あらすじ
黒瀬令児(くろせれいじ)は、町や家族に縛られながら“ただ”生きていた。アイドルとの心中未遂。町を出ると約束した幼馴染。令児に固執する教師。そして息子を縛り続ける母親。“アビス”は町すらも取り込み次第に大きくなっていく――。少年の生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。“今”を映し出すワールドエンド・ボーイミーツガール、第五章――。
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田舎の閉鎖的な町で暮らす少年・黒瀬令児。
彼は、家族に縛られ、町から出ることを許されません…。
一体彼の人生は誰のものなのか。
閉塞感やノスタルジーが漂う作品です。
令児には、認知症の祖母とそれを介護する母、引きこもりの兄がいます。
母は現在の状況に疲れ果て、自分が楽になるため、令児に大学進学ではなく地元に就職することを強います。
しかも就職先は、令児をパシりとして使ってくる幼なじみの会社でした。
令児の人生は令児のものであるはずなのに、家族や町に縛られ、自分の人生を生きることがままなりません。
そんなとき出会ったコンビニ店員の女性が、令児が好きなアイドルグループのメンバー・ナギであることに気付きます。
舞い上がる令児ですが、ナギもワケアリのようで…。
「この町からいなくなる人」だからと自分の置かれた状況を話す令児に対し、ナギは「心中しようか」と提案するのです。
戸惑う令児となし崩し的に肉体関係をもつナギですが、なんと彼女には夫がいることが発覚します!!
令児が住む町は「春の棺」という劇中小説に登場する情死ヶ淵伝説の舞台となった町。
情死ヶ淵伝説とは、その小説の中で書かれている江戸時代に起きたとされる心中の話です。
この物語は、その情死ヶ淵伝説をキーに展開していきます。
登場するのはそれぞれワケアリで深い闇を抱えている人たちばかりです。
しかし、描かれている地方特有の閉塞感やしがらみに縛られた状況への諦め、自分の将来への絶望は、物語の中だけではなく、現実に生きる我々にも身近なことではないでしょうか。
それらを『ヒメゴトー十九歳の制服ー』の作者である峰浪りょう先生が圧倒的な描写力で描くため、読んでいるこちらも息が詰まるような閉塞感を感じるのです。
終盤、狭い世界で生きる令児に対しナギは
「全部捨てて町を出ていけば?」
という言葉をかけます。
そこではじめて令児は逃げても良いということに気付くのですが…。
明るい展開は今のところ見えませんが、彼らに今後救いは訪れるのか、複雑に絡み合った人間関係が「心中」というテーマからどう進んでいくのか…。
ハッピーな物語に飽きた方、是非この閉塞感に浸ってみてはいかがでしょうか。
感情タグBEST3
面白かった。
登場人物全員怖いよ。
先生とお母さんのシーンは緊張感がありすぎて凄かった。
なんかそろそろ死人が出そうでびくびくしてる。
どんどん面白くなる!
こんなに、一人一人の登場人物が
意味のある目の離せない存在で強く描かれているストーリーは、ないんじゃないかと思わせるくらい巻数が増えるたび、どんどん話に引き込まれて読まずにはいられないです。特に最新刊5巻は、すべての登場人物の内が垣間見れて何とも言えない気持ちになりました。
先生
センセー!!こんな人だったんだね…。自分では正しいことをしてるつもりで、不幸をふりまいていることに全く気づいてない。そして母…。チャコの母も…。主人公の周りの人病みすぎてて辛い。
今はバラバラに動いてるキャラ達が一か所に集まるのかと思うと今から展開が楽しみです。
この重苦しい空気がたまりません。
個人的には令児の独白シーンの集大成感がすごく好き。
また、柴ちゃん先生の自由にさせてあげるという思いに混ざったエゴが剥き出しになっていく感じがエグいですね。
暴走する先生、ナギの復帰、そして令児の思い。
加速する物語の先が読めない展開で、早くも次巻が待ち遠しいです。
Posted by ブクログ
チャコはわざわざ先生の車に乗った上で
喧嘩を買うとは凄い度胸だ。
令児がまともな生活レベルを保ったまま
ここを逃げ出す方法が全く見えてこない。
彼の知っている中で確かに一緒に死んでもいいと
思える人はナギしか見当たらない。
普通ならこういう告発があったが本当か、
から入るものだと思うが、チャコの学校の先生たちも大概だ。
チャコも否定すれば良いのに。
ネカフェに行ったこと以外は証拠は上がらないだろう。
チャコが助けを求めるのが令児なのは仕方ないだろうが
約束を持ち出して頼るのは重過ぎる。
彼に何が出来るだろう。
玄もよくわからないし、母親は本当に気持ち悪い。
似非森の母親が入院していたからといって
連絡先を使うのは個人情報なのに、というのは今更なのだろうな。