あらすじ
65歳で映画をとりはじめたうみ子の毎日は刺激にあふれていた。無事カナダの映画祭から帰国したうみ子と海。海とのわだかまりも解け、あとは進むだけの彼女を襲うのは……!? 累計100万部超え! 宝島社「このマンガがすごい!2022」オンナ編1位ランクインの話題作!
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夫と死別したうみ子。
ぽっかり空いた心を持て余す日々を過ごしていましたが、ある日訪れた映画館で映像専攻の美大生・海(カイ)と運命的な出会いをします。
海から「映画を作りたい側の人間ではないのか」と言われ、ハっとするうみ子。
更に、興味本位で訪れた美大のオープンキャンパスで海の映像作品を見たことで、制作意欲が沸き上がります。
戸惑いながらも新しい一歩を踏み出したうみ子の先に待ち受けているものとは…。
誰しも新しい環境に踏み出すには勇気がいります。
若気の至りで踏み出せることもあるかもしれませんが、年齢を重ねれば重ねるほど多角的に物事を考えリスクを回避したくなり、踏み出すことを躊躇してしまう人も多くなるのではないでしょうか。
それなのに65歳を過ぎ美大生になったうみ子の行動力は、読む人に勇気を与えてくれます。
作中のセリフで
「作る人と作らない人の境界線てなんだろう
船を出すかどうか…だと思う
その船が最初からクルーザーの人もイカダの人もいて
誰でも船は出せる」
というのがあります。
作中、タイミングが訪れた表現として、うみ子の足元に波が押し寄せる描写があるのですが、“船を出す”というセリフに結び付く重要なキーとなっています。
瞬間的意欲というのは誰しも感じることがありますが、そこから先に進むかどうかはとても難しい。
セリフの通り船を出せる状況でも、天候が悪いから、海図が読めないから、船の性能に不安があるから…など、色々な理由をつくりがち。
それでも漕ぎ出しさえすれば海に出ることができるのだと、うみ子さんが体現してくれています。
どのタイミングで波が現れるのか、是非注目してください。
また、晴れて大学生となったうみ子ですが、若者からの悪意ない高齢者扱いに気が引けてしまい自信を持つことができません。
うみ子は、映画を撮ろうとする姿勢を学生から「老後の趣味の自由時間」と言われてしまい、モヤりつつもついつい自分のことを茶化してしまいます。
ですがその後、海との会話で何気ない一言が取り返せない後悔になることを思い出すのです。
真剣に取り組むのが何故か気恥ずかしくなり、自分を茶化してしまうことは年齢を問わずあるのではないでしょうか。
そういった少しずつ摩耗していく日常にうみ子はどう立ち向かっていくのか、うみ子がどういった映画を撮るのか…続きが楽しみです!
うみ子を見ていると、自分もまだ何かできるような気になります。
新しい環境に踏み出す勇気をくれる作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
病気になって手術をしなくてはいけなくなって
それを一人で受け止めなくてはいけない孤独感。
娘さんがいるからまだいい方かもしれないが。
事務連絡をしたことで心配して
すぐ電話をかけてきてくれる海くんに救われる。
入院当日にも付き添ってくれたのも嬉しいし、
映画が最高に面白かったと直接言えたことも良かった。
色んな『波』で『船』が動いていく。
卒制は大変そうだが、大変だと言い合える
仲間がいるだけで少し違うなと思う。
「想像力のある質問嬉しい」という会話が
如何にもクリエイター同士と言う感じで良い。
この先関係が続いたとしても、
同じ学生の立場である今だから話せることや
共有できる空気感というものがあると思う。
人の言葉が呪いになる感じがざらざらする。
せっかくだから治したいと思える海くんは大人だな。
うみ子さんに「大丈夫」と
言ってもらえるのは嬉しいと思う。
馬鹿っぽいとか病気とか
普通にラインを超えた物言いだし、
怒鳴れば解決する問題でもないのにな。
言われるうちが話だとしても、普通の言い方をすれば良いだけだ。
監督が何も庇わなかったのが悪いのに
監督が海くんを非難するのが流石に酷い。
人が傷つく前提がある現場を
成り立っていると言って良いのか。
流してなんとかなれば良いと思っている監督に
真っ直ぐリスペクトの気持ちを伝えて
その海が起こした波がほんの少しだけれど
監督の船を動かしたのだろう。
友保くんも本当に良い子だ。
うみ子さんの家に少し早めに来て
お手伝いするのもそうだが、二人の会話の空気感も好き。
焦ったり自信がなくなったり
整理ができなくて答えも出なくて、
それも抱えて生きていくのも大事かもしれない。
グチと海くんの会話も青春だなぁ。
海くんに伝わっていないけれど、違う角度からでも
認めて誉めてもらえたら絶対嬉しい。
良かったです
友保くんとのシーンがいいなぁと思いました。
芸大って価値観が近い人とも巡り会えるけど、力の差もハッキリ分かる環境。
卒業してそれぞれの道をゆくんだろうけど、一緒に過ごした濃い時間は宝物でしょうね。
次で完結なのが寂しいですね
最初の頃はうみ子さんがすごい映画監督になる話なのかと思っていましたが、違いましたね
次回でそうなる可能性もありますが
番外編が好きでした
こういう回をずっと読んでいたい
Posted by ブクログ
次回最終巻。
人間が年を取っていくことに対しての希望だったので終わってしまうのは残念。
安直に希望を見せないところも好きなんだけど果たしてどうなるのか。
作中にでてくるハラスメントおじさん、あれでコミュニケーションとってると思ってるのが怖いな。ジェネレーションギャップなのか。
Posted by ブクログ
卒業を控え、卒制に励む一同。大海を目の前にどのように舟を漕いでいくかは人それぞれ。わだかまりと病を乗り越えたうみ子さんと、社会へ一歩を踏出そうとして違和感を覚えつつも言語する海くん。二人の結末はいかに。
人生色々あるよね
カナダ映画祭から帰ってきて前を向く気持ちになれたうみ子さんに、健康上の不安が立ちはだかる。
海はリスペクトしている監督の作品に出演する事が出来、現場に行くと不穏な空気。
卒業間際のそれぞれの、前向きな進路だったり後ろ向きな気持ちだったり。
それぞれの気持ちや現状にみんな折り合いをつけ、未来に向かう姿が眩しいわー
次巻で終わりだそうです。大学生活の4年が終わってしまう。ずっとこの人たちが未来に向かう姿を見ていたいんだけどなー
美大出身です。作品という目に見えるもので彼我の差を実感させられる環境は厳しい面がありました。作中の皆もそれぞれ苦しさを抱えて、でもそれを素直に言葉にすることもできているのが素敵だなと思います。そうできなかった自分を悔やむ気持ちがありますが、うみ子さんの年齢に近くなった今からでもまた何か始められる、そんな勇気をいつももらっています。
卒業が近い
それぞれの人物の振る舞いが卒業を意識したものになってきています。次巻で最終回。寂しいですが、密に描いてくれて感謝。
葛藤を抱えて
卒業間近のそれぞれの心情がすごくよかった。
あと、麻酔したときのうみ子さんが見た
だんなさんの夢と、次のページの扉絵に
描かれた晩年のうみ子さん夫婦の姿をみて
幸せだったんだなーと思いました
現場と
一人でどうにかなる規模の制作と、それではできないような
現場での摩擦と。難しいところではある。
この巻、どれが誰の台詞かわかりにくいコマがちらほらあって
個人的にはよくわからなくなってしまった。