あらすじ
備えよ。運命を変える瞬間のために。
オクジーとバデーニが命を賭して真理を生き残らせてから25年の時が経った。C教の権威が揺らぐ激動の中、神が決めた「運命」に父を奪われ、神を信じられなくなった少女が自らの強い信念のために動き出す。その先に待ち受けるのは―――
神様はいると思う?/いない/違うよ/え?/神様はいるかいらないかって聞いてるんだよ
地動説は美しい、命をかけても惜しくないほどに。
皆さんは地動説:太陽を中心として地球など惑星が回っているという学説を当たり前に知っているかと思いますが、それが当たり前ではない時代がありました。
それまでは天動説:地球を中心に太陽などが回っている説が当たり前という認識でした。
天動説は宗教的にも正しいとされ、それ以外の考えは異端思想であり、最悪火炙りの刑に処されてしまうこともありました。
この作品はそんな時代に生まれながらも、地動説の美しさを信じ、時代に抗った人々の物語です。
この作品の一番の魅力は地動説を信じ、己の意志を貫こうとする登場人物たちであり、読んでいて胸にこみ上げてくるものがあります!
歴史や科学好きだけではなく、現在に生きるあなたにきっと刺さる作品です。どうぞお手にとって読んでみて下さい。
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Posted by ブクログ
25年後(最初から35年後?)
〇お前には信念がある。いつか信念(それ)がお前を導く。今はまだ“時”ではないのだ。
〇P78
〇活版印刷
〇ヨレンターーーー!!
Posted by ブクログ
色んな考え方をする人が出てきて本当に楽しい。
違う考えの登場人物を議論させることで、さらに興味
深くなる。
シュミットの「知性を適切に扱う実力は人間にはない」
が強烈だった。
「神は存在しない」と言ったドゥラカの叔父の行為は
酷いものだったけど、文字を覚え本を読めという進言、
物知りになるためじゃなく、考えるためだと念を押し
たのもとても良かった。金に執着するドゥラカにはど
れだけ届いたかはわからないけど。
ヨレンタのこのような再登場は想像してなかった。
Posted by ブクログ
感想
なんで全部燃やされたはずなのに名前知ってるんだろう、と思ったらヨレンタさんか。
1人の12歳の少年の残した感動が色んな人な人生を変え、世界を変える1歩手前まで来た。信念は人を突き動かす。現にヨレンタさんも信念があったから25年ものときをぶれずに過ごすことが出来た。そしてそれは伝播して輪をどんどん広げていく。
話が複雑になってより難解なものになってきたが、このままあと2巻突き進む!!
Posted by ブクログ
第一に「神は存在しない」神に支配される必要は無い。
第二に「考えろ」そのために文字を学べ。考えるために文字を学べ。その過程に知性が宿る。知性があれば、留まる勇気と踏み出す度胸が得られる。
第三に生まれるものが「信念」ってやつだ。コレがあれば不安に打ち勝ち泣きやめる。
この本で、大稼ぎできる気配を。
基本から考えよう。大稼ぎする為には広く人に受け入れられる必要がある。そもそも受け入れられるってなんだ?史上最も人に受け入れられたのは、おそらく、神だ。では、神は何故こんなにも受けてる?
それはきっと皆、「不安」だからだ。
将来や死後など、人は未知なものや不確かなものを恐れる。そのきゅうさいとして絶対的で揺るがない存在であって魂の保証である神がいる。
でもおじさんは言った。神はいない。その言葉が事実なら今は単に神以外の選択肢がないだけでもしかしたら代替となる不安の紛らわし方もあるんじゃ?成就するかわからない"祈り"で不安を紛らわすより、もっと確実に"娯楽"で不安を紛らわせたとしたら。人はわかりやすいモノのほうが好きな筈。いずれ娯楽は身近で刺激的なモノになるんじゃ、そして、もし、もし読書が、その娯楽になれたら?
この本で大稼ぎ出来る、かも。
人々の"不安"。
本の内容とその内容で世界が揺らぐ時代、あとは生産方法はどうする?何か生産手段の技術があれば。
匿名
同じ宗教でも、C教正統派、C教H派、異端、無宗教といろいろなバリエーションが出てきて、価値観の多様性が出てきます。
また、活版印刷は歴史の教科書に書いてあるけれど、ここまで世界を変えるような画期的なものだったのだと初めて知りました。
Posted by ブクログ
地動説を巡る物語、第3章の開始。
今巻はまず、冒頭から登場する、異端解放戦線の「自然主義者」・シュミットのキャラクターが刺さる。
理屈っぽいながら感覚派。知的で論理的だけれど、「何かを理解しようとする人の知性とやらを信用してない」男。本作が(タイトルでも台詞でも示してきたように)「人の知性」を重視する中、味方側にこのような人物を配置するという構成は興味深い。
本章のもう一人の主役・「“神”を信じてない」ドゥラカの潔さも小気味よく、ラストで、ほぼ1巻越し(作中時間では25年越し)に登場するヨレンタの表情もまた感慨深かった。
巻を増すごとに面白くなってきているとしみじみ感じる。次巻の展開が今から楽しみ。
Posted by ブクログ
C教正統派を打倒するために結成された異端解放戦線は火薬を使って教会を襲撃し、とらえられたメンバーを奪還する。
彼らの目的は地動説を論じた書籍を、活版印刷術を用いて世に広め、そのことでC教の権威を失墜させることにある。
遊牧生活をしている共同体のドゥラカは金儲けをして、その日暮らしの生活から抜け出したいと考えているが、叔父に連れられて行った廃村で偶然、地動説の書籍を読んでしまう。書籍は教会と解放戦線の戦いの途中で燃えてしまうが、ドゥラカは一度読んだら総てを記憶できる能力の持ち主だった。いまや書籍はドゥラカの頭の中にしかない。解放戦線はドゥラカを首領の下へと連れていく。首領はなんとヨレンタだった。
バトンは手渡された
研究とその発表を、今度は逃げおおせたヨレンタが引き継ぐという。ノヴァクが知ったら卒倒するのではなかろうか。とはいえ異端解放戦線のメンツも濃い奴らが多い。きっとこの先も一筋縄ではいかない展開が待っていることだろう。