横田増生の作品一覧
「横田増生」の「仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン」「潜入取材、全手法 調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
2020年の米大統領選挙でトランプ陣営に入り込み、選挙活動を手伝いながら様々な人にインタビューをした著者によるルポタージュ。
結構ページ数がありましたが、新書にしては文字も大きめで、文章も易しいので読みやすい。米イスラエルによるイラン攻撃によってトランプ大統領の挙動に注目が集まっている今だからこそ、本書を通して彼のことをザックリと知ることが出来て良かったです。
2020年前後にトランプ大統領がどんな言動をしてきて、そしてその言動に影響を受けた支持者たちはどんな考えをしているのか。それらを知ることで、トランプ現象やアメリカで起こっている分断の背景が以前よりはなんとなく掴めたように思います。
トランプ大統領といえば虚言がすごいという印象が元々ありましたが、その数や内容が予想を遥かに上回ってとんでもないことを遅ればせながら本書で知り、唖然としました……。連邦議事堂襲撃に至るまでの流れについてもしっかりとは知らなかったので、どういった経緯であんなことになったのかを知るキッカケになったのも良かったです。デマを信じる人が集団化して暴走した時の手の付けられなさにゾッとし、筆者が「アメリカの民主主義が死んだ」という文言でその状況を表現したのは決して大袈裟ではないと感じます…。
そして「嘘も100回言えば真実になる」を体現したような政治家であるトランプ氏と、彼によって引っ掻き回される人や社会というのは、今の日本の政治にも重なる部分が多いにありました。デマが蔓延して選挙や政治に大きな影響を与えるようになっている日本にとっては、かなり身につまされる話であり、米国のこれらの事象は対岸の火事ではなく、既にその火の手が日本にも回っているような状況にあるのだと暗い気持ちになります。
世界情勢だけでなく日本の政治を考える上でも、アメリカやトランプ政権について知ろうとすることは非常に重要なのだと改めて痛感させられたので、本書をきっかけに他の本や今後のニュースを読むということを続けていきたいと思います。
Posted by ブクログ
トランプ大統領やその支持者の心情を理解したいと思い、本書を手に取った。はじめは、彼らがなぜ容易に事実と異なる情報を信じ、トランプ大統領を支持するのか不思議でならなかった。しかし読み進めるうちに、そうせざるを得ない背景が見えてきた。
アメリカには、社会からの支配や疎外を感じ、自分は尊重されていないという思いを抱く人々がいる。不安や不満の原因を、メディアや移民、エリートにあると明確に言語化したのがトランプ大統領であった。彼らは、満たされない思いが受け止められたと感じ、共通の敵をもつことで強い帰属意識を抱く。しかし、違いを排除する方向へ進むその先にあるのは、社会の分断である。
これはアメリカに限ったことではない。巻末には斎藤知事支持者のルポがあり、日本でも同様の現象が起きていることが示されていた。私が怖いと感じたのは、支持者そのものではなく、不安や不満が単純な敵へと向けられ、それが社会の大きな流れとなっていくことである。違いを排除する言説が広がる社会の行方に、強い危機感を覚えた。
Posted by ブクログ
トランプ大統領2期目からからはや一年を迎えようとしている。目に余る暴君ぶりはメディアの伝え知るところではあるのに、なぜそもそも再選できたのか。本書に拠ると「真実の誇張」という原体験が浮かび上がる。
トランプの集会における発言には多くの嘘が紛れているのは、ファクトチェックから明らかである。が、つき続ける嘘は人びとに認識の揺らぎをもたらし、ファクトと嘘の境界線をあいまいにする。(本書P368参照)
その嘘と陰謀論に誘蛾灯におびき寄せられるように集まるトランプ信者たちという構図。著者のインタビューからは、信者たちのすさまじい狂信の様を感じる。圧倒的なカリスマ性に魅せられてその他の情報を遮断する、一種のマインド・コントロールのような状態である。
2020年の大統領選の不正選挙騒動と翌年の連邦議事堂襲撃事件に至る経過は鬼気迫るものがある。当時日々のニュースの一つとして受け入れていたが、ここまで破滅的な事件だったとは。これを読むと、益々トランプ大統領再選の現世界線がフィクションのように現実離れしてると感じるのである。
個人的な教訓は、トランプ信者のような現象が存在していることをまっすぐ認め知ろうとする姿勢が大切さである。全くの拒絶では知りえない世界があるし、違う角度で自分も同じ境遇に陥る可能性を胸に刻んでおきたい。良い悪いの二元論でどちらかに依拠するのではなく、多角的に世界を学ぶことで今より良いものを目指す、そういった心持ちでありたい。