【感想・ネタバレ】海賊とよばれた男(下)のレビュー

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購入済み

2021年09月04日

生涯人間尊重の信念を貫き妥協を許さず戦い続けた鋳造の生きざまには感動を通り越して畏怖の念を抱きます。
現代ではなかなか通用しない観念かもしれませんが、これこそが日本人の美徳でこれからの日本を背負っていく若い人たちには特に読んでもらいたい物語です。

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Posted by ブクログ 2024年02月07日

愛する家族・社員のため、国益のため信念を曲げず、周りに流されずに信念を貫く姿勢。今の日本があるのは彼がいたからといっても過言ではない。彼の生き様にともかく感銘を受けました。教科書にしてもいいレベルの名作です。
今の日本に彼のような人はいるのだろうか。
日本の高度経済成長が彼のような人のおかげだとする...続きを読むならば、今後の日本は成長できるのか。
こういった考え方をする人に日本を引っ張ってほしいですし、自分もそうなりたいと思わされるそんな一冊でした。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

在り方について再考する機会に感謝。
下巻で私が沁みたのは、日田重太郎氏の存在。
上巻でもその言葉に涙したが、下巻はその集大成。
国岡商店の本当の生みの親といっても過言ではない。
フィナーレで蘇るタンク底に笑顔で潜っていく男たちの姿。3人のレンガ職人を彷彿とさせる。
紛れもなく人間尊重の信念が信頼と希...続きを読む望を生んだ結果だ。
信念が支えを生み、連鎖していくことの美しさが感じられる素晴らしい小説。

「たとえ99人の馬鹿ぎいても、正義を貫く男が1人いれば間違った世の中にはならない。」

「リスクのない商売はない」

「人生は一度きりだ。ふたつの道はない。」
ユキと多津子を回想しながらの一言。

「人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命」

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Posted by ブクログ 2023年12月26日

社員を家族として考え、経営難に陥る危機があったとしても馘首することは考えず活路を見つけた生き方に終始引き込まれました。入社まもない社員を切り捨てる話が上がったときも周りに流されず自分の考えをしっかりと周りに伝え改めさせたところも感動した場面でした。
常に日本のためを第一に考え行動した田岡鐡造の生き様...続きを読むが好きになった1冊です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月14日

この本では鐵造の死亡するところまで書かれている。店主として何十年も過ごしていて色々な問題に直面していてそれを乗り越えていくのが見ていて面白かった

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Posted by ブクログ 2023年10月07日

国岡鉄造と一緒に年を重ねているような充実した読書時間だった。終盤で鉄造が創業以来の月日を振り返った時、思わず私までしみじみとした。

もともとこの本は、「経営者の気持ち」を知りたくて手に取った。

最も印象的なのは、店員(従業員)が歓喜した時には悲観し、皆が絶望している時には楽観する、と真逆の発想を...続きを読むすること。(終戦後の焼け野原で皆がその日食べるものにも困る中で、鉄造は「日本は絶対立ち上がる、頑張ろう」と奮起した)
会社という大船の舵取りをするために、常に従業員とは別の視点で、冷静に、物事の分析や先読みをしなければいけない。そしてその思考は、従業員と常に共有されるわけでも共感されるわけでもない(緊迫した状況であればなおさら)。
「経営者は孤独」だと言われるが、だからか、と腑に落ちた。
それでいて、最後の1文がいい。長きに渡り、己の正義を貫くためにどんなに「誘惑に迷わず、妥協を排し」て会社経営をしてきたとしても、その経営者も人の心を持つ一人の人間なのだということが、じわじわと思い知らされる。
「経営者の胸の内」を知りたい人にとっては、こんなにリアルなバイブルはないかも。


そしてこの本の面白さは、解説にもあるとおり、日本の官僚・国際石油資本・国岡商店それぞれの倫理の絡み合い。戦争や戦後復興の裏側を石油の視点から見る面白さがあった。

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Posted by ブクログ 2023年09月23日

2013年本屋大賞受賞作品
以前に読んだ「永遠の0」と似ているのだが、また一味違う読後感。
この作品も自分が今まで読んだ本の中で最上級の作品だと感じている。
出光の創始者である出光佐三さんがモデル。史実とフィクションが組み込まれながらの作品で凄く読み応えのある作品だった。

