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Posted by ブクログ
「食物に有毒な物質が含まれていれば病気になることは誰でも容易に理解できるが、食物中にごく微量の物質が欠けていても病気になることを人々に納得させる困難さは、現代のわれわれの想像をはるかに超えるものであった。」
栄養学の成立に至るまでの、関連分野も含めた学者達の苦闘の歴史が綴られている。
ノーベル賞が慎重になったのは、後に誤りと判明した理論に早々と受賞させてしまったケースが続いた事への反省だった、とか、
実践の学問として栄養学を化学から分離独立させようという動きが、世界に先駆けて日本で起こっていた、など、
色々と興味深い話が載っていた。
中でも自説を盲目的に信奉し、証拠が出ても他説を認めなかったり、意図的に無視したりなど、学者達のある意味人間らしいエピソードが満載で面白かった。
しかし、コッホやパスツールが病原菌を発見し感染症を次々と駆逐していった時代の熱狂は、どれ程のものだったのだろうか。
今では想像するしかないが、それは悪者を特定したという快感だったり、未知の領域を征服していく高揚感、また日本においては周回遅れの日本医学を世界レベルに引き上げたいという焦りも加わって、一大潮流となっていたのだと思う。
脚気細菌説に固執し、日露戦争で多大な犠牲を出す元凶となった森鴎外ら陸軍医官達に著者は厳しい評価を下しているが、彼らを単純に愚かだと嘲笑する気になれないのは、その思考回路に一定のシンパシーを感じてしまうからでもある。
Posted by ブクログ
いつも思うことだが人類の科学結果は素っ気ないこともあるが、その発見の歴史はいろいろな紆余曲折があり興味深い。
本書は、栄養学(一部は生化学となるが)の歴史を追いながら、今では当たり前になっていることがどのようにして発見・研究されたかわかる中で、意味づけがわかってくると思う。
内容は、1章が熱関係も含めた自然科学、2章が3大栄養素、3.4章がビタミンの発見史、5章が生化学としてクエン酸回路に至るまでの発見史(著者の専門に近いらしい)、6章が第二次世界大戦後の給食開始などのエピソードである。
試験のためだけだともったいないので、栄養素や仕組みを覚える前に本書のように歴史を知ったうえで学ぶと、頭に入りやすいのではないかと思った。
Posted by ブクログ
今では当たり前のように受け入れている科学的な事実が発見される過程が、こんなにドラマチックだったのかと驚かされる。熱力学がいかにして栄養学という果実を宿すのか。ビタミン発見の競争。ビタミンB12が発見されるまで、悪性貧血の患者は生のレバーを毎日500g食べなければならなかった。クレブス回路で有名なクレブスは研究室を追い出された。
栄養学はまだまだ新しい学問で、最初のビタミンが発見されてから来年で100年である。科学的な発見につながるかはともかく、過去を見直すことで、未来がすこしは見えてくるのではなかろうか。
硬いテーマだが、予想以上に面白い本だった。文句なしにお勧め。
Posted by ブクログ
栄養学・生化学についてのお勉強中の息抜きとして。単に「栄養素の○○は○○という機能がある」という覚え方には限界があるので、それぞれが発見された背景をふまえて覚えてみることにした。そうか、解明されるまにでこんな苦労があったのかー。先に発見したのは別の人なのに…科学論文の世界はシビアだなー。な~んて思いながらよんでたら、いつのまにか覚えられた!やはり無理やり頭に入れるだけじゃダメだなぁ、と。たまには変った暗記方法を試してみるのも吉。大学の授業じゃ、さすがに功労者達のバックグラウンドまでは教えてくれないしね。一番印象に残ったのは軍医(栄養学者的な)としての森鴎外の意外な一面です…。
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