あらすじ
堂野崇文は痴漢と間違われて逮捕されるが、冤罪を訴え最高裁まで争ったため、実刑判決を受けてしまう。入れられた雑居房は、喜多川圭や芝、柿崎、三橋といった殺人や詐欺を犯した癖のある男たちと一緒で、堂野にはとうてい馴染めなかった。そんな中、「自分も冤罪だ」という三橋に堂野は心を開くようになるが…。
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BL初心者から楽しめます♡
内容説明を読むと堂野と三橋の話かと勘違いしてしまいそうですが、冤罪で刑務所暮らしを余儀なくされてしまう真面目な主人公の堂野と、不幸な生い立ちの喜多川との2人の物語です。三部に構成されていて、どれも喜多川の堂野への一途な想いが胸が痛くなる程切なく書かれています。初めて読む作家さんでしたので、最後までハピエンなのか読めないのでハラハラドキドキして一気に読んでしまいました。一般書から出てるだけあって絡みの場面は初心者向けかと。BLレーベルから出ている『檻の外』には、この続編が2作載っていますので、是非こちらも合わせて読まれる事をオススメします。 BLのジャンルを超えてて泣けますヨ。
Posted by ブクログ
BLというジャンルを超えた人間小説、みたいな投稿を見て気になって読んだんだけど…
BL界の芥川賞、なるほど。
これは私の知ってるBLではない。
ずっとしんどい、ずっと不安。
若手アイドル起用して実写化してキラキラ演じさせられるような代物ではない。
てかこれは恋愛ものなのか疑問に思う始末。
ただただひたむきで重くて異常で無垢。
『脆弱な詐欺師』からはもう
涙なしには読めなかった。
ちなみにあとがきは三浦しをんさん。
ノベルス版とやらに続編があるみたいで激賞しておられたので私も読みたい。
一部言いたいこともあるにはあるけどそれを上回る大満足の★5
喜多川圭。
『悪人』の清水祐一に通ずるものがある。
実写化したとして誰が演じても納得いかないだろうといういらん自信がある。
Posted by ブクログ
箱の中から始まる同性同士の恋愛。
様々な問題が複合し、重い内容ではあるが、先が気になりいっき読みでした。
家族からの愛情を受け真面目に生きてきた堂野と親からの愛を知らず教育を受けず狭い社会に生きてきた喜多川。お互いに引かれあい思い合う姿は最初戸惑ったが、何とか成就してほしいとだんだんと応援する自分がいた。
個人的には箱の中で打ちひしがれた堂野を優しく介抱する喜多川のピュアで一途な姿が一番印象に残っている。
Posted by ブクログ
一気読みしてしまった…っ!!
読むまではBLだと知らなかったし、そんな雰囲気もなく進んでいって…
でもこの物語を通して〝真実の愛とは〟をすごく考えさせられた。
一途な喜多川の思い、行動が切ないし、なかなか人間てそんな風に人を愛せない。
駆け引きなしのストレートな愛に胸を打たれました。
Posted by ブクログ
愛と恋の境界線。そこには人それぞれ様々な考えがあり価値観があるだろう。この本はそれを乗り越え私の中にある曖昧な部分をそれでいいんだと諭してくれたような気がする。情なのか、愛なのか、恋なのか、友情なのか、物理的な線引きがない分悩み苦しむ題であるが、これに性差は関係ないとも思う。BLだからこそその深みが出てくるわけではあるが、きっと男女間にも通じるものがあるだろう。
詐欺な探偵とひたむきに身を削りながらも金を稼ぐ喜多川の対比がものすごくやるせなかった。ムショに入れられる人と入れられない人、社会の理不尽さを感じた。
Posted by ブクログ
BL界の芥川賞、本当にその通りの作品だった。
堂野は箱の中で喜多川に人の気持ちは温かいものだと知ってもらおうと近づいていく
最初は無口で嫌な奴だと思っていたけれど風邪薬をくれたり温かい布団の中に足を入れさせてくれたり喜多川は親切にしてくれる。愛を知らない喜多川が堂野の「ありがとう」に心動かされて懐くようになる
喜多川は人の気持ちが分からない大きな子どもだった
堂野がノートに描いた家の見取り図を指でなぞって「広そうだから、走ってみた」というのは最初の頃の喜多川からは想像できない描写だった
檻の外ではもう結ばれることは無いのだろうなと思った。堂野があまりにも幸せな生活を送っていたからだ。
探偵を通してやっと会えても堂野は喜多川を拒み続ける 2人目を作る気になったら教えてくれ、死ぬから
死んだらあんたの家の子になれるかもしれない
一途に思い続ける喜多川に胸が痛くなった。思い続けられる堂野もずっと苦しかっただろう。性別というのはここまで2人を隔てるものなんだと思った
最終的には堂野も喜多川に思いを寄せるようになってびっくり。喜多川が報われてよかった
