作品一覧

  • ジャンヌ・ダルク 超異端の聖女
    5.0
    1巻1,045円 (税込)
    痛快で、やがて悲しい――。ジャンヌ・ダルクの生涯を一言であらわすならば、このようになるでしょうか。時は15世紀、英仏100年戦争の末期。フランスを二分する未曾有の国難のなか、パリを追われた失意の国王シャルル7世のもとに彗星のごとくあらわれたのが、ジャンヌ・ダルクです。甲冑を身にまとい馬上の人となった彼女は破竹の勢いで敵方を打ち破り、またたくまにシャルル7世をランスでの戴冠に導きます。しかし華々しい栄光もつかの間、ジャンヌはイギリス軍に引き渡され、異端者として生きたまま火あぶりにされてしまうのです。「声」に導かれるまま生まれ育った村を旅立ったのが16歳、火刑台に立たされたときには19歳でした。本書は、100年戦争の政治的背景から、中世におけるお告げや聖女の系譜など、彼女が生きた当時の世界を浮かび上がらせることで、ジャンヌ・ダルクの全体像をあざやかに、しかも親しみやすい筆致で描きだします。名もない羊飼いの娘だったジャンヌを突き動かした「声」、ついにはシャルル七世をも動かし、フランスを熱狂させたものとは、いったい何だったのでしょうか。カトリックの聖人は数多くいますが、異端者として火刑にまでなりながら、500年後に聖女として認定されたのは彼女だけです。「普通の女の子」が国を救い、国家意識を創ることを可能にしたヨーロッパ中世とは、そして彼女を「守護聖女」として今なお現役で生かしているフランス人の心性とはいったいどのようなものなのでしょうか。異端にして聖女、華やかで苛烈なジャンヌ・ダルクの世界に、あなたも飛び込んでみませんか?(原本:講談社現代新書、一九九七年)【本書の内容】プロローグ序 章 ジャンヌ・ダルクとはだれか第1章 ジャンヌ・ダルクの先駆者たち――カリスマと聖女第2章 神の「声」を聞いた少女第3章 中世の政治と宗教――少女戦士はいかにして誕生したか第4章 戦場の乙女第5章 ジャンヌの最期/エピローグ/あとがき/学術文庫版あとがき/おもな参考文献
  • 神と金と革命がつくった世界史 キリスト教と共産主義の危険な関係
    5.0
    1巻2,970円 (税込)
    「普遍」を標榜する神と金と革命思想は理想を追求する過程で共闘と排斥を繰り返した。壮大な歴史から3すくみのメカニズムを解明する 第一章 キリスト教の神と金 一 自然法思想と神 二 神から金へ コラム この世の富の意味  第二章 神と革命 一 ロシア革命とキリスト教 二 ラテン・アメリカでの共闘 三 ヨーロッパの場合 四 神の生き延び方 コラム 革命から神へそして金へ  第三章 三位一体 一 シャルル・ペギー 二 エリック・サティ 三 岡本公三の場合 四 ガイヨー司教 第四章 近代日本の革命とキリスト教 一 近代日本とキリスト教 二 近代日本と社会主義 三 明治日本と信教の自由 コラム 日本的無宗教の裏事情  第五章 東アジアの神と革命 一 孔教論争 二 朝鮮半島と孔教  終章 仮置きの神
  • キリスト教入門
    値引きあり
    4.3
    キリスト教抜きに世界のスタンダードは理解できない! 旧約・新約聖書を丁寧に解説、「救世主」「アダムとイヴ」「三位一体」「クリスマスツリーと十字架」「原理主義」「進歩主義とグローバリゼーション」などのキーワード/トピックから、キリスト教理解を立体的に組み上げる。信仰生活のリアル、各宗派とのかかわり方など、実践的なガイドも盛り込んだ、非キリスト教文化圏に住まう「普通の日本人」のための最良の入門書! 混迷の時代、普遍宗教が示す未来とは? [目次] はじめに 教養としてのキリスト教 キリスト教を読む キーワードで考えるキリスト教 三次元で読むキリスト教 知の道具箱 おわりに 学術文庫版へのあとがき
  • 聖女の条件 万能の聖母マリアと不可能の聖女リタ
    4.0
    1巻2,420円 (税込)
