【感想・ネタバレ】海が走るエンドロール 9のレビュー

あらすじ

海(カイ)との出会いがきっかけで、65歳で映画監督を目指し、大学に入学したうみ子。さまざまな人と出会い、映画を撮り続け、夢に向かって走り続けた彼女の物語は、ついにエンドロールを迎える!

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夫と死別したうみ子。
ぽっかり空いた心を持て余す日々を過ごしていましたが、ある日訪れた映画館で映像専攻の美大生・海(カイ)と運命的な出会いをします。
海から「映画を作りたい側の人間ではないのか」と言われ、ハっとするうみ子。
更に、興味本位で訪れた美大のオープンキャンパスで海の映像作品を見たことで、制作意欲が沸き上がります。
戸惑いながらも新しい一歩を踏み出したうみ子の先に待ち受けているものとは…。

誰しも新しい環境に踏み出すには勇気がいります。
若気の至りで踏み出せることもあるかもしれませんが、年齢を重ねれば重ねるほど多角的に物事を考えリスクを回避したくなり、踏み出すことを躊躇してしまう人も多くなるのではないでしょうか。
それなのに65歳を過ぎ美大生になったうみ子の行動力は、読む人に勇気を与えてくれます。

作中のセリフで
「作る人と作らない人の境界線てなんだろう
船を出すかどうか…だと思う
その船が最初からクルーザーの人もイカダの人もいて
誰でも船は出せる」
というのがあります。

作中、タイミングが訪れた表現として、うみ子の足元に波が押し寄せる描写があるのですが、“船を出す”というセリフに結び付く重要なキーとなっています。
瞬間的意欲というのは誰しも感じることがありますが、そこから先に進むかどうかはとても難しい。
セリフの通り船を出せる状況でも、天候が悪いから、海図が読めないから、船の性能に不安があるから…など、色々な理由をつくりがち。
それでも漕ぎ出しさえすれば海に出ることができるのだと、うみ子さんが体現してくれています。
どのタイミングで波が現れるのか、是非注目してください。

また、晴れて大学生となったうみ子ですが、若者からの悪意ない高齢者扱いに気が引けてしまい自信を持つことができません。
うみ子は、映画を撮ろうとする姿勢を学生から「老後の趣味の自由時間」と言われてしまい、モヤりつつもついつい自分のことを茶化してしまいます。
ですがその後、海との会話で何気ない一言が取り返せない後悔になることを思い出すのです。
真剣に取り組むのが何故か気恥ずかしくなり、自分を茶化してしまうことは年齢を問わずあるのではないでしょうか。
そういった少しずつ摩耗していく日常にうみ子はどう立ち向かっていくのか、うみ子がどういった映画を撮るのか…続きが楽しみです!

うみ子を見ていると、自分もまだ何かできるような気になります。
新しい環境に踏み出す勇気をくれる作品です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

soraの過去話は興味深かった。
苦労して撮影した映画は殆どみてもらえないけど
スノボしてるだけの動画はバズる。
別に苦労していないわけではないと頭では分かっていても
簡単にバズって、バズったらプロから声をかけられて
どんどんバズるのが羨ましくなる。
先にバズればいい、という発想の転換から
実際バズって有名になるなんてそれはそれで
物凄い才能なのだが、それで手に入るのは
自分が一番欲しいものではなくて。
うみちゃんを好きって言えないとダサいとか
空の置かれている立場を思うと
読んでいてちょっとひりひりする。

海くんから海へ行こうと誘ってくれるのが嬉しい。
「その人が撮らずにいられなかった映画が面白い」
は商業として成り立つかどうかは
それで生きていこうと思うなら確かに問題だが
多少意地悪な質問とも思う。
それに対して今の俺はそう思うってだけ、
と答えられる海くんが良いな。
彼は彼でそこに辿り着くまでに色々あったろう。
「好きに自信がある」というsoraの表現も面白いし、
その自信はうみ子さんにもらったもの、というのが
とても素敵だ。
誰でも船は出せる。
進む力を失った時、風や波のお蔭でまた進むことができる。

これが最後ではないけれど、そうだとしても
ちゃんとお礼が言いたくてうみ子さんを誘ってくれたのかな。
こうして思うことを言葉にしてくれる海くんの存在が
風になる。
相乗効果でふたりで高め合える関係が素晴らしい。