Posted by ブクログ
めちゃくちゃよく練られている作品です。
こんな悲しいことがあってもいいのか?と世の中の理不尽さに切なくなります。
決してないとはいえないようなこと、他人事とは思えないことだと思いました。
続編?の檻の外をセットで読むとさらに深みが増して、BL本領発揮って感じになりますね。
最後も悲しい終わり方ですが、ある意味堂野も喜多川も幸せな時間を過ごせたんだなぁとホッとしました。
とにかくBL好き以外の方にもお勧めしたいヒューマンラブな本です。愛とはこういうものなんだね。
しかし女はしたたかでズル賢いなぁ、、と思った。
Posted by ブクログ
初めての世界でした。
BL物語は正直読まず嫌いというか、生理的に避けていました。本を買う時はあらすじを読んだ際の印象で決めて購入しています。何が印象なのかと問われるとすぐには答えを出せませんが、誰かがインタビュー式に私の回答を引き出してくれれば、それを思い出す事はできるでしょう。
こんな話はさておき冤罪、刑務所、信用、家族、そして彼。2人の思い。この複雑な環境の中で幾多の試練。もう2人だけでは解決できないー。2人の欲望が激しくぶつかり合う。
こんなリアリティが味わえる本はなかなかないと思います。
普段読んでいる小説のジャンルに飽きている方、オススメです。
Posted by ブクログ
時間に換算するとほぼ1日で読み終わり、読後は「は~」と気の抜ける声が出てしまいました。一言でいえば、「これだよ!正しく!これ!」という感じですし、何より個人的に良いラストで良かったです。メインの登場人物の対比的設定はある意味BLならではだなと思っていましたし、絆されていく設定も多いけども、『絆される』なんて簡単な言葉に集約できない、相手からの好意に対する葛藤が丁寧に描かれていてぐっとお話の中に引き込まれました。喜多川の言葉がストレートで胸を打つし、何より動物的に本能で愛している、でも堂野の気持ちも考えて悩んで、でもわからなくて寂しくなって…という心情や、堂野は常識などの型や未知なることへの恐怖など…こちらも様々な心情があり、こちらが胸を締め付けられます。愛とはなにか、もちろん男女の恋愛でも考えられますが、同性同士はまた違った角度で考えられるのではないかと思います。
貸してくれたお友達に感謝です!
Posted by ブクログ
一気に読んだ。
読まされた。
清いのに、美しさはなく。
真っ直ぐなのに、正しさとは遠く。
純粋さだけでは苦しすぎる。
誰か言ってたが、
『自分で自分自身は見えない、鏡に映った自分が見えるだけだ』と。
その意味をこの1冊で思い知らされた。
『なつやすみ』も読みたいが、ここで終わらすことがこの文庫版の意味かな、とも。
ですが、カテゴライズすべきではない作品でした。
だからこそ文庫版で出版されているんだろうけれど。
性描写も少しありますが、他の作品に比べて与える感情が違うはず。
Posted by ブクログ
すさまじかった。夢中で、ふた晩よんだ…
執着といってしまえばそうなんだけれど、執着ってこう、信頼、こころから相手(その"相手"は自分の目に映る彼、でいいのだ)を信じきり、一心に愛し、肯定する…そこには当たり前に暗く黒いどろっとした感情も生まれて、でももうそうするしかなくて…究極に煮詰まった関係性、すばらしく凄まじかった。良かった…!
ノベルス版の短編を読まねば!木原先生、BLとSF特集で知り、全部の著作が読みたくなりました。
Posted by ブクログ
とても素晴らしい作品に出会えた。
本作は、私が思い描いていた『BL』のイメージを良い意味で大きく覆してくれた最高傑作でした。
痴漢の冤罪で刑務所にはいる事になった主人公の堂野が、そこで出会った殺人犯の喜多川に好かれて困惑する。そしてお互い刑期を終え再開するが、堂野にはすでに家庭があった。
喜多川の生い立ちが悲惨過ぎる。教養も愛情も与えられず、当たり前の感情すら理解できないまま大人になってしまった。そんな喜多川に、堂野が教養や常識を教える。子供の様に堂野を慕い始め、その思いが愛へ変わっていく。
純粋無垢な喜多川が、真っ直ぐに愛を貫こうとする姿は狂気じみていたが、同時に優しさに満ちていて温かくもあった。複雑な感情が入り混じり、そして気付くと応援している自分がいた。
喜多川は堂野と出会い『他人を思いやること』を考える様になり、堂野は喜多川に出会い『人間にとって本当に必要なものは何か』を知る。そんな二人の感情の変化が愛おしく感じた。
常に心がヒリヒリし目を覆いたくなる描写も多い内容であったが、ラストは穏やかで温かい気持ちになった。BLに興味ない人も是非手に取って欲しい一冊。
Posted by ブクログ
純愛…!
