あらすじ
9世紀後半、幼帝清和天皇の外祖父・藤原良房が摂政になり、息子・基経が関白の地位を得て、その後200年におよぶ摂関政治の時代が始まった。醍醐・村上天皇の「延喜・天暦の治」と将門・純友の乱、そして道長の栄華。藤原氏が王権をめぐる姻戚関係を支配するなかで、天皇のみがなしえたこととは何か。「摂関家による政治の私物化」という従来の捉え方を超えて、天皇が「生身の権力者」から「制度」へと変貌していく時代を描く。
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Posted by ブクログ
このシリーズは有難い。天皇の存在は古代史において特に重要だが、一方見えにくいところもあるから。個人的には宇多天皇の個性が際立って書かれていて印象的だった。桓武になぞらえるのも新鮮だし、醍醐への忠告も当時の天皇の教えを押さえていて面白い。
Posted by ブクログ
天皇制度及び皇族制度について、詳細な説明は目が開かれる。摂政と関白の違い、その場合の天皇との決裁などの流れ。そして太政大臣などの太政官制度との関係などの記述、天皇がある意味「機関」になっていた摂関時代であることを痛感する。道長は左大臣として権力を揮い、摂政は短かったし、関白には就任していない!このあたりのメカニズムが面白い。陽成天皇の奇矯な素行で藤原基経に退位を強要され、健康を理由に退位したこと、その後65年間の人生のことなどは大変興味深かった。摂関時代から院政への移行が進んだことの説明も分かり易い。律令制下では皇族女性(内親王)の臣下との婚姻が許されていなかったなど、驚きの事実だった。現人神の扱いをされたのは天武とその直後に限られ、むしろ祀る側の司祭者だったとの説明も興味深いところ。