進んでいる人を見ると力にもなるかもしれないが
焦るという気持ちもとてもよく分かる。
でも、そうやって焦るよね、と言い合える友達がいるのも
また力になるのだろうなとも思った。
焦りを、ずっと足元に波が打ち寄せ続けていると表現するのがとても響いた。
確かに波は推進力をくれることもあれば、足を掬うこともある。

1年生の斎藤さんが、PFFで観て好きになってくれて
だから手伝いたいと思ってくれたと知って
なんだか涙がでてきた。
おばあちゃんじゃん、じゃなくてこれがあの映画を撮った人、という驚きだったのか。
ちゃんと知った上で波の音のサンプリングを提案してくれるのも素敵だし
こういう出会いは本当に活力になる。
一人ではできないことができるようになる。
波が大きくなり海になる。

卒業してから連絡を取っていなかった海くんと
広い海でふと行き合う再会の表現が秀逸。
2人とも航海をやめていないからこそ出会える。

刺激的な人だったから居心地が悪くて
ぬるま湯にいられなくなったという語り方も良いな。
老後に希望を持たせてくれるような人じゃなくて
焦らされる人。
流石高階さんとグチはわかっているしはっきりしている。
同志、ライバル、映画みたいな関係。
大波みたいな人。

さっぱりとした終わり方も良かった。
続きをもっと見たいような、それはそれで勿体ないような
そんな気持ちだったのでアニメ映画化は
結構丁度良いところなのかもしれない。
映画、とても楽しみだ。

0
2026年05月28日

購入済み

第1巻から5年ほどの時間、うみ子さんの姿に励まされ続けてきました。いつしかうみ子さんだけでなく海くんはじめ周りのみんなにも仲間のような親しみを覚えながら… 1巻のあとがきでジョンさんが書いてらしたように、ほんとうに今こそ学校で学びたい気持ちになります。うみ子さんが映画の海へ漕ぎ出した年齢よりはわたしは若いのだから、もっともっと船を漕ぐ腕に力を込めていきたい。うみ子さんたちみんなに背中を押してもらえたような、素敵なラストでした。

0
2026年05月24日

Posted by ブクログ

すごく好きでした。
1巻から最終巻までずーっと追い続けてきました。
世界観と空気感がとても良いです。
それこそ映画を見ているような感覚になります。
素敵な作品でした。

0
2026年05月23日

購入済み

かっこよかったです

うみこさん、かっこよかったです。苦しくても前に進もうって思える作品。胸が熱くなります。自分が若くなくなって、若い人達を眩しく思うことが増えたけど、それが全てじゃないと思える。

#アツい #共感する

0
2026年05月20日

Posted by ブクログ

「誰でも船は出せる」
「出会った人や経験、知識が前へ進む力に、波になる」
65歳のうみ子さんの言葉に、思わずうなずいてしまった。
うみ子さんの生き方は、海くんたちの背中を押す波や風のようなもので終わらず、読者の私の背中も押してもらった。
船を出したからこそ、焦りやモヤモヤも出てくる。
創作は孤独。
人生も孤独。
それでも船をこぎ続けていく。
最終巻、本当に感動しました!

0
2026年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以下、心に残った言葉を抜粋
『出会った人や経験 知識が前へ進む力に…波になる』
『波の音が どんどん大きくなって 一人ではできないことをできるようになる 孤独は私を形にしてくれた そうして撮った映画が この海を与えてくれる』
『選んだ選択 とった行動 発した言葉 捨てた何か 全部が蓄積されて 自分になってく』
『誰でも船は出せる』

4巻でも出てきた、
『私たちは 映画を撮っている限り強い …苦しいこと やりきれないこと 怒り 悲しみ 喜び 全部 俯瞰してやりましょう』という言葉は、表現しつづけることを考えさせられる。
欲を言えば、一巻まるまるうみ子さんの撮った映画にしてほしかったな。
もう一度通して読み直したい。
京都アニメーションで、漫画が映画化されるそうだ!

