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マーティン・チャズルウィット
恐ろしいほどの利己心がチャズルウィット一家の特徴である。マーティン老は、周囲の人間はみな自分の財産を狙っていると疑う。信頼するのは孤児メアリーだけだ。だが孫のマーティンは、メアリーと密かに婚約し、老人に追い出される。孫も自己中心的で、縁戚にあたる建築家のペックスニフの元に身を寄せる。このペックスニフは徹底した偽善者だった。マーティンを迎えたのも、むろん欲得ずくだ。彼の仕事も、かつての生徒で彼を師と仰ぐトムに任せていた。ある日ペックスニフと2人の娘は、マーティン老から、孫が勝手に婚約したので追い出したと聞きショックを受けるが、老人の希望どおり、青年を体よく追い出す。宿無しとなったマーティンは、アメリカで一旗揚げようと考える。メアリーと最後の逢瀬を楽しんだあと、マーティンはアメリカに向かう。イギリスでは、マーティン老の弟のアンソニーが急死する。アンソニーも利己主義者だったが、その息子ジョーナスも同様で、父親の居場所は棺の中が最適だと考えるような人間だった。葬式の後、ジョーナスは打算からペックスニフの次女マージーと結婚し、濡れ手で粟の詐偽商売に肩入れしはじめる。ペックスニフにはマーティン老の衰えがわかった。彼は遺産を確実に手に入れようと、メアリーに言い寄る……人間の暗部とこっけいさを徹底して描ききったディケンズの代表作のひとつ。長谷部史親氏は「作中における人物造形の巧みさと場面ごとの面白さ、犯罪にかかわる謎の要素が推理小説を思わせる」と述べ、本書を高く評価している。 -
戦争を展示する 戦争博物館の過去・現在・未来
戦争を可視化し何を伝えようとしているのか 戦争博物館は「何のために、何を、いかに」展示しているのか。世界の博物館から56館を選び、設立の経緯や展示物などの概要を提示。15のテーマと8つのコラムから博物館をとりまく問題や、変化する姿とその意味を考察する。 ※本書は大月書店刊『戦争を展示する:戦争博物館の過去・現在・未来』の電子書籍版です。 【目次】 第Ⅰ部 日本と世界の戦争博物館56選 第Ⅱ部 戦争博物館をめぐるさまざまな視角 第1章 戦争博物館の始まり コラム1 戦後日本の博物館の発展、その現状と課題 第2章 ナショナリズムを克服する歴史博物館 コラム2 東アジアの現状 第3章 戦争博物館の新動向 コラム3 コンピエーニュの客車 第4章 展示と演出 コラム4 「商品化」される戦争? 第5章 軍隊の歴史をいかに展示するか 第6章 国境地域の戦争博物館 第7章 古戦場博物館から見る戦争 コラム5 二つの「遠い昔」の古戦場博物館 第8章 ベルリン 博物館コンプレックス 第9章 市民が作る戦争博物館 コラム6 「反戦」、「平和」を謳うドイツの博物館 第10章 兵士の表象 第11章 戦争を「消費」する コラム7 慰霊・追悼と博物館 第12章 創られる戦争と博物館 第13章 アイデンティティ・ポリティクスと博物館 第14章 惨劇の記憶 コラム8 博物館としての戦跡 第15章 戦後八〇年を迎えて 【著者】 佐々木真 駒澤大学教授。専門は近世・近代のヨーロッパ史・軍事史。 原田敬一 佛教大学名誉教授。専門は日本近現代史・都市史・軍事史。 松本彰 新潟大学名誉教授。専攻はドイツ近現代史。