横田増生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
トランプ大統領2期目からからはや一年を迎えようとしている。目に余る暴君ぶりはメディアの伝え知るところではあるのに、なぜそもそも再選できたのか。本書に拠ると「真実の誇張」という原体験が浮かび上がる。
トランプの集会における発言には多くの嘘が紛れているのは、ファクトチェックから明らかである。が、つき続ける嘘は人びとに認識の揺らぎをもたらし、ファクトと嘘の境界線をあいまいにする。(本書P368参照)
その嘘と陰謀論に誘蛾灯におびき寄せられるように集まるトランプ信者たちという構図。著者のインタビューからは、信者たちのすさまじい狂信の様を感じる。圧倒的なカリスマ性に魅せられてその他の情報を遮断する、一 -
購入済み
ユニクロ本はまずはここから
まずは著者の執念の潜入取材に感謝です
その上で内容の解像度が高く非常に読み応えがありました
2024年に発売されたユニクロ礼賛をそのまま本にした「ユニクロ」をベタ褒めする方は、こちらの書籍も読んだ上で、ユニクロという会社と経営者の事を立体的に理解されると良いのではないかと思いました -
Posted by ブクログ
素晴らしい調査報道。前著を引き継ぐ形で名前まで変えてユニクロにアルバイトとして潜入した記録。東南アジアの工場への対応もH&Mなんかとは正反対でユニクロの体質がよくわかる。まあ結局は柳井市の好きにすればいいんだけどさ、みっともないところ多いなあと思うよ。とにかくユニクロでバイトはするなと若者には伝えたい。最近賃上げの話題が世を賑わせているけども、それよりも非正規雇用の割合減らしたりした方が良いのでは?この著者の取材における姿勢はとても好感が持てた。とても面白かった。「今日やる仕事を今日やるのは作業。明日やる仕事を今日やるのが仕事である。」と、柳井正は言った。バーカそんなこと言って搾取しよ
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Posted by ブクログ
ユニクロの安さの裏には働く人の犠牲があることを、感じてはいたが見ないようにしていた。
安さで商品を買うのはやめよう。自分の子供を働かせたくない、と思う会社の商品は買わないようにしよう。では、どの企業がいいのか、、、。実際、私が働く会社もユニクロと似たトップダウンの会社で社長はキレる、怒鳴る、人の話を聞かない。現場は数字がすべてで、私は会話が通じなくて苦痛。そういう会社がほとんどでは。
大きな会社になるほど、人間が数字になるのかな?
株式会社ではなく、ワーカーズコレクティブとか、NPOとか、小さな集団で働く形態に目を向けるべき時代なのかも 98 -
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ネタバレユニクロ帝国の光と影 (文春文庫) 文庫 – 2013/12/4
5章、6章のユニクロで働くということは必見
2012年8月19日記述
横田増生さんによるユニクロ=柳井正を分析した本。
国内で働くユニクロ社員や中国の工場で働く出稼ぎ労働者へのインタビューも掲載されており勉強になる。
中国の出稼ぎ工はユニクロというブランドを知らないのには少々ショックだった。(ユニクロ以外に製作しているブランドも知らないのかもしれないが。そもそも沿岸部の中間層以上とは所得が違う・・・)
いわゆる企業へのおべんちゃら本とは違う取材に基づいた仮設と事実の検証がなされており良い。
4章で明かされる柳井正の地元山 -
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確か、どこどで内田樹さんがお勧めされていて、それを見て気になっていた作品。文庫化に伴い入手。付録の年表を、ただ追いかけるだけみたいな内容だったらガッカリなんだけど、興味を惹きやすいように時系列を整理されていたり、インタビューなんかも入れ込まれたりで、飽きずに読み通せるようになっている。感想としては、ユニクロ帝国の中に、今の日本政治の縮図を見た気がする。特に、株主総会における筆者と柳井さんのやり取りって、新聞記者における望月記者と”ス”のやり取りにそっくり。知る権利が尊重されることはなく、一方的に質問が断ち切られるところなんて、まるでデジャヴのよう。他の総会参加者が、もっと本作者に追随すれば良い
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Posted by ブクログ
ユニクロなどに社員やアルバイトとして潜入して現状を取材する方法を得意とする著者が、2020年のアメリカ大統領選挙でトランプ支持者として選挙運動に潜入し、トランプ支持者の実像に迫るノンフィクション。
日本の常識で眺めていると、なんでトランプみたいな極端な人物が大統領として選出されるのかイマイチ腑に落ちません。著者は約1年間アメリカに居住し、トランプの選挙ボランティアとして登録して、その選挙活動に参加し、トランプ支持者の姿を追います。
本書にもあるようにトランプ支持者=トランプ信者 という構図ではない事が分かります。大統領選挙が盗まれた(不正があったのでバイデンが勝利した)、ディープステートから国 -
Posted by ブクログ
タイトルこそ「全手法」とハウツーもののようだが、中身は潜入記者である筆者の体験記である。既に筆者の著書を読んでいる場合は、どのようにして作品が出来上がったかを知ることができ、読んでいなかった場合は、筆者の努力と苦労を知った後でその作品を読むことができる。
筆者は、「記事」にするために最低賃金に近い給料で大変な仕事をしていたが、そもそも記者でもなくそんな仕事についている人は、この本を読んで自分の仕事を客観的に見る視点を育てることができる。それで自分を知ることができれば、本書は一種の自己啓発本にすらなるのではないか。
おそらく筆者の意図とは違うだろうが、仕事に向かう気持ちが少し変わり楽になる一冊だ -
Posted by ブクログ
「潜入取材」の手法によって数々のノンフィクションを世に出してきた著者が、自分自身が「潜入取材」に着手するようになった来歴も含めて、あますところなく、その調査の手の内を詳らかにしてくれている本。
いかなる調査道具を用い、どのようなタイミングで、どのように記録を用いるのかといった、調査の具体を明らかにするだけでなく、なぜそのような調査道具・調査方法が選ばれた(選ばれざるを得なかった)のか、それを行うことの正当性はいかに説明しうるのか、といった点が記載されており、調査報道のための一つの取材手法として「潜入取材」という手法について考えていくことができる。