    聖女はなぜ求められるのか? マリアと弱者の救済として注目されるリタを基軸にジャンヌ・ダルク、マザー・テレサなど古今東西の聖女の生涯と奇跡また受容の変遷から聖女の実像を解明する。
  • キリスト教は「宗教」ではない 自由・平等・博愛の起源と普遍化への系譜
    4.0
    本来、「生き方マニュアル」として誕生した教えから、受難と復活という特殊性を通して「信仰」が生まれた。 「宗教」として制度化したことで成熟し、広く世界に普及する一方で、様々な思惑が入り乱れ、闘争と過ちを繰り返すことにもなった。 本書は、南米や東洋での普及やその影響を通じて、ヨーロッパ世界が相対化され、近代に向かう中で、「本来の教え」が普遍主義理念に昇華するまでの過程を、激動の世界史から解読する。
  • トリコロールと日の丸「親日」フランスの謎を解く
    4.0
    1巻1,782円 (税込)
    滞仏50年近くにおよぶ知仏家の著者が、なぜフランス人はこれほど日本好きなのか。これまでほとんど指摘されることのなかった文化の深層へ切り込んでその本質を語ります。 本書の最大の特徴は、なぜ、いつからフランスは「親日」になったのか、一般的に知られている解釈とは違う理由を提示している点です。一般には19世紀後半に始まるジャポニスムの影響でフランス国内での日本文化への価値が上がったのだと考えられていますが、それはあくまで表層で、本質的には両者には奇妙に通底する奥深さがあったといいます。それがフランスの場合、ローマに支配されないカトリック国としての「ユニヴァーサリズム(普遍主義)」で、それが日本のどんなものでも受け入れることができる「なんでもあり」の懐の深い文化と通底していました。それは効率・勤勉・率直さが一番の価値を持つアメリカ的な文化とは対極にあったものとも言えます。 サブカルチャー、音楽、スポーツ、政治、ライフスタイル、言語を横断しながら、日仏相愛の秘密を探る本書は、これからの世界の中の日本の立ち位置を考える上にも示唆に富む1冊となるでしょう。 カバー画・本文イラスト=じゃんぽ~る西。 【目次】 第1章 日本とフランス、相愛の理由 第2章 日本発サブカルチャーの圧倒的威力 第3章 アメリカが大嫌いなフランス人 第4章 日仏相似の奥に潜むもの 第5省 フランス・バロックと能
  • ローマ法王
    4.0
    1巻880円 (税込)
    ヴァティカンは面積こそ最小だが、12億人以上のカトリック教徒を擁し、政治・外交・平和に影響力を持つ。その頂点に立つローマ法王の歴史と現在を辿る。近代オリンピックも、冷戦終結の端緒・ポーランド民主化も、実現させたのは法王とカトリックのネットワークだった。法王の日々の仕事、各国訪問の理由、現代の価値観への対応を読み解く。西洋文化の根底にあるカトリック文化を知り、国際社会をより深く理解できる快著。第266代法王フランシスコについても紹介。
  • フリーメイスン もうひとつの近代史
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    謎めいた存在ゆえに、陰謀論の格好の対象となるフリーメイスン。秘密に包まれたイニシエーションの実態とは? 「自由、平等、兄弟愛」などキリスト教ルーツの価値観を政治から切り離し、「普遍価値」として復権させることが彼らの使命である。アメリカ独立戦争、フランス革命から『シャルリー・エブド』事件まで、フリーメイスンの誕生と変容を辿りながら、西洋近代をもうひとつの視点からとらえなおす。(講談社選書メチエ)
  • 叢書パルマコン・ミクロス03 コンスピリチュアリティ入門 スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか
    3.8
    1巻2,420円 (税込)
    「Qアノン」、新型コロナ生物兵器説、自然食、イルミナティ、そして爬虫類系宇宙人による人類の支配。政治的影響力を持つまでに至った陰謀論と、その背景にあるとされるスピリチュアルな世界観。この2つをともに論じることを可能にする注目の視座「コンスピリチュアリティ」を日本で初めて紹介した論集。気鋭のライターから西洋オカルティズム研究の大家まで、多彩な執筆陣が明らかにする陰謀論の最前線。
