学問がいかに形成されてきたかといった歴史は、非常に興味深いものであった。
高校の化学の時間にこういった内容に触れたり、第二次世界大戦を栄養の観点から考察するという機会があればよかったと思う。

あとサムス大佐かっこいいです。

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2013年06月26日

Posted by ブクログ

今では当たり前のように受け入れている科学的な事実が発見される過程が、こんなにドラマチックだったのかと驚かされる。熱力学がいかにして栄養学という果実を宿すのか。ビタミン発見の競争。ビタミンB12が発見されるまで、悪性貧血の患者は生のレバーを毎日500g食べなければならなかった。クレブス回路で有名なクレブスは研究室を追い出された。

栄養学はまだまだ新しい学問で、最初のビタミンが発見されてから来年で100年である。科学的な発見につながるかはともかく、過去を見直すことで、未来がすこしは見えてくるのではなかろうか。

硬いテーマだが、予想以上に面白い本だった。文句なしにお勧め。

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2013年06月13日

Posted by ブクログ

栄養学・生化学についてのお勉強中の息抜きとして。単に「栄養素の○○は○○という機能がある」という覚え方には限界があるので、それぞれが発見された背景をふまえて覚えてみることにした。そうか、解明されるまにでこんな苦労があったのかー。先に発見したのは別の人なのに…科学論文の世界はシビアだなー。な~んて思いながらよんでたら、いつのまにか覚えられた!やはり無理やり頭に入れるだけじゃダメだなぁ、と。たまには変った暗記方法を試してみるのも吉。大学の授業じゃ、さすがに功労者達のバックグラウンドまでは教えてくれないしね。一番印象に残ったのは軍医(栄養学者的な)としての森鴎外の意外な一面です…。

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2013年05月27日

Posted by ブクログ

体内に食物が摂取された後,それがどのような「栄養」となるのか.生体内での化学反応は複雑であり,その流れを解明することは情報の無い時代には至難の業であった.そのような中,活路を見出してきた多くの研究者の重要な研究内容が紹介されている.

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2013年07月08日

Posted by ブクログ

・熱力学のお話からスタートのはちょっと意外だった。生物は熱を運動に変換する機関と言えるのだから、熱力学は大事なんだね。
・ビタミン、ミネラルを摂取すべき量は、人によって異なる。1対100以上の差がある。
・ミトコンドリアの中で起きているATP生成のプロセスを明らかにした研究は分子の動きまでとらえているという点で、すばらしいと思った。。
・筆者は、現在の栄養学は動物実験を中心に行われているため人間不在と批判したり、ノックアウトマウスを投機的な研究と指摘しているところは、

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2013年05月21日

Posted by ブクログ

栄養学といわれても、知らない身からするとどこからどこまでがその範囲なのかイメージがわかない。
本書を読むことで、おぼろげながら「栄養学」とよばれる学問範囲がなんとなく把握できる。
入門書としては良かったような気がする。

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2013年08月14日

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