痴漢の冤罪で刑務所に入った男性。社会問題がテーマだと思いながら読み進めていくうちに、もしかしてこれはBL小説というものなのか、とようやく気がつく。漫画では読んだことがあったけど小説では初めて。そもそも恋愛小説自体をあまり好んで読まないのだけど、BL小説は男女間の恋愛より純粋に愛情が描かれていて好ましく思った。
胸が苦しくなるのにやめられない
普段遅読気味な読書家です。一冊の本を読むのに1ヶ月から2ヶ月かかることもザラにあります。しかしこの「箱の中」は2日で読み終わりました。読み始めは自分の知らない刑務所内での生活や主人公の苦悩など重苦しくも読み応えがあり、これは良い夜のお供になると感じました。しかし、読み進めていくと喜多川という男のミステリアスな内面に翻弄されページを捲る手が止まらなくなりました。1日目に脆弱な詐欺師まで読了し、続きが気になるもののカーテン越しに早朝の気配を感じ泣く泣く眠りにつきました。翌日は夜まで待てず昼間のうちに一気にラストまで読み切り、ハッピーエンドでほっとしたものの2人の物語をもう読めないんだという寂しさでいっぱいです。
凄いの一言
冤罪なのに刑務所送り。刑務所の生活がとてもリアルに書かれており、理不尽だと思う堂野の心の叫びが凄く伝わってきました。そこで出会う喜多川とのやり取りも、行動範囲が決められてる独特な世界の中、お互いの気持ちの変わりゆく流れが自然体で、凄く読みやすかったです。
その後の話がなくて辛い
ものすごく良かった。
凄く凄く面白かった。
喜多川の堂野に対する愛はひたむきという言葉では言い表せないくらい真っ直ぐすぎて、堂野の目線で見る喜多川が可愛すぎるし愛しかった。
そんな2人のその後の話(『雨の日』、『なつやすみ』)がこの本には入ってないんですね。
ものすごく良すぎただけに、ショックでした。
その後の話が入った檻の外は現在他の電子書籍の所も取り扱いないみたいだし、どうやったら読めるんだろう。
心が囚われてしまったようで辛いけど、裏返すとそれだけこのストーリーにもキャラクターにも引き込まれてしまったんですね。
だから読めて良かったなと思います。
なかなか深くて重くて切なくて悲しくて苦しくて読む途中何度も何度も本を閉じて深呼吸しました。
読み終わった今も余韻が凄くて、消化しきれなくてレビューをどう書けばいいのか頭の中が整理されていないです。
でも、とにかく面白かったです。
是非読んでみてください。
匿名
とにかく良かった
三部構成の最初から最後までハラハラドキドキでした。
それにしても……
『箱の中』では堂野を痴漢に仕立て上げた女性たちや喜多川の母親、
『脆弱な詐欺師』では大江の妻と娘、
『檻の外』では堂野の妻、
と同性として嫌な面をしっかりと見せつけられ、彼女らを反面教師にして自分もそうならないように気を付けて生きようと痛感させられました。
芝さん同様、わたしも喜多川には残りの人生でたくさんたくさん幸せになってと切に願います。
芝さんかっこよかった、Good job!!!!!