国岡鐵造の日本男子として...続きを読むの格好よさが終¹始作品に溢れている。その根底にあるのは人間尊重の精神。強く愛が含まれている。
こんな男になりたい、目指したい、なってみせたいと作中何回思った事か…

感想を書こうと思えば作中の様々な局面で幾らでも書けそうだが、つまるところはやはりどの場面でも「愛」だろうと感じる。
なかでも日田重太郎とのエピソードが最高に胸を打つ。友情とも愛情とも仲間ともなんとなく違い、精神上の繋がりという感じの関係性は言葉では言い表せない。そんな間柄の人は自分にはいない。
素直に羨ましかった。
作品とは違うが読後二人を調べてみれば年老いた日田さんが和装で椅子に座り、その後ろからスーツ姿の年老いた出光さんが日田さんの両肩から両手をまわしている写真を発見した。二人の少年のような笑顔で胸がいっぱいになった。
なんという写真だろうかと胸がつまる。

最後「仙厓和尚」の「双鶴画賛」に看取られて鐵造は息を引き取る。戦後生き抜く為に一度手放したが再び戻ってきた絵。
一方の鶴は国岡自身だろう、もう一方はと考えた。色濃い国岡の人生の中で当てはまる人物は幾らでもいる。それもそうだろうとも思うが、そのもう一方の鶴は日本という国にも感じられる。そうして考えてみると国岡だったはずの鶴は今を生きている自分たち日本人に向けている未来になっているのでは?とも感じられた。

士魂商才、自分も飲食店の店主として忘れないように、また何度でも読んでいこうと決意している。

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Posted by ブクログ 2023年09月16日

めちゃくちゃ面白い。
出光佐三という人間から勇気がもらえる。
何十年にもわたって感動させることができる人物こそ偉人であると思った。

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Posted by ブクログ 2023年09月03日

 主人公(国岡)は、隙あらばチャンスと考え、事業を拡大していく。その豪快さと勘の鋭さに驚嘆した。学生の時から、これからは石油の時代になる。と考えていたことも、圧巻させられた。海賊とよばれてきた意味がすぐに分かった。

 国岡は強さと優しさを併せ持つ男であった。

 社長(国岡)と従業員の信頼ある関係...続きを読む性に心を奪われた。国岡は社員を家族と考え大切にしていた。従業員も皆、彼の魅力に惹きつけられた。

 「国岡と共に懸命に働くこと」この志を共有した仲間たちとの仕事は、何よりも尊い喜びであった。人からの温もりに満ちた職場は、厳しい環境であっても、きっとかけがえのないものなのだろう。自分も身を置いてみたいと心から思った。

 日章丸がイランへ向かう旅路の場面が一番好きだ。死と隣り合わせの航海に、快く承諾した船長(新田)。彼の巧みな技術、責任感、優しさが魅力的だった。ドキドキ、ハラハラの展開に胸が高まった。新田と乗員達とのやりとり、国岡からの手紙に何度も涙で溢れかえった。

 国岡は家族、社員だけでなく、消費者の気持ちを尊重し続けた。利益より世界中の消費者側に寄り添う信念に感銘を受けた。さらに、日本の為、他国の為に舵を取る仕事のやり方は彼にしかできないことだと思った。世界の偉大なる父のように感じた。

 生涯を通して「人は財産である」と人を心の底から大切にする生き方。純粋に素敵だと思った。

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Posted by ブクログ 2023年08月01日

上よりもさらに面白く、あっという間に読めた。
特にイランから石油を運んでくるまでの内容は、手に汗握る展開でハラハラしながら読んだ。
主人公の信念を曲げない姿勢、先を見通す力は本当にすごい。

