あらすじ
黒瀬令児(くろせれいじ)は、町や家族に縛られながら“ただ”生きていた。アイドルとの心中未遂。町を出ると約束した幼馴染。令児に固執する教師。息子を縛り続ける母親。そして“アビス”は小説家の少年時代にまで遡る――…。少年の生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。“今”を映し出すワールドエンド・ボーイミーツガール、第六章――。
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田舎の閉鎖的な町で暮らす少年・黒瀬令児。
彼は、家族に縛られ、町から出ることを許されません…。
一体彼の人生は誰のものなのか。
閉塞感やノスタルジーが漂う作品です。
令児には、認知症の祖母とそれを介護する母、引きこもりの兄がいます。
母は現在の状況に疲れ果て、自分が楽になるため、令児に大学進学ではなく地元に就職することを強います。
しかも就職先は、令児をパシりとして使ってくる幼なじみの会社でした。
令児の人生は令児のものであるはずなのに、家族や町に縛られ、自分の人生を生きることがままなりません。
そんなとき出会ったコンビニ店員の女性が、令児が好きなアイドルグループのメンバー・ナギであることに気付きます。
舞い上がる令児ですが、ナギもワケアリのようで…。
「この町からいなくなる人」だからと自分の置かれた状況を話す令児に対し、ナギは「心中しようか」と提案するのです。
戸惑う令児となし崩し的に肉体関係をもつナギですが、なんと彼女には夫がいることが発覚します!!
令児が住む町は「春の棺」という劇中小説に登場する情死ヶ淵伝説の舞台となった町。
情死ヶ淵伝説とは、その小説の中で書かれている江戸時代に起きたとされる心中の話です。
この物語は、その情死ヶ淵伝説をキーに展開していきます。
登場するのはそれぞれワケアリで深い闇を抱えている人たちばかりです。
しかし、描かれている地方特有の閉塞感やしがらみに縛られた状況への諦め、自分の将来への絶望は、物語の中だけではなく、現実に生きる我々にも身近なことではないでしょうか。
それらを『ヒメゴトー十九歳の制服ー』の作者である峰浪りょう先生が圧倒的な描写力で描くため、読んでいるこちらも息が詰まるような閉塞感を感じるのです。
終盤、狭い世界で生きる令児に対しナギは
「全部捨てて町を出ていけば?」
という言葉をかけます。
そこではじめて令児は逃げても良いということに気付くのですが…。
明るい展開は今のところ見えませんが、彼らに今後救いは訪れるのか、複雑に絡み合った人間関係が「心中」というテーマからどう進んでいくのか…。
ハッピーな物語に飽きた方、是非この閉塞感に浸ってみてはいかがでしょうか。
感情タグBEST3
終始暗くて陰鬱な気持ちになるのに、なぜか気になって読んでしまう漫画です。
回想シーンはすごく良かったけど、ここからどう頑張ってもバッドエンドしか待ってないのがつらい…そして夕子ママ可愛い…。
Posted by ブクログ
前半は似非森先生の回想からスタート。中学生時代の夕子ママかわいすぎ。
回想編に入ったらこれまでの不可解な部分についてわかるところがあるかなーと思ったけれど結局謎が深まったままです。ひとつあるとすれば、幼い日の約束をひとつ、果たしていたかもしれないということかな。
後半は前巻終了時の令児&チャコの駆け落ちから。
こっからが怒涛。
チャコの闇落ちにユリ先生の暴走、そこに玄ちゃんも加わって泥沼の始まり。。。は次の巻までお預けのようです。でも一番の泥沼は夕子ママと令児でしょうか。
実は次の巻の途中ぐらいで新章開幕ですが、新章に向けての伏線も少しあります。令児兄やおばあちゃんとか。
でも・・・今回私がツボだったのはチャコの親父。
玄ちゃんが「チャコと令児が街を出ようとしている」ことをオヤジにチクった後の親父とおかあちゃんのやりとり。
すぐ娘に連絡をとれと妻に命令する親父ですが、娘のスマホは妻に命令して親父が取り上げたのでチャコは持ってないんですよね。それについておかあちゃん「どこに(連絡するん)?スマホはあなたが取り上げろって言ったんよ?私はもう知りませんよ。お父さんがどうにかしてくださいね」
おかあちゃん、ナイス!
アホで勝手な親はスマホで子どもが都合の悪いことをやらかすとすぐ「スマホを取り上げろ」とかいうけど、子どものスマホを取り上げて一番困るのは親自身なんですよね~。だから私は絶対、子どもからスマホは取り上げません。
リアルタイムで連載を読んでいるので最新話は知っているけど、コミックでおさらいすると新たにいろいろなことがわかるので、次の巻も楽しみ。
『ヒメゴト』ではちゃんとそれぞれの幸せを掴んで終わったのに対して、この作品ではキャラの幸せも見えなければどんな終わり方をするのか想像もつきません。
とても面白いので長く続いて欲しい反面、最終回が気になってしまいます。
ぎゃー
いよいよクライマックス…‼
物語が大きく動き出しました。最後はまさかあんなことになるとは…。どうか最後はハッピーエンドで終わって欲しいと願いながら読んでいるけど、無理っぽいですね。