【感想・ネタバレ】深夜特急2―マレー半島・シンガポール―(新潮文庫)【増補新版】のレビュー

あらすじ

香港・マカオに別れを告げてバンコクへと飛んだものの、どこをどう歩いても、バンコクの街も人々も、なぜか自分の中に響いてこない。〈私〉は香港で感じたあの熱気を期待しながら、鉄道でマレー半島を南下し、一路シンガポールへと向かった。途中、ペナンで娼婦の館に滞在し、女たちの屈託のない陽気さに巻き込まれたり、シンガポールの街をぶらつくうちに〈私〉はやっと気がつくのだった――。「あの旅をめぐるエッセイII コロッケと豆腐と人魚」が新たに追加された【増補新版】。※本電子書籍は、令和二年七月発行の新潮文庫(新版)を底本としています。高倉健氏との対談「死に場所を見つける」は収録しておりません。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

マレー半島を寝台列車で縦断することになり、同じような旅行をしている人のブログとかを読み漁っていた。そこでたまたま知ったこの本を、寝台列車の中で読んだ。知らなかったのだが、実はかなり有名な紀行文のようで、バックパッカーブームの生みの親らしい。読んでみると確かに同じような旅をしたいと読者に思わせるような旅行記だった。

一巻で訪ねた香港やマカオと比べると、バンコクもクアラルンプールもシンガポールも、作者にとってはどうもイマイチだったらしい。自分と同じような旅程がテーマということで手に取った本であるが、行く先々のほとんどの街が物足りないと言われていたのには、正直笑ってしまった。でも、作中の作者は僕と同年代らしく、初めて東南アジアに行ったらその文化の違いに対するもっともらしい感慨とかを記してしまいそうだが、金ピカの仏像は性に合わないと評するような正直さは、作者の気っ風の良さの表れで、むしろこのエッセイの最も魅力的な部分でもあるように思う。

僕はまだ一巻を読んでいないので、ここまでの経緯は知らないのだが、最終的にインドを経てイギリスに向かうらしい。それがどうしてマレー半島を縦断することになったのかよく分からない。作中でも同様で、なんか滞在してる街が面白くないから次の街へ行く、といった気軽さである。けど、その思い切りの良さが心地よく、特に好きだ。

例えば、作者は行く先々で色々な人と出会って、その人たちと会話を交わしたり、しばらく一緒に暮らすうちに、その人となりやバックグラウンドが少し垣間見える。しかし、誰もが重要人物そうに見えて、作者が急な思いつきで街を出ていくせいで、別れもなしにその後は一切旅行記には登場しなくなってしまう。でも、世界を横断するような旅行をしているのだから、考えてみればそんなのは当たり前なのだ。むしろ、そのあまりにもあっさりとした展開の切り替わりこそがリアルなのだろう。そういった作者の旅情を追体験できたような気がした所が、とても良かった。

それと、このエッセイの初版はかなり古いらしく、インターネットや携帯電話さえ無い時代の旅行記だと思うが、作者のタフネスさは凄い。見知らぬ街でガイドブックも無しに、手頃なホテルを見つけて、しばらくの間気ままに生活して、地元の人と仲良くなるなんて芸当は、同じような旅程ではあったが、自分にはとても真似出来ないなあって思った。沢木さんのその人並み外れたサバイバル能力を楽しむ側面もあったな。

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2024年12月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バンコク・ペナン・シンガポール編
今回も期待を裏切らない珍道中の旅
「金がない」著者は、いつも売春婦が出入りしている様な如何わしい安宿に滞在するので、しつこい誘惑が多い
そして薬の誘惑も多いので、読んでいてハラハラしますσ(^_^;)
我慢しろ〜我慢しろ〜
でも本当は一回や二回ぐらいは誘惑に負けてしまったのではないかと、勝手に思っています

今回は旅慣れて来たと同時に、自分自信と向き合う事で、心の成長が見られます
バンコクでは、ことあるごとに「金がない」と言い続けて来た自分
金がない自分が、その土地の人の親切を受けるのは当然だと心の何処かで思っていたのではないかと気づきます

シンガポールでは、自分と同じ様に旅をしている若者に、一種の旅の仕方の知恵を伝えたり、兄貴風を吹かせます

何処に行っても著者の基準は気に入った香港であり、香港のコピーを求めていたので、バンコクもペナンもシンガポールもつまらなく感じでいたことに気付きます

そして香港とは違う文化をもつカルカッタを次の旅先に選びます

何が起こるか、楽しみです♪

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2024年07月24日

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