この道20年以上のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!
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今月の書店員すず木賞
少年・青年マンガ
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いじめられっ子の中学生、星太は幼なじみの光流に誘われ、生徒主体で運営される私立の進学校、優紀高校を受験することに。必死に勉強し、合格した星太だったがその一方、合格確実だった光流が「不合格」だったと聞かされる。その理由を知った星太は、学校側と戦うことを決意する。ささやかで困難な、二人の願いを果たすために――。『ヤンキー君と白杖ガール』のうおやまが描く、つよくてやさしい友情ドラマ。
「当たり前」を諦めない二人の、切実で熱い友情の物語
中学3年生の吉木星太(よしき せいた)と、その腐れ縁である葉月光流(はずき みつる)は、お互いに切磋琢磨しながら「優紀高校」への合格を目指していました。
しかし、合格を確信していた矢先、学校側から光流へある衝撃的な理由で受験を断念するよう通告されます。
身体的なハンデを理由に「分断」されようとする二人。
当たり前だと思っていた「一緒に通う」という未来を取り戻すため、星太は世の中の不条理に真っ向から立ち向かっていきます。
本作は大ヒット作『ヤンキー君と白杖ガール』の、うおやま先生が描く優しくも鋭い視点が光る青春物語です。
物語の序盤、私は大きな衝撃を受けました。
実は光流には車いすというハンディキャップがあるのですが、物語の導入ではあえてそれが描かれません。
しかし、志望校から「校内にエレベーターがないから通えないだろう」と事前に受験を取りやめるよう告げられた際、初めてその事実が明かされます。この構成がすごい!!
「設備がないなら仕方ない」と、無意識に世の中のルールに納得しかけてしまう読者の心理を突いてきます。
しかし、主人公の星太は違います。
彼は世の中の不条理を「仕方ない」の一言で片付けません。
「自分の隣にいるのは光流でしかない。代わりはいない」と言い切る星太の姿に強さを感じます。
私自身、日々の生活で「しょうがない」と多くのことを諦め、妥協して生きている部分があるため、彼の真っ直ぐな姿勢には深く身につまされる思いがしました。
星太の熱意は、光流の心も変えていきます。それまでは周囲に配慮し、一歩引いていた光流が、「フツウとして扱われたい」と自分の願いを口にするようになる変化には、星太の影響が色濃く反映されています。
また、彼らの前に立ちはだかる生徒会副会長・薫まりの存在も欠かせません。
県議会議員の娘であり、一見すると「悪役」のように描かれる彼女ですが、実は彼女自身も「父に愛されていない」という深い孤独を抱えています。
単なる勧善懲悪ではなく、それぞれの置かれた立場、それぞれの正義がぶつかり合う展開には、ページをめくる手が止まらないワクワク感があります。
本作の素晴らしい点は、「助ける/助けられる」という関係が、非常にフラットで対等に描かれていることです。
本当の友達とは何だろうと考えたとき、それは損得勘定抜きに、何気ない瞬間に相手のために動けることではないでしょうか。この作品には、まさにそんな理想の友情が詰まっています。
星太が光流のことを、あえて「友達」ではなく「腐れ縁」と呼ぶのも、彼らしい照れくささが感じられて、思わず顔がほころんでしまいます。
相手を知ろうとすることの大切さを説くうおやま先生だからこそ描ける、綺麗事だけではない人間ドラマ。目標に向かって泥臭く邁進していく星太と光流の姿を、これからもずっと見守り続けたいと心から思わせてくれる作品です。
少女・女性マンガ
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初恋以上、リア恋未満。
家庭の事情でお隣の広井家に居候することになった高校生の狭山うみ。子どもの頃ひそかに憧れていた8つ年上の「翔ちゃん」とも7年ぶりに再会、同居することになったのだが、優等生だった翔ちゃんはうみの想像の斜め上いく変貌を遂げていて…!?クールなうみと優全開の翔ちゃんの、恋と呼ぶにはささやかすぎる低刺激メロキュン同居ストーリー!
(C)2026 Daisuke Hagiwara
萩原ダイスケ先生が描く、美しすぎる二人のひとつ屋根の下、「これからはじまるラブ」!!
16歳の女子高校生・狭山うみ(さやま うみ)にとって、隣の家に住む8歳年上の広井翔也(ひろい しょうや)は、幼い頃から憧れていた「理想のお兄ちゃん」でした。
しかし、久々に再会した彼は、髪はボサボサ、無精髭を生やした「小汚い大人」に激変していて……。
再会から始まる、8歳差の不器用で、でも温かい「ささやかな」恋の物語。
『ホリミヤ』で作画を手がけた萩原ダイスケ先生の最新作ということで、まずは何と言っても画面の麗しさに圧倒されます!
主人公のうみは息を呑むほど美しく、お隣さんの翔也もまた、整った顔立ちが隠しきれていないイケメン。この二人が並ぶだけで、視覚的な幸福感がすごいです。
物語は、憧れのお兄ちゃんだった翔也との「残念な再会」から始まります。
昔の面影がないほど小汚くなってしまった彼にショックを受ける…という「あるある」な展開ですが、そこからの盛り上がりが最高なんです!