「人を大事にする」姿勢が、今の日本人には圧倒的に足りていないのではと感じた。

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Posted by ブクログ 2023年06月05日

最高でした。
あの出光興産の創業者である出光佐三の若き日々から亡くなるまでの物語(作中では国岡鐡造の国岡商店)。
石油業界にこんな歴史があるなんて知らなかった。
恐らくすべてノンフィクション。
事実は小説よりも奇なりという言葉があるけど、どんな物語より劇的な人生だと思う。
歴史や日本史に詳しくなくて...続きを読むも、難しいところはサーっと流して問題ない笑
充分すぎるほど楽しめた。ガソリンスタンド通る時に見る目変わる。
出光佐三さんが同じ日本人で良かった。
若い人こそ読むべき作品だと思う。

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Posted by ブクログ 2023年04月29日

何不自由なく利用している石油に、こんな壮大な出来事があったなんてまったく知らなかった。 大東亜戦争後の焼け野原では、誰もが何から手を付けていいか分かず呆然とする中、我が国の経済を支配しようとする欧米の大企業にたった一人で闘った男がいたなんて・・・。 人のため日本国の将来のためを思って行動を起こした明...続きを読む治人の気骨と愛国心に感服する。 料金さえ払えば何でも手に入る時代だけど、今一度、物の有り難みを考えてみたい。

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Posted by ブクログ 2023年04月06日

作者が放送作家をしていたりしただけに、全体を通して少しドラマチックにし過ぎでは?とも感じました。
ですが、とてもドキドキしながら読みました。やはり面白いです。
国岡鐵造、とても熱く優しい男でした。

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Posted by ブクログ 2023年02月02日

これは全国民に読んでほしい。
先人達のたゆまぬ努力のおかげで今の日本があるということをみんなに知ってほしい。
国の発展を願い熱く努力してきた人たちの物語はこんなにもかっこいいのか。
背中をバシッと叩かれて気合いを入れてもらえるような小説。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月19日

上下巻を一気に読んだ。あくまで小説ではあるが、史実が細かく描写されており、石油についても勉強できた。第二次世界大戦の敗北の一つの要因が石油不足とは知らなかった。
物語の流れはよくあるような、勧善懲悪的なものだが、次の流れはわかっているものの、胸のすく想いがして面白く読むことができた。
最後の方で、国...続きを読む岡商店初期メンバーが年齢によって辞めていってしまう描写は悲しくはあったが、懐かしい不思議な思いがした。
結論面白い小説であった。

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Posted by ブクログ 2023年01月11日

いやー、すごく感化された。
国岡鐡造のモデルとなった出光佐三について
調べたくなった。
徳山製油所にも行きたい。
日章丸は5代目まであるらしい。
戦争についても少し学べた作品。

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Posted by ブクログ 2022年08月15日

日本人であることを誇りに思え、人を信頼することの大切さ考えさせられる。戦後の苦境を乗り切ったこの日本に生きられることを先人に感謝したい。

以下、印象的なフレーズ
・けっして日本人としての誇りを失ってはならん。日本人の良さを持ちながらアメリカ人の長所を身につけよ。
・もし店員たちが初心を忘れずに頑張...続きを読むる気持ちを持っているなら、必ずや十ヶ月で完成する。しかし、もし自分たちは大会社の社員であるという驕った気持ちを持っているなら、二年、いや三年経っても完成はしないだろう。
・私自身は自分の五十年を一言で言いあらわせる。すなわち、誘惑に迷わず、妥協を排し、人間尊重の信念を貫きとおした五十年であった。
・私は、人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命と言っています。

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Posted by ブクログ 2022年07月04日

出光興産出光佐三の物語
こういう日本人達がいたからこそ、日本は戦後あんなにも早く復興し、世界の1等国になれたのかと実感しました。小説なので、どのくらい創作が入っているか気になるところ。
最近出光のガソリンスタンド見かけないな

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ネタバレ購入済み

石油事業で生きる国岡鐵蔵

2020年07月14日

ここにある国岡鐵蔵のように戦前、戦中、戦後を通して大事業を為した実業家は多い。
特に、敗戦後の日本の復興期、主に製造品の輸出を伸ばして、人々を豊かにして社会の発展に寄与した企業は数多くある。
日本は戦後めざましい発展をした。
こうした大事業を為した実業家はいずれの方々も立派な哲学を持って会社を...続きを読む経営しておられた訳で、鐵蔵をそうした人の代表者としてこの小説を読めば、そうした人たちの人生、生き様を知ることが出来ると思う。
非常に感動的な物語である。

