あらすじ
この男の生き様は美しい。
本屋大賞の話題作。読まずに語るな。
愛する家族、社員、そしてこの国の未来のために。
この奇跡のような英雄たちは、実在した。
敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。ホルムズ海峡を突破せよ! 戦後、国際石油カルテル「セブン・シスターズ」に蹂躙される日本。内外の敵に包囲され窮地に陥った鐡造は乾坤一擲の勝負に出る。それは大英帝国に経済封鎖されたイランにタンカーを派遣すること。世界が驚倒した「日章丸事件」の真実。
若き頃、小さな日本の海で海賊とよばれた男は、石油を武器に、世界と対峙する大きな野望を持っていた。
「ゼロ」から全てが始まる。
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Posted by ブクログ
小学生の時にこの作品に出会って以来、何度読み返したか分からない。でも、読み返す度に「こんな人間になりたいなぁ」と思わせてくれる。自分が一番尊敬する国岡鐡造のポイントは「絶対に己の信念を貫く」こと。どんなに苦しい状況に陥っても、死に勝るほどの苦しみに直面しようとも、自分が信じた道をただひたすらに突き進むその姿勢が本当にカッコいい。それに鐵造の信念は、どんな場面でも人間尊重(=自己中心的でない)がなされているのがまたポイント高い。物語の主人公だから若干美化されてる部分はもちろんあるだろうけど、それでもここまで他人に目を向けられるのは凄いと思う。
またいい頃合いになったらこの世界に戻ってこようかな!
Posted by ブクログ
上巻の勢いそのままに下巻も面白くて大満足。
今の石油業界の中でどこが外資系、どこが民族系なのかを調べるくらいには興味が出るくらい面白い話だった。
戦後間もなくの立場の弱い日本企業でありながら、イギリス植民地のイランへと石油を買い付けに行き、後に「日章丸事件」と呼ばれる騒動を起こしたり一本の芯の通った姿勢には学ぶところが多い。
もちろん史実はもっとドロドロとしているのだろうが、リアリティを損なわない感じは『熱源』のようで面白かった。
社員は家族、出来の悪い家族だからクビを切るのか?という問いかけが痛快。
Posted by ブクログ
儲けることではなく人のために行動することが大切なのだと感じさせられる。人を信頼することや日本人の誇りを重視する鍛造にはとても心動かされた。
石油事業で生きる国岡鐵蔵
ここにある国岡鐵蔵のように戦前、戦中、戦後を通して大事業を為した実業家は多い。
特に、敗戦後の日本の復興期、主に製造品の輸出を伸ばして、人々を豊かにして社会の発展に寄与した企業は数多くある。
日本は戦後めざましい発展をした。
こうした大事業を為した実業家はいずれの方々も立派な哲学を持って会社を経営しておられた訳で、鐵蔵をそうした人の代表者としてこの小説を読めば、そうした人たちの人生、生き様を知ることが出来ると思う。
非常に感動的な物語である。
Posted by ブクログ
上巻の感想でも書いたが、私は歴史や時代物があまり得意ではない。
だが、そんな自分でも本作は面白いように読む手が止まらなかった。アバダンへ向かう時や、徳山に製油所を作る時はとても緊迫した貴重な体験を得ることができた。
日田が亡くなる時、鐵造が36名の店員の弔辞を読んでいる時は私も涙が止まらなかった。
国岡鐵造という日本人の鑑の一生を体験することができた。