あらすじ
堂場瞬一史上売上NO.1警察小説シリーズ
俺はまだ、死んでいない――故郷を去り、警視庁多摩署で現場に戻った了は、署内で冷遇を受ける女性刑事・小野寺冴と組むことに。厄介払いとして押しつけられたホームレス傷害事件に腐る二人だが、周囲にはなぜか公安の影が。心に傷を抱えた二人の刑事が今、最高のコンビとして立ち上がる。シリーズ第二弾。
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また重い、重すぎる。主人公鳴沢了の中途半端な行動に歯がゆい思いが募り、なんとか悟りの境地に近づいて欲しいと思っていた矢先、更なる十字架を背負わされた。
この先、何作も連なっていくことが分かっており、どれだけの苦難が待ち受けているのか心配でならない。
次作以降に冴が登場するかも気になるところ。
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第1作を愉しく読み、長く未読であったことは間違いだったと気付いたというシリーズだが、その第2作である。
地味な事案が思い掛けない拡がりを見せて行くのだが、そういう中に入り込んで行く展開が非常に面白い。
警視庁の多摩署、刑事課の資料室で埃に少し塗れながら過去の記録資料を呼んでいる男が在る。鳴沢了である。
その鳴沢了が連絡を受け、事件現場に出ることになった。現場の公園に向かうと、既に女性の捜査員である小野寺冴が到着済みで、鳴沢は「遅い」という言葉で迎えられた。
公園のホームレスが何者かに襲撃されたが、襲撃犯も逃げ、襲撃を受けた側も何処かへ去ってしまったという不思議な状況が生じていた。襲撃を受けた者が何者なのか、そして襲撃犯の正体を探らなければならない。鳴沢は小野寺冴とコンビでこのホームレス襲撃という事件を担当することになった。
こうした展開の他方、鳴沢了の状況が説かれる。前作の事案の結果、複雑な想いを抱いた鳴沢は新潟県警を退職し、学生時代を過ごしていた東京に移った。東京で仕事を探したが、語学堪能者枠という募集で警視庁に入って刑事として活動することになった。そして多摩署に配置された。が、何かよく判らない男が入って来たと相手にされず、資料室で資料を見ているようなことばかりして何ヶ月間か経ったという状況だった。
ホームレスの件でコンビを組むことになった小野寺は、色々と経緯が在って多摩署へ移動して来て日が浅い。この小野寺の事情も順次明かされることになる。
結局、多摩署の刑事課に在って、鳴沢と小野寺は「厄介者コンビ」という扱いだ。それでも2人は懸命に事案に取組む。そして襲撃を受けたホームレスが過去に携わっていたという活動のことを知る。
そうしている間に管轄内で殺人が発生する。自宅の辺りで襲撃を受けた男性が死亡したのであるが、この死亡した男性が、襲撃を受けたホームレスが過去に携わっていたという活動に関与していたということが判った。捜査本部が設けられることとなったが、鳴沢と小野寺はそこには参加せず、ホームレスの件を引続き担当ということになった。
地道な捜査で意外な真実が順次炙り出される。そして被疑者と対決する段での緊迫する展開に夢中になる。
こういう物語であるのだが、鳴沢と小野寺というコンビの出会いと交流、共闘という様子や、鳴沢の個人的な交友というような事柄も在って、なかなかにリアルに展開する。「そういうことだった?」と驚かされる展開になって行く。
何か、色々と在って「荒野」というような中に踏み出して独り歩むような感じになって行く鳴沢というのが前作から続く傾向という感じである。互いを補うように共闘する鳴沢と小野寺による「厄介者コンビ」の風情が好い。東京の多摩地区で展開する物語だが、情景に詩情が滲み、同時にクールである。
大変に愉しいシリーズで、出逢って善かったと思う。
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他シリーズ作品で鳴沢了=ヤバい人というイメージぎついていたため、思ったより普通の人だなという印象。
祖父の次は先輩。
また彼の身近な人が犯罪の中心にいて、彼を傷つける。
先輩の恋人が殺され、その復讐。
学生運動が盛んな時代が背景にあり、今では全く馴染みがないが当時を経験している人にとっては特別なつながりなのかなと思った。
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BSフジ 刑事鳴沢了 〜偽りの聖母〜か?
