あらすじ
鉄道漫画の旗手・池田邦彦が挑む新境地!!
『カレチ』『甲組の徹』『グランドステーション』など、
数多くの鉄道漫画を生み出してきた池田邦彦が
新たに挑むのは「仮想戦後活劇」!
物語の舞台は、太平洋戦争末期に本土決戦を経て
「1946年1月」に敗戦を迎えた日本。
ソ連を含む各国軍によって分割占領された日本は、
やがて「日本民主共和国」と「日本国」として独立。
それぞれが東西陣営に属する国家となり、
列島には鉄のカーテンが降ろされることとなる。
両国の境界には強固な壁が建設され、
国境の街となった東京は東西に分断されてしまう。
1962年の東トウキョウ。
押上で暮らす19歳の杉浦エミーリャは
十月革命駅(旧上野駅)の人民食堂で働く女性。
その彼女が持つもうひとつの顔、
それは東から西へ人々を逃がす脱出請負人としての顔。
若くして危険な橋を渡る彼女を待つ未来は果たして!?
“可能性としての東京”を舞台に、
壁の街で自分の道を模索する人々の物語、ここに開幕。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
戦後、日本が東西分裂した世界を描いた漫画作品。ソ連時代の乗り物や、文化、習俗などの解説も織り込みながら劇的に展開するストーリーにいつもハラハラさせられる。
お薦めの作品です!
もし戦後日本が、ソ連と米英によって分割統治されていたら。
この作品は、そんな架空のもう一つの日本が舞台です。
主人公である杉浦エミーリャは、東日本から西側への亡命の手助けをします。
可憐な少女の真意は?
雰囲気が東ドイツを思わせます。
Posted by ブクログ
エミーリャみたいに芯の強い女性、好きです。
漫画は画力だけでなくストーリーテリングだと思います。この作家も、諸星大二郎さんも、この話にはこの画でしかない!、と思わせるものがあるでしょう!?
リアルな分断日本
二次大戦に負けて東西に分断された日本、そして東京。東トウキョウで脱出請負人として活動する少女・エミーリャの活躍を中心に物語は展開する。鉄のカーテンの向こう側としての東日本、東トウキョウがリアルに描かれる。細かな設定も興味深く、何度読み返しても細かく作りこまれた設定に新しい発見がある。架空だが、もしかしたらこんな過去があったかもしれないと思わせてしまうような東京があると感じらえる作品だ。
ドキドキする展開
読みやすい絵柄にしっかりとしたストーリー。
とても質が高い作品だけど、親しみやすい。そういった作品で次巻も読んでみようと思いました。
着眼点が面白い
「もしも日本が第二次世界大戦で本土決戦まで持ち込んで敗戦し、ソ連支配の東日本とアメリカ側の西日本とに分断されていたら」というIFの世界の東京を舞台に、東側に住む「西への脱出請負人」である女性を主人公とした物語。
まず、この着眼点が非常に面白い。
要は「ベルリンの壁で分断された当時のベルリンの日本版」であり、地名と登場人物を日本に替えただけではあるのだけれど、それでも十分新鮮。
昔読んだ村上龍の「五分後の世界」を思い出した。(内容は似てないけれど)
さらに、舞台が冷戦真っただ中の1960年代というのもちょうどいい。
これが現代だとまた色々問題があるだろうし。
どういう感じで物語が進むのかと思ったら、個別の脱出ネタ等を柱に据えた群像劇という流れ。
このパターンもこの舞台には合っている。
絵にかなりクセがあり、当初はそれが受け入れ難かったが、読み進めると慣れてくるし、またむしろ味があって物語の雰囲気に合っていると思うようになった。
トータルとして、良い味を出している良作だと思う。