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2026年05月29日

Posted by ブクログ

たまたま見かけた表紙とタイトルに惹かれて第1巻を購入したのが2021年だった。

主人公は65歳で自分が「映画を撮りたい側の人間」であることに気づいた女性・うみ子さん。気づいた彼女は映画を撮るために美大に入学する。20代若者の中で、とまどいながらも自分らしさを発揮していくうみ子さんの姿がまぶしい。
同じ2021年に50代で(ビジネス系専攻ではない)大学院に入学し、歳の離れた同級生たちと接し始めた自分となんとなく被せて読んでいた気がする。

静かなエネルギーを分けてもらえるうみ子さんの物語がついに完結。

僕の方はもともとが長期履修だったことに加え、諸事情もありまだ在学中。今年度こそは修了予定。修了に向けてのエネルギーもらうために第1巻から読み直そうかな。

そして、なんとアニメーション映画化!制作は京都アニメーション。これは楽しみ。

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2026年05月29日

購入済み

少々

うみ子さんにとって海は最初の波で、見失わないように焦る描写もあったが、
いつの間にか同期たちにも焦りをもたらすようになり、海の船も押す存在になった、ということか。

急ぎ足で畳まれた感はありましたが、まぁ良かった。
お疲れ様でした。

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2026年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い作品をありがとう。
この物語の幕引きにおいて、主人公の年齢に伴う死を描くか否かがずっと気になっていた。なので、「監督として成功したシーンでの幕引き」というのは予想外だった。(客席の隙間から覗き見るラストシーンが一抹の不安を覚えさせたけど)ともあれ、うみ子さんの物語がきれいに幕を引けたのは喜ばしい限り。具体的な映画の内容を描写しなかったのは少し残念だけど、まああえてだろうな。
一番の驚きは「京アニによるアニメ映画化」。映画にするなら実写かなあ、でもマイナー作品だしねえ…と思ってたので京アニ・アニメ化のWで驚き。2時間前後でどうやってこの物語をまとめるのか手腕を見たいところだけど、実際に見ることができるのは2年は先だろうなあ…。

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2026年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

間違いなく良作だが、うみ子がどんな映画を作ったのかが濁されているのは消化不良だった…。
本作のテーマである海へ船を出すこと(何かに挑戦し、何者かを目指していくこと)メッセージの完結編としては文句無いのだが、還暦を過ぎた女性が映画監督としての才覚を発現していくストーリーも楽しみに追っていた身としては描ききって欲しかった思い。
だがそれでも、全体を通して見れば人生に一度は読んでほしい作品である。

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2026年05月19日

Posted by ブクログ

ついに最終巻です!

海が卒業し、うみ子さんは2度目のPFFへ挑戦。
果たして結果は?

65歳を過ぎて人生の孤独を感じながらも夢へ向かって歩み続けるうみ子さんの姿に、勇気をもらえる漫画でしたね。

soraくんの番外編も。

そしてなんと、京都アニメーションの制作でアニメ映画化が決定だそうです。あるとしたら実写映画化かなぁと思っていたので意外でしたが、これは期待したいですね。

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2026年05月23日

Posted by ブクログ

──どうか
──荷物は軽く
──進む海が豊かで美しく
──風に恵まれ
──前へ
──前へ
──進めますように

夫と死別して、映画監督を目指して大学へ入ったうみ子65歳の物語が完結。
かと思ったら映画化!しかもアニメ(実写じゃないのか)!しかも京都アニメーション!という・・・凄いね。好きな漫画が世間に認められるのはうれしい。
いやでも映像化するとしたら絶対実写だと思っていたのに。

「メタモルフォーゼの縁側(鶴谷 香央理)」かな~と思っていましたが、後味は「違国日記(ヤマシタトモコ)」な気もしてきた。
モノローグが好きです。
映画監督に向けて着実に成長していくうみ子さんが好きで、それに影響を受ける周囲の様も好きだ。

うみ子さんの撮った映画「海が走るエンドロール」が観たいような、そこは断片的な描写だから良いような、もどかしい。
でも、「CIPHER(成田美名子)」で劇中映画を番外編みたいにしてやったじゃないですか。ああいう感じで1話、いや一冊作って欲しい。

文句のつけようもない佳作です。

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2026年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どんな映画をうみ子さんは撮影したのかな?

その人が撮らずにいられなかった映画が面白いと思う

誰でも 船は出せる

出会った人や経験 知識が前へ進む力に 波になる

うみ子さんは 波だ
 みんなの背中を押す 大波みたいな人

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2026年05月18日

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