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Posted by ブクログ 2024年02月24日

この手の内容の本は、あまり得意ではなくて、本屋大賞をとっていたにもかかわらず、ずっと読まないままでした。

主人が読んで、すごくよかったと言っていたので、今回ようやく読んでみることに。

さすが、本屋大賞作品。

どんどん読み進めていけました。

今の時代では中々見ることのない、仁義。大和魂。人間力...続きを読む

店主の徹底的に人を信じる、日本を思う心に感動しました。そして、日田さんもすごい。

昔の人は、実際に相手と対峙して、自らの感覚のみで、その人を信じるか信じられないのか判断をしていて、それが羨ましいし、本来の姿だと思う。

現代は…SNSが普及しすぎて、何が正しいのか…自分で判断出来なくなってしまい、周りの評価ばかり気にしすぎて、だから、人間関係も気薄になり、どんどん薄っぺらい社会になってしまっている気がする。

こんな熱い時代、私も体験したかった。

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

初心を諦めずに戦い抜く力。人間を、仲間(家族)を信頼し抜く力。信念を曲げず、臆することなく行動する力。こんな力を持った人が歴史を作ったことを再認識するとともに、そういった人が日本を守ろうとしてくれたことに感動し感謝が込み上げる。「まだまだ勉強が足りない」。歴史を知り、後世のために出来ることをしようと...続きを読む決意させてくれた一冊。

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Posted by ブクログ 2024年01月14日

海賊は、道無き道を切り拓いた偉人でした。

偉人の生き方をとやかく言うつもりはありませんが、最初の奥さまユキさんとの関係は残念でならなかった。最後の最後に触れてくれたのだが、んー、救われなかった。鐡造の本心なのか?
モデルとなった人物についてはあらためて色々調べてみたい。

「私は、人間を信頼すると...続きを読むいう考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命と言っています」

再確認→戦争は本当に本当に愚かなこと。

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Posted by ブクログ 2023年12月16日

自分の正義を生涯に渡って貫いた偉大な人の物語でした。
常に利己的ではなく、日本人、店員のことを第一に考えること。
人が何よりも大切であることを改めて教えられるような一冊だった。

こんなかっこいい人になりたいと思う。

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Posted by ブクログ 2023年07月10日

下手な自己啓発本よりタメになる、ちょっと長いけど。

何がなんでも自分の信念を貫き通していく姿に感化されていって、周りがどんどん献身的になっていく。圧倒的な主人公タイプ。

信頼を得るために行動するのではなく、行動した結果で信頼が後から勝手についてくる。
それを生涯をかけて証明してみせた。

ただ工...続きを読む期2年を8ヶ月に短縮は流石にやりすぎやろ。
☆4.3

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Posted by ブクログ 2022年12月24日

国岡鐵三のすさまじい生き様です。
こういう人が戦後の礎を築いてくれたおかげで今の我々の生活があることを感謝しないといけない。
大きく変わるこの世の中で、どう生きるか、どう仕事と向き合うか、考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2022年10月18日

日本民族の誇り、ここにあり。
胸が熱くなり、目頭を熱くするシーンがどれだけあったか。
己の考えをこれほど貫徹できる人間が今の世にいるだろうか。
漢の話である。

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Posted by ブクログ 2022年10月06日

「百田尚樹」が、出光興産創業者の「出光佐三」をモデルに描いたドキュメンタリータッチの作品『海賊とよばれた男』を読みました。

『「黄金のバンタム」を破った男』に続き「百田尚樹」作品です。

-----story-------------
「歴史経済小説の最高傑作!」(「西川善文」元三井住友銀行頭取」...続きを読む
「『宮本武蔵』、『竜馬がゆく』・・・・・・青春歴史小説の新たな”古典”」(「末國善己」文芸評論家)
――発売以来、激賞の声が止まない、「百田尚樹」氏の書き下ろし長編。
物語は、敗戦の日から始まる。

