あらすじ
才色兼備の超エリート警察官僚・薬師寺涼子は部下の泉田警部補を連れて夏の軽井沢に。休暇のはずだったが、米国大富豪の母娘げんかにまきこまれ……。ホテルが燃え、美女が燃え、女装男子が結集する。傍若無人の怪奇事件簿、第七弾。
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Posted by ブクログ
今までいろいろ怪奇的生き物が登場してきたこのシリーズだが、土着の風俗や伝説的存在ではなく、まったくの人間のエゴで作り出された存在がグロテスクで哀しい。
自由の国アメリカの、実は全然自由ではないキリスト教への妄信。
この作品に出てくるアメリカの大富豪は、キリストの再来を信じて、その日に備えて驚くべき準備をしている。
自分中心でしか物事を考えない金持ちは、キリストの教えすら自分に都合のいいように捻じ曲げる。
金さえあれば何をやってもいいなんて、キリストは言ったか?
「弱肉強食」「自己責任」などはキリストの教えなのか?
今回涼子は、まったくの休暇を泉田くんと過ごそうと、結構小細工を駆使して楽しみにしていたのに、事件の方が涼子に、いや泉田くんに襲い掛かってしまったのだ。
だから、やむを得ず、残りの休暇を楽しむために、涼子は全力を尽くす。
まあ、事件そのものをも楽しんだかもしれないが。
合間合間に挟み込まれる自由時間に、涼子がきっちり予定を組んでいたことがうかがわれて微笑ましい。
ここは普通に20代の大金持ちのお嬢様なんだな。