内山節の作品一覧
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
著者は書く。
自分とは何者なのかを一人自分自身のなかで探そうとしたのが1970年代の動きであったとすれば、今日(1990年前後)のそれは確かな関係を築くことによって、その関係の中にいる自己を目にみえるかたちでつくりだそうとしている。〜中略〜近代の歴史は、一面では、人間の生から直接的な関係性を喪失させていく歴史であった。自然と人間との直接的な結びつき、地域社会や労働集団のなかでの、そして生産者と消費者の間での、人間と人間との直接的なつながり、そういったものが希薄になり、かわって経済システムや社会システムが私たちの生をとりしきるようになった。いつの間にか私たちは、社会システムの前に立たされた裸の個人に、直接的な関係性を失って自分とは何者なのかさえわからない不安な個人になっていた。今日、直接的な関係、確かな関係を築くことによって、新しい自己をつくりだしていこうとする試みは、近代史のなかで失っていった人間直接的な関係の世界を回復しようとする思想のあらわれなのではないか。日本の戦後思想は、ようやく西欧思想の翻訳の段階を超えはじめたように思える、と。
戦後という時代を誠実に生き、自らの頭で思索することを貫いてきた著者の言葉は、身に染みる。