堂場瞬一史上売上NO.1警察小説シリーズ
故郷を捨てた男は、それでも刑事にしかなれなかった。警視庁多摩署で現場に戻った了は、刑事部屋で倦厭され孤立する美女刑事とコンビを組む。命じられたホームレス傷害事件に腐る二人だが、被害者の周囲にはなぜか公安の影が……。東京郊外の新興住宅地に潜む、過去の闇を暴けるのか? シリーズ第二弾。
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50年前の殺人事件の責任をとり、祖父は自ら命を絶った。それを止めることができなかった鳴沢了は、新潟県警に辞表を提出し、故郷を去った。
が、生まれた時から刑事の男は、警視庁多摩署で刑事として、現場に戻るが…
言われなき噂により、資料室に追いやられる。
ホームレス襲撃事件が起こるが、被害者が行方不明となり、同じく過去に起こした事件により、閑職に追いやられていた小野寺冴とコンビを組み、捜査をすることに。
捜査を進めるうちに、被害者のホームレスが元学生運動活動家だった事がわかり、公安の影が…
了と冴のロマンスはどうなるのか…
元学生運動活動家たちの動きから30年前のある事件が…
了が学生時代から世話になってきた先輩・沢口も関わりがあることが…
なかなか辛い展開…
了はどうなっていくのか…
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今まで読んだ刑事物の中で、1番重めの結末だった。
過去の事件とリンクする設定が好きなので、とても楽しく読めた。鳴沢了の人生は本当に波乱万丈だと思った。
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シリーズ2作目です。
1作目で県警を辞めた了が就職したのは警視庁。親の力ではないかと言われ冷たい視線を浴びる日々。そんな中でも浮かび上がれる日を思いながら、資料室で過去の事件を読み漁る日々。
そんな中で誰もやりたがらないホームレス暴行事件に駆りだされ、それでも事件を任された事で何とかそこから這い上がろうと決意するのでありました。
相棒に選ばれたのは訳アリの美人刑事。何故か敵意をむき出しにする彼女とぶつかり合いながら思いがけない事件に足を踏み込むことに・・・。
前作に引き続き女性との関わりが有り、結構惚れっぽいなこいつというのが、了に対する私の評価であります。
事件は、小さい穴から巨悪に繋がる流れがいい感じで、テンションが上がっていきます。
相棒の冴が美人で気が強くて、でもちょっとお茶目。そんな都合のよい事があるかい!!と思いますが、魅力的なヒロインが出てくると楽しいのも確か。正直話はあまり覚えていないけれど、了と冴の恋路の方が印象に残りました。
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新潟県警を離れ、警視庁多摩署に赴任した鳴沢了シリーズの第2弾。
署内で冷遇されている女性刑事小野寺冴と組み、ホームレス傷害事件を追う。似たような境遇と過去を持つこの二人、反発したり協力したりしながら、事件解明に走る。
第1弾では、50年前の事件が背景に。今回の事件は、30年前の出来事に端を発するらしい。
途中の何気ない恋バナが、事件の鍵となるとは。
過去の問題が現在まで続いているというのが、このシリーズのテーマのよう。
重苦しい話であるが、そのような問題意識は、回を追うごとに薄らいでゆくと、ある評者が書いている。
今後、どのような展開になるか、読み続けてみよう。
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新潟県警を辞めて、警視庁の多摩署で刑事としてやり直す鳴沢。今回のパートナーは女刑事の小野寺冴。
大きな事件を任してくれず、不貞腐れる二人。与えられた仕事をただ地味に追いかけていく二人。
最初は反発しあう二人だけど、似た者同士息がピッタリになっていく。それでも鳴沢が持つ過去が最後まで壁になったことは、この先のシリーズにも影響を及ぼしそうな予感。
事件の結末は、何だかやりきれません。