あらすじ
全生命の敵《本物の魔王》が何者かに殺された。世界最大の都市――黄都に集いしは、魔王すら殺しうる逸脱の修羅十六名。《本物の勇者》となるため彼らが武力、策謀、権力の全てを用いて挑む上覧試合がついに始まる。
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Posted by ブクログ
前半、第五節では残りの参戦者が登場。それと同時に〝最初の一行〟や〝本物の魔王〟について、遂に明かされる形になりました。
今まで〝最初の一行〟は当時最も優れた七人であったという事しか明かされていませんでしたが、個々人を見れば確かに時代を作れる英傑英雄が揃っていたと言わざるを得ません。けれど、〝本物の魔王〟はそれを凌駕していたと言えるでしょう。戦力でみればただの少女でしかないのにも関わらず、対面した全てを恐怖に陥れ、しかもその現象に理由が存在しない。〝本物の勇者〟はよくこんな存在を殺せたものだと思います。
後半、第六節は遂に六合上覧の開始。組み合わせに関しては色々と感じるところがありますが、一番に思うのは絶対なるロスクレイへの殺意が高い事です。絶対なるロスクレイを勝ち上がらせるという前提がありながら、第一回戦から世界詞キアをあて、しかも次いで柳の剣のソウジロウや星馳せアルス、冬のルクノカ、おぞましきトロアと勝ち進ませる気が微塵も感じられない組み合わせ。ここまで敵視されていると同情心すら湧いてきます。
第一試合では無尽無流のサイアノプ対おぞましきトロア。結果は無尽無流のサイアノプの勝利に終わりましたが、武人同士、正々堂々の戦いで非常に見応えがありました。勝敗を分けたのが、無尽無流のサイアノプが寿命を縮める生術を己にかけていたからという、試合に臨む覚悟の差ともとれるところも陰謀渦巻く六合上覧らしからぬ気持ちのいい試合であったと思います。
また、試合に負けたおぞましきトロアも死なずにすんで良かったです。気付けば戒心のクウロや鉄貫羽影のミジアルと仲良くなってますし、まだまだ活躍を見たいと思っていたので、負傷だけで済んだのは幸いでした。色々と因縁もありますし、今後の活躍にも期待しています。
対して、第二試合の結果、死亡したのが星馳せアルス。竜と鳥竜の差はあれど、ここまで一方的な試合になるとは思ってもいませんでした。
第二試合では終始、星馳せアルスが冬のルクノカに挑む側であり、英雄殺しの伝説の凄さをまざまざと見せつけられた気分です。
それとともに、星馳せアルスと静寂なるハルゲントの競い合いにも終止符が打たれた形になります。お互いにお互いを凄い相手と思い合い、六合上覧という場でありながら、冬のルクノカを通してお互いの事を考えていた二人の関係は得難いものであったと思います。
次巻以降の試合も楽しみです。