〈上〉
「ならん、ひとりの馘首もならん!」
――異端の石油会社「国岡商店」を率いる「国岡鐵造」は、戦争でなにもかもを失い残ったのは借金のみ。
そのうえ大手石油会社から排斥され売る油もない。
しかし「国岡商店」は社員ひとりたりとも解雇せず、旧海軍の残油浚いなどで糊口をしのぎながら、逞しく再生していく。
20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。
その石油を武器に変えて世界と闘った男とは
――出光興産の創業者「出光佐三」をモデルにしたノンフィクション・ノベル、『永遠の0』の作者「百田尚樹」氏畢生の大作その前編。

〈下〉
敵は「七人の魔女(セブン・シスターズ)」、待ち構えるのは英国海軍。
敗戦後、日本の石油エネルギーを牛耳ったのは、巨大国際石油資本「メジャー」たちだった。
日系石油会社はつぎつぎとメジャーに蹂躙される。
一方、世界一の埋蔵量を誇る油田をメジャーのひとつ「アングロ・イラニアン社(現BP)」に支配されていたイランは、国有化を宣言したため、国際的に孤立し、経済封鎖で追いつめられる。
イギリスはペルシャ湾に軍艦を派遣。
両国の緊張が走る一触即発の海域に向けて、一隻の日本のタンカー「日章丸」が極秘裏に神戸港から出港した――。
世界を驚倒させた「日章丸事件」に材をとった、圧倒的感動の歴史経済小説、ここに完結。

「この作品は『小説』という形をとっていますが、登場人物はすべて実在しました。
 そしてここに描かれた出来事は本当にあったことです。
 この奇跡のような英雄たちの物語が、一人でも多くの日本人に届くことを心から願っています」(「百田尚樹」)
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出光興産の創業者「出光佐三」がモデルとなっている主人公「国岡鐵造」の一生と、出光興産をモデルにした国岡商店が大企業にまで成長する過程を描いた歴史経済小説、、、

2013年(平成25年)4月に第10回本屋大賞を受賞した作品なので、愉しみにして読みました。

 ■序章
 ■第一章 朱夏 昭和二十年~昭和二十二年
 ■第二章 青春 明治十八年~昭和二十年
 ■第三章 白秋 昭和二十二年~昭和二十八年
 ■第四章 玄冬 昭和二十八年~昭和四十九年
 ■終章
 ■主要参考文献一覧
 ■解説 堺屋太一

1953年(昭和28年)、「七人の魔女(セブン・シスターズ)」と呼ばれる強大な力を持つ国際石油メジャーと大英帝国を敵に回して、堂々と渡り合い、世界をあっと言わせたタンカー「日章丸」、、、

現代の日本人が忘れかけている心を持った男たちの姿… そして、そんな男たちを率いた一人の気骨ある経営者「国岡鐵造」の壮絶な人生が描かれた英雄伝です。

本書を通じ、日本人としての誇りを感じ、信念を貫くことの大切さや、人(社員)を大事にすることの重要さを感じましたね… 企業のことよりも、国のことや、国民のことを優先する考え方は、実業家としてはどーなのかなー とは思いましたが、その考え方に共感できたのは事実、、、

立派な志を持った人には、それに同調する人や助けようとする人たちが集まってくるんだな、人が人を呼ぶんだなぁ… ということも実証されていましたね。

そして、国際石油メジャーや関連機関を欺いて、タンカー「日章丸」を密かにイランへ向かわせて、浅瀬や機雷などを突破、イギリス海軍の裏をかき回避する事に成功し、海上封鎖を突破して、無事に石油を日本に送り届けた快事(日章丸事件)は、本当に痛快だったし、感動させられました、、、

世界を驚かせる、そんな企業が日本にあったなんて、初めて知ったし、同じ日本人として誇りに思えましたね。

また、2年はかかると言われた、徳山の精油所建設工事を10カ月に短縮したことも驚きでした… 関係する人々が目標を共有化して、一体となって取り組めば、大きな成果が得られるんだなぁ、、、