  • キリスト教の真実 ─―西洋近代をもたらした宗教思想
    3.5
    キリスト教は、出現した当時のギリシャ世界において、既存の宗教の枠を超える「型やぶり」な思想であった。ユダヤ教から派生した「突然変異」ともいえるキリスト教が、ギリシャ思想の精髄を吸収しながら古代ローマ世界に浸透し、やがて近代ヨーロッパを覚醒させる。本書では、教義に内在する普遍主義の歴史的連続性を読み解き、修道院がその伝承を担った中世の世界をさぐる。近代主義者たちはキリスト教の歴史事実を意図的に否定するが、その歪曲がなぜ必要だったのかを考える。キリスト教という合わせ鏡をとおして、現代世界の底流にある設計思想を解明する探究の書。
  • 疫病の精神史 ――ユダヤ・キリスト教の穢れと救い
    3.0
    1巻825円 (税込)
    ペスト、赤痢、コレラ、スペイン風邪、新型コロナ――、古代から現代まで、人類は疫病とどのように向き合ってきたのか。律法により衛生管理を徹底し「穢れ」を排除したユダヤ教と、病者に寄り添い「魂の救い」の必要性を説いたキリスト教。二つの価値観が対立しつつ融合し、やがて西欧近代という大きな流れへと発展してゆく。聖書に描かれた病者たち、中世の聖者や王が施す治療、神なき現代社会で「健康」を消費する現代医学。疫病に翻弄される世界の歴史を描き、精神の変遷を追う。
  • 女のキリスト教史 ──「もう一つのフェミニズム」の系譜
    3.0
    1巻880円 (税込)
    キリスト教は女性をどのように眼差してきたのか。ミートゥー運動に象徴される、現代の「男女同権」を目指すフェミニズムとは異なり、ヨーロッパにはカトリックを起源とする「もう一つのフェミニズム」の水脈があった。聖母マリア、マグダラのマリアに始まり、中世修道院の女性たち、異端として処刑されたジャンヌ・ダルク、国と宗教を超え崇敬される現代の聖女マザー・テレサまで、キリスト教における女性への差別と崇敬の歴史を明らかにする。
  • パリのマリア
    3.0
    1巻3,135円 (税込)
    何度もその前にマリアが出現し、埋葬後56年経てなお生前の姿を保っていたカトリーヌ・ラブレー。硬直した体を暗闇のベッドに横たえ眠らずに神の声を聞き、毎週金曜日にはその聖痕から血を流す。神父が運んでくる小さな聖体パンのみが食事という超常的な50年を送ったマルト・ロバン。第2次大戦中にパリの修道院でレジスタンスを支援しながら同時に戦場にある若い兵士を訪問したイヴォンヌ=エメ。たった100年ほど前に起きた奇跡の主人公たちを紹介し、その魅力を探る魂の書。
  • 叢書パルマコン・ミクロス07 オカルト2.0 西洋エゾテリスム史と霊性の民主化
    -
    中沢新一氏推薦「この国で長いことタブー語のような扱いを受けていたオカルトという言葉に本格的な解明の光を当て、文化としての正当な位置付けを回復しようとした勇気ある書物!」 メスメルとパラケルスス、「ヘルメス文書」とキリスト教、神智学とエニアグラム、エサレン研究所とシュタイナー……。パリ在住の文明史家がエゾテリスムの歴史をたどり、欧米のオカルティズム最新事情をレポートする。
  • ヨーロッパの死者の書
    -
    エジプトやチベットでは、古代から死に臨む者を安らかに死後の世界へ導くための「死者の書」というものが存在する。固有の「死者の書」をもたないカトリック文化が支配的なヨーロッパが生み出した「死者のためのマニュアル」とは。本書では、オリエントやエジプトの信仰、ケルトの伝承から影響を受けた転生思想や地獄煉獄の系譜から見えてくる「死者の書」の風景をさぐり、黙示録、祈り、聖者伝などキリスト教における智恵の体系を豊富な文献により紹介しながら、魂の癒しを求めつづけるヨーロッパ人の死生観を明らかにする。

