あらすじ
イスラム最高の武将サラディンと、中世最大の騎士にして英国王リチャード獅子心王率いる第三次十字軍の息を呑む攻防。ヴェネツィア共和国の深謀遠慮に翻弄されるばかりの第四次十字軍。業を煮やしたカトリック教会自身が武器を手にして指揮を執った、掟破りの第五次十字軍――。知略の渦巻く中世地中海世界を舞台に、物語はハイライトへ。『十字軍物語3』を文庫第三巻、第四巻として分冊。
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Posted by ブクログ
第1章は、イスラムの英雄サラディンと獅子心王リチャードによる第三次十字軍の話。
ヨーロッパ側の様々な思惑と裏の裏を読まなければならない政治情勢の中、フランスと手を組み十字軍を敢行するイギリス。また、先遣隊であったはずの赤ひげのフリードリヒの突然の死などドラマになる展開が本当に起こってしまうことが歴史の面白みなのかもしれないな、と感じた。
さらにほ、獅子心王リチャードの行き当たりばったりな行動がのちの平和へのメリットにつながっていくのも面白かった。
第2章は、ヴェネツィア主催の第四次十字軍。
計算し尽くされたであろうヴェネツィアの国益のために行われた十字軍。自らの経営支配領域の拡大とともにそこに付随する商いの場の拡大という、経済第一主義の国らしい、考え方とそれを扇動し実行してしまうところが、ヴェネツィア共和国なんだな、と感心してしまった。
第3章は、宗教主導に戻したかった第五次十字軍。
キリスト教側もイスラム教側もカリスマ性を備えたリーダー不在の中で行われた不毛とも言える三年に及ぶ十字軍。
最後のイスラムのスルタンアル・カミールが出した講和の条件を法王代理の枢機卿がはねつけてしまうところが、宗教戦争であることを物語っているように思えた。