ということを改めて感じました… 業務にも活かせる事例でした。

色々な気付きのある作品でしたが、その中でもイチバン驚いたのは、「国岡鐵造」の「人間尊重」の強い信念… 社員は家族と同然だと公言し、その思いが反映された、当時の出光興産では、就業規則もなければ出勤簿もなく、馘首もなければ定年もないという制度で、労働組合もなかったとのこと、、、

それで、優秀な業績を挙げていたんですからね… 会社って、何なんだろうなぁ、経営者と社員の関係って、何なんだろうなぁ、と考えさせらました。


そういえば… 本作品に『永遠の0』の主人公「宮部」がチラッと登場していました、、、

1940年(昭和15年)の秋に「国岡鐵造」が、当時幅広く事業展開していた中国の支店を訪問する場面で、旧知の海軍大佐と会って、海軍の最新鋭戦闘機として零戦を見せてもらい、その時の若い航空兵が「宮部」だったという場面… こういう仕掛けって好きですね。

本作品は監督「山崎貴」、主演「岡田准一」という『永遠の0』と同じ顔合わせで映画化され、12月10日に公開が予定されているそうです… 劇場に観に行きたいな。





以下、主な登場人物です。

【主人公とその家族】

「国岡鐵造」
 国岡商店の創業者にして主人公。モデルは出光興産創業者の出光佐三。

「国岡徳三郎」
 父。モデルは出光藤六

「国岡稲子」
 母。モデルは出光千代

「国岡万亀男」
 兄。鐵造より三つ年上。初の海外進出である大連支店の支店長となる。

「国岡ミツ」
 姉。鐵造より二つ年上。名前のみ登場。

「国岡タエ」
 妹。名前のみ登場。

「国岡達吉」
 弟。モデルは新出光創業者の出光弘。
 (小説中にも新出光は「新国岡」という社名で登場する)

「国岡貞夫」
 弟。名前のみ登場。

「国岡孝義」
 弟。名前のみ登場。

「国岡正明」
 末弟。鐵造より十五年下。モデルは出光計助出光興産二代目社長。

「国岡ユキ」
 前妻。鐵造を愛していたがやむを得ない事情で自ら別れを切り出す。

「国岡多津子」
 後妻。鐵造との間に息子1人と娘4人を儲ける。

「国岡昭一」
 国岡鐵造の息子。モデルは出光昭介出光興産五代目社長。


【重太郎とその家族】

「日田重太郎」
 国岡鐵造の恩人。
 国岡の若き頃、自らの家を売って会社設立の為の資金を「返済不要」の条件で援助した。

「日田八重」
 日田重太郎の妻。

「日田重一」
 重太郎の長男。

「日田重助」
 重太郎の次男。


【国岡商店の関係】

「東雲忠司」
 国岡商店の店員。モデルは石田正賓出光興産三代目社長。(後、経団連副会長)

「武知甲太郎」
 国岡商店の店員。元陸軍中野学校教官で、情報戦のプロとして国岡を支える。
 モデルは手島治雄出光興産専務。

「甲賀治作」
 国岡商店の店員。抜群の記憶力で国岡を支える。

「柏井耕一」
 国岡商店の店員。物覚えが悪く才気が無いが、人一倍の努力で国岡を支える。

「宇佐美幸吉」
 国岡商店の店員。武知の右腕。

「小松保男」
 国岡商店の店員。

「藤本壮平」
 国岡商店の店員。元海軍大佐。モデルは長井弘介。

「重森俊雄」
 国岡商店の店員。
 浅瀬に作られた徳山油槽所におけるシーバース建設という難工事に挑戦する。


【GHQ関係者】

「ジョン・F・アイソ」
 日系2世のGHQ法務局少佐。(実名のまま登場)

「アレックス・ミラー」
 GHQ法務局少佐。

「ソニー・レドモンド」
 GHQ法務局大尉。


【その他】

「人見孝」
 商工省石油課長。業界団体の嫌がらせで国岡商店に石油が入らなくなる所をはねのける。
 後、電気事業連合会副会長。(実名のまま登場)

