田舎の閉鎖的な町で暮らす少年・黒瀬令児。
彼は、家族に縛られ、町から出ることを許されません…。
一体彼の人生は誰のものなのか。
閉塞感やノスタルジーが漂う作品です。
令児には、認知症の祖母とそれを介護する母、引きこもりの兄がいます。
母は現在の状況に疲れ果て、自分が楽になるため、令児に大学進学ではなく地元に就職することを強います。
しかも就職先は、令児をパシりとして使ってくる幼なじみの会社でした。
令児の人生は令児のものであるはずなのに、家族や町に縛られ、自分の人生を生きることがままなりません。
そんなとき出会ったコンビニ店員の女性が、令児が好きなアイドルグループのメンバー・ナギであることに気付きます。
舞い上がる令児ですが、ナギもワケアリのようで…。
「この町からいなくなる人」だからと自分の置かれた状況を話す令児に対し、ナギは「心中しようか」と提案するのです。
戸惑う令児となし崩し的に肉体関係をもつナギですが、なんと彼女には夫がいることが発覚します！！
令児が住む町は「春の棺」という劇中小説に登場する情死ヶ淵伝説の舞台となった町。
情死ヶ淵伝説とは、その小説の中で書かれている江戸時代に起きたとされる心中の話です。
この物語は、その情死ヶ淵伝説をキーに展開していきます。
登場するのはそれぞれワケアリで深い闇を抱えている人たちばかりです。
しかし、描かれている地方特有の閉塞感やしがらみに縛られた状況への諦め、自分の将来への絶望は、物語の中だけではなく、現実に生きる我々にも身近なことではないでしょうか。
それらを『ヒメゴトー十九歳の制服ー』の作者である峰浪りょう先生が圧倒的な描写力で描くため、読んでいるこちらも息が詰まるような閉塞感を感じるのです。
終盤、狭い世界で生きる令児に対しナギは
「全部捨てて町を出ていけば？」
という言葉をかけます。
そこではじめて令児は逃げても良いということに気付くのですが…。
明るい展開は今のところ見えませんが、彼らに今後救いは訪れるのか、複雑に絡み合った人間関係が「心中」というテーマからどう進んでいくのか…。
ハッピーな物語に飽きた方、是非この閉塞感に浸ってみてはいかがでしょうか。
感情タグBEST3
1〜6巻までは某マンガアプリで読んでいたけど、もう我慢できなくて購入しました！
玄くんもずっとずっと苦しかったんやね。登場人物皆んな、最後には救われて欲しいと思うけど…もうわかりません…
次巻を楽しみにしてます！
今まで読んだ漫画の中でも上位に入るくらい綺麗な告白でした…。例の見開きページが大好きで何回も読み返してしまいます。それにしても、玄の背負っているものが大きすぎて辛いです。幸せになってほしいと思ってしまいました。
どんどん謎が解けていく感じ！最初嫌いだった玄がとても可哀想に思えてきた。これからさらにどんな展開になるのか全く分からず、楽しみです。
Posted by ブクログ 2022年01月19日
前巻は衝撃的なラストだったんだっけ（←先にヤンジャンアプリで最新話まで読んでいるので落ち着いている）。
この展開はコミックス所見の方なら「ひえぇぇぇぇ」な展開でしょう、たぶん。
夕子ママ死んだのか？と思ったら生きてるのか。
令児の兄がついに登場。どんな人だったのかの片鱗がすこし見えた巻でした。
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小さな町で親子が心中、しかも息子の方は担任教師とデキていた・・・なんてことになったらそりゃあ大騒ぎでしょうよ。しかも担任が生徒の母親ひき逃げするし。
心配なのは玄とチャコ、そしてナギ。後半に登場しました。おっとそういえば似非森先生も登場していたしこの巻は主要キャラ総出演ですね。チャコの親父も玄の親父もそういえば登場した。
玄に対して持っていた疑惑は見事的中。夕子ママはやはり悪魔というか・・・ラスボスなのかもしれない。
おそらく次の巻の途中で第一部が終わるっぽいのでここらで一度頭の中を整理しておくほうが次の巻をより楽しめるかもしれません。
Posted by ブクログ 2022年01月08日
うわー！過去一良かったかも。玄、なんとなくそんな気がしてたけどやっぱそうだったんだね。そして2人の過去から令児と玄の結び付きは只者ではないと実感した。
それにしてもナギ登場した時の安定感が半端なかった
一段落したと見せかけてまだまだ波乱の渦中といったところなのか、限られた人数でこんなにも混沌とした関係性が描かれるのは"すごい"の一言です。
後どれだけ続くのか、どういう終末を迎えるのか、楽しみでなりません。