ユーザーレビュー

  • キリスト教入門

    Posted by ブクログ

    30年以上もキリスト教を信じていますが、まだまだ分からない事だらけでした。

    もう今となっては、神を信じたからその教義も信じたのか?教義があり神を信じるようになったのか?どっちだったか良く覚えていませんが、キリスト教でない人にはこの両方をうまく腹落ちさせることが難しいのだろうなぁと思いました。

    最後にある練習問題では宗教との付き合い方を自分なりに考えてみる良い機会になりました。

    『現代で宗教を信じる多くの人は、蒙昧と言うよりは、宗教を介してその人の価値観を確立している人ではないだろうか。
    宗教が原因の争いの仲裁は、無宗教であれば中立な立場を取れると言う意見はもっともだが、何かしらの考えに則

    0
    2025年02月19日
  • 叢書パルマコン・ミクロス03 コンスピリチュアリティ入門 スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか

    Posted by ブクログ

    コンスピリチュアリティの定義と成立,神真都Qと参政党の変化,コンスピリチュアリティの統計,キリスト教との関連,国ごとのスピリチュアリティの違い,など様々な論考を収録。

    0
    2024年08月12日
  • キリスト教入門

    Posted by ブクログ

    キリスト教の入門書

    入門書は数多あるが、その中でも全体がわかるように工夫してあり、初心者でも知識がある人でも読みやすいものだと思う。

    日本人はローマ字に弱いんだと気付かされた。
    例えば「サタン」悪魔だが、これはヘブライ語なんだと。ギリシャ語ならディアボロやデモン。語源も知るとなるほどそうだったのかといくつかの知識の欠片が繋がるようだった。
    こうした言葉の〇〇語による違いで、ミカエルがフランス語だとミッシェルで有名なモン・サン・ミシェルだと言うのは本当に驚いた。
    ヨーロッパの人たちは隣国や同じかローマ字の国の表現の違いは知っているんだとしたら、日本人はちょっとした壁があるな…と更なる難しさを

    0
    2023年09月17日
  • ローマ法王

    Posted by ブクログ

    【罪も人も時代と共に変遷する。その中で、神と人との関係がどう変わっていくのかということは、一神教世界においては今も変わらぬ大問題なのだろう】(文中より引用)

    宗教上はもちろんのこと、国際政治や環境といった面でも強い影響力を誇るローマ法王。歴史や直面してきた問題を顧みることで、ローマ法王の歩みとその役割について考えるための一冊です。著者は、バロック音楽奏者としても知られる竹下節子。

    キリスト教の教義や神学面には敢えて立ち入らず、歴史などのわかりやすい部分について触れられているため、一読してローマ法王に関する輪郭がすっと頭に入ってくる良書。近年のローマ法王についてはページも多く割かれているため

    0
    2020年12月10日
  • ジャンヌ・ダルク 超異端の聖女

    Posted by ブクログ

    異端者として処刑されながら聖女となったジャンヌ・ダルクについて、そうした事情を招いた背景を論じたもの。ジャンヌ・ダルクの生涯を解説するだけの本だと思っていたのが、想像以上のおもしろさだった。
    ジャンヌが一度は異端とされながら評価が逆転し聖女になったのは、その時代、時代のとらえ方のせい。今の世のなかだって、きのうまでもてはやされていた人が一転して非難されるようなことはいくらでもある。人はあまりにもすごい人がいると恐れるようになるものだし、マスの力をもって排除しようとする。ジャンヌもその例だが、それが大衆の意見だけでなくキリスト教のご都合主義によっていた感じがして、宗教のずるさを見せられた気分。

    1
    2019年05月26日

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