「鳥川卓巳」
 国内最大手の石油会社「日邦石油」(モデルは日本石油)社長。
 国策企業である石油配給統制会社の社長として石油流通を統制し、国岡商店を潰しにかかる。

「白石庸次郎」
 大手水産会社「山神組」(のちの日本水産)の社員。
 水産講習所(現東京水産大学)出身。

「玉置敬三」
 通商産業省の官僚。後、東京芝浦電気会長。(実名のまま登場)

「新田辰夫」
 日章丸の船長。(実名のまま登場)

「池田勇人」
 通商産業大臣。後に首相となる。(実名のまま登場)

「三木武夫」
 通商産業大臣。後に首相となる。(実名のまま登場)

「柳井恒夫」
 国際弁護士として法律面で鐵造を支える元外務官僚。
 小説では触れられていないが、外務省条約局長などを歴任している。(実名のまま登場)

「宮部」
 上海の零式艦上戦闘機の航空兵

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Posted by ブクログ 2022年10月04日

何度か感動泣きしそうになった
じわ〜と胸が熱くなるシーン上下共にたくさんある

イランからの石油の輸入、ドデカタンカーとドデカタンクの作製とか数々の偉業を周りに反対されても強い信念で成し遂げててまじですごい

最初に大金をどんとくれた男(名前失念)とのやりとりが特に胸熱だった

あとは石油がどれだけ...続きを読む世界というか人間にとって重要か痛感した
第二次世界大戦も石油によって引き起こされ石油によって負けたっていうのは知らなかった

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Posted by ブクログ 2022年07月03日

戦前戦争、そして戦後。
ひとりの男と会社の人生をたどった作品だけれど、あまりの波乱万丈さに、上下巻のものすごい分量になっている。
下巻の後半あたりからはちょっと飽きてくるくらい。事件もエピソードも多すぎる……。
まさに石油界、戦後の日本を背負って戦った男の人生でした。
この男たちが実在したと思うと胸...続きを読むアツ。


ひとりの馘首も許さん!
わたしも乞食をする!と怒鳴る店主。
会社としての儲けより、日本の利益を優先した生き方。
どのくらいフィクションが入ってるんだろうか?
気になる。とにかくかっこいいです。

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Posted by ブクログ 2024年02月27日

激動の時代を不屈の精神で生きた主人公、国岡鉄造。
出光佐三さん。

戦争、金融恐慌、関東大震災‥
コロナという厄災が訪れている今と重なって、どんな時も下を向かず、上を向いていかないといけないと強く思いました。
そして、どんな時代の非常事態でも私利私欲のために生きる人たちもいる事実もつらい‥。
負けち...続きを読むゃいけない。

1973年の石油ショックの時の言葉、 「ぼくは、今度の石油危機は、日本国民にとっては天の下された試練と言えるのではないかと思っている。国民は享楽に慣れきって、節約を忘れてしまった。そこで天がモノを大切にせよと反省の機会を与えたのではないか」

考えさせられます。
今、私たちの試練で向き合わないといけないことは何か。
ちゃんと向き合って乗り越えた先に、一歩進んだ新しい世界があるはず。

そういえば、展示やコレクションが好きで何度か行っていた出光美術館。
全然意識していなかったけど出光佐三さんのコレクションでしたね。

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Posted by ブクログ 2023年04月17日

この本を読んでから出光に対する見方が変わった
最近でこそ米英は正義の国の様な雰囲気を出しているけど
自国の利益を優先する時は結構無茶してくるので、日本も巻き込まれない様に注意!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月24日

下巻を読み終わっても本当にこんな人が実在したのかと疑ってしまう

最初はそんな強い人のように思えなかったけど
辛い経験を何度も経て強く優しい皆の心の支えとなる人になってるけど、根っこの部分はなんら変わってないようで

仕事って自分や家族が生活して、遊んだり、楽しんだりする為は確かにそうなんだけど、そ...続きを読むれだけじゃないんだ
ちょっと自分にも喝が入ったようなそうでないような

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