翔也が漫画家として活動していることが判明し、うみから尊敬の眼差しを受けた後にそれが「エロ漫画家」だったという展開には、萩原先生「わかってらっしゃる…!」と思ってしまいました。
しかし、外見や職業が変わっても、翔也の根っこにある「優しさ」は昔のまま。うみのことをさりげなく気遣い、守ってくれる彼の包容力には、一人の男性としての抗いがたい魅力を感じてしまいます。
うみが、そんな彼の「変わらない良さ」を少しずつ再認識していく過程は、読んでいて本当に気分が上がります。
また、本作は脇を固めるキャラクターたちも最高にいい奴らばかりなんです!
うみがあまりに美しすぎて、同級生たちは「触れてはいけない高嶺の花」として遠巻きに見ていたのですが、それをうみ自身が「嫌われている」と勘違いしている様子がなんとも可愛らしい。
翔也が作ってくれたきっかけで同級生たちと打ち解けていくシーンは、まさに尊さの極みです!!
「仲良くなっていいんだ!」と分かった瞬間の、同級生たちの猛烈な距離の詰め方には、思わず吹き出してしまいました。
うみと周りの人々との軽妙なやり取りも面白く、まっすぐで等身大のうみには、ヒロインとして絶大な好感が持てます。
今はまだ「ささやか」な距離感の二人ですが、これからどんどん仲良くなって、早く二人の「ラブぃシーン」が見たい……!と願わずにはいられません。
じれったくも愛おしい「恋の始まり」をぜひ見届けてください!
こちらもオススメ!!
惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!
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家族で田舎に引っ越した「牧野ジュン」。そこには、自然あふれる古き良き日本の風景が残っていた。
田園に大きな木造の家。広がる星空に心躍らせるジュンは、自宅でビデオカメラ、ビデオデッキ、そして「呪いのビデオ」を発見する。
トンネルの向こうに広がる、田舎の田園とスロー&ホラーライフ。ちょっと不思議なオカルトファンタジー!
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ある住宅街、一軒家の一室で、箱に入った男の死体が発見された。……さかのぼること十数年、「私のパパは箱の中に住んでいる」と話す5歳の少女・由美子の描いた絵が、周囲の大人をざわつかせる。「箱の男」と暮らす由美子と母。だが、思春期を迎えるころから、様々な感情や疑問を抱くことになる。「箱に入っているのは誰なの?」。そして、18歳を迎える由美子に明かされる衝撃の事実……。「いろいろ凄すぎて衝撃!」「読む手が止まらない!」「伏線回収が気持ちいい」と、SNSでも話題騒然! 外からは見えない「家族」の闇を描いた、ダーク・サイコサスペンス。
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「命を吹き込むとはこういうことなのかと、ぞくぞくした」(彬子女王)。女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王殿下。一人で街を歩く心地よさと寂しさ、論文に追われた日々、支えてくれた友人たち――英国での苦しくも輝かしき青春を『ブランチライン』の池辺葵が繊細な筆致で描き出す。殿下の特別エッセイも収録。
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その女、「夜鷹」。かつては最強の殺し屋として裏社会で名を馳せた彼女は、今ではヤニカス・酒カス・33歳(大厄)。
ボロいアパートで、無職ライフを満喫中♪
そんな心も体も弛みまくった夜鷹の元に、殺し屋時代の「こーはい」から現役復帰のお誘いが...!!
今ふたたび戦場に返り咲くんか!?夜鷹さん!!!!
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『ここは今から倫理です。』の雨瀬シオリ、最新作にして大怪作!!!!!!
前代未聞!〝生首〟を巡る叙情オムニバス!!!!!!
〝生首〟に魂は宿るのか――。
死んだ人間と、残された人間。
時代も国境も超えて、
人々はなお、〝生首〟へと想いを馳せる――。
鬼才・雨瀬シオリ、熱描。
〝5つの魂〟をまつる、
比類なき珠玉のオムニバス。
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結婚を機に夫の地元へ引っ越しをした透花。家族や友人の元を離れ、やりがいのある仕事も大好きな趣味さえ手放したのに、ここでの私の名前は「亮くんのお嫁さん」――。何者でもなくなった自分の人生を取り戻す、私の人生リスタート! 【※分冊版1~5巻の内容を含みます】
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昭和十一年。老舗呉服店の一人娘・つゆ子の夢は、家業を継ぎ両親に恩返しをする事。
ある日、幼い頃に弟のように可愛がっていた”あきちゃん”がつゆ子の家に下宿をする事に。
成長し美しい青年となったあきちゃんに、変わらず「弟として」接するつゆ子だが、あきちゃんは「姉ではなく、女性として」想いを告げる。
突然の告白に戸惑う中、さらにつゆ子の縁談が決まり……?
呉服屋令嬢と年下帝大生の、昭和ピュアラブストーリー第1巻!
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ゾンビが蔓延り、世界が終焉に近づくなか、家族とはぐれ孤独に生きる少女・みのりのもとに元海上自衛隊給養班長を名乗る男・食野が現れる。 彼はみのりに対し、おいしい「バターチキンカレー」を作ると言い出し…!? 『終末のワルキューレ』梅村真也×『武士スタント逢坂くん!』ヨコヤマノブオ×『ちるらん 新撰組鎮魂歌』橋本エイジの超豪華チームで贈る、終末世界のサバイバル美食ドラマ!!
書店員すず木
2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道20年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。
現在、全国の三省堂書店(※一部店舗を除く)の店内にある「つながる本棚」に、書店員すず木が毎月テーマを決めておすすめ作品をご紹介する「書店員すず木棚」が設置中!!
最近の書店員すず木:みなさんお花見しましたか?気が付いたら桜が散っていました…。季節に移り変わりが早すぎて追いつけません…!!