凄くおすすめなので☆5つです。
読んでよかった
読んでよかった、と、読了後にほっと息をつける物語でした。
喜多川にはめちゃくちゃなところもあるけれど(というか、木原先生の本にはめちゃくちゃなところのある人がよく出てくるな……と思うけれど)、人の温かさに触れて、幸せになってほしいです。
Posted by ブクログ
この作品の感想として間違っているような気もするが、一言でいうと喜多川が羨ましいと思った。
他人の目を気にすることもなく、相手の気持ちを理解しつつも自分の気持ちを貫ける。
これは限りなく純粋で素直な感情であるとともに一種の危うさを持つ。愛と呼ぶにはあまりに一方的ではあるが、その歪さこそが愛なのではないかとも思わせられる。
決してハッピーエンドとは言えないがひとつの愛の終着点としてはかなり優れた作品なのかなと感じた。
Posted by ブクログ
ネタバレ注意
とてもよかったです。普段同性愛を取り扱った物語は読むもののBL小説と銘打たれたものは読まないのですが、こちらは気になって読んでみました。
決してラブロマンスが主軸ではなく、冤罪の苦しみや服役の苦痛などそちらの表現が女性向けにしては生々しく、また文体も硬めで文学として面白かった。その苦しみの中で光る純愛がとても良かったです。
ただ私の苦手な子供の死(しかも理不尽な死)が描写されていてそれが辛かった。彼女が死ななくても物語は進められたのではないか、とか思ってしまいノイズになってしまったので星を一個減らしました。後日談がBLレーベルから出版された「檻の外」であるらしくとても萌えるらしいのですが絶版で…困っています(笑)
Posted by ブクログ
よかった。。いい小説読んだなぁ〜って思う。
bl小説って男女の恋愛小説よりも、言葉とか描写が繊細な気がする。
最悪に最悪が重なる怒涛の展開だけど、最後はホッとした。
喜多川のふとした時に出る言葉が純粋さ故か重たくて、グッとくる。
Posted by ブクログ
なかなか重いストーリーだった...2人の、他者が絶対に入ることのできない独特の空気感が描かれている。恋とも違うけれど、愛ではあるような、一瞬の執着心のような複雑な心情描写がすごい。ただ、物語を進めるために、主人公に色々なことが起こりすぎているような気もした...
Posted by ブクログ
活字でのBLは初めて。
よかった。はまってしまいそう。
挿絵が入っていたので、なしのやつを読めばよかったな。
BLだから最後もハッピーエンドかと思いきや、、
Posted by ブクログ
読みながら「BLではないのでは?」と感じていましたが最後の最後でBLになった。BLになるまでが長ければ長いほど名作だと思うので名作です。
BLはざっくりと分けて、
①女性がいない世界だから愛し合うのも当然だよ≒箱の中
②女性がいる世界においても愛し合うよ≒檻の外
に分類できるかと思いますが、
物語構造的に①へと向かっていく(女性がいる世界において女性が消えていき、喜多川の家という箱の中に収束する)形と感じます。
しょうがなくではなく、
どうしても愛す。
というのがBLだという認識なので、
橋から落ちることを選び取ってからがBLです。
幼い子供すら亡くなる念の入れようで、女性を物語から消していく過程が正直読んでいてしんどかったのですが、それを耐えられるほどのBLを諦めなかった男・喜多川が素晴らしかったですね。
不憫で最高。
不憫な人物は受けになりがちな中、攻めでこの不憫さはすごい。
Posted by ブクログ
普段は絶対に読むことの無いBL
読んでみて意外と良いかもと思えた。
過激な性描写は少し苦手だったが、2人の決してキラキラもしていない実るとも分からない関係に読んでいて惹かれた。
ただどうしても理解できないのは娘を亡くしたあとの喜多川の言動。
性行為に及んだのが全く納得し得ない。
悪い点をあげてしまったけど、BL界の傑作というのも頷けるほど良い作品だった。
木原音瀬さんの作品をもっと読んでみたい。
Posted by ブクログ
前情報無しで読み始めて、BLだったので戸惑いつつも、段々慣れてきました。
BLに対して、そもそも抵抗感(偏見)がありましたが、本著は無理矢理なBLでなく、とても面白かったです。
愛の話。
Posted by ブクログ
初BL小説、ワクワク♡と読み始めたが、痴漢の冤罪で刑務所に入れられるところから話が始まった。人生狂わされて本当に言葉もない。出てくる女はロクデナシばかり。結局、人を好きになるとか信頼することに、男も女もないのだろうな。
Posted by ブクログ
BLものと聞いて尻込みしたが、物語としてとても良いと評判だったので読んでみた。
読んで良かった。すごく面白い。
そして、人を愛すとはどういうことだろうという問いに、感覚的にだが、答えのようなものが感じ取れた気すらした。
この話が男性同士ではなく、男女の間の話に書き換えられたら、どう感じるのだろう?男女の話なら、もしかしたら嘘っぽく感じて感動しなかった可能性がある。男女間のことなら多少なりともわかるから、こんな夢みたいな世界はないと、こんなに一途に愛してくれるなんてあり得ないと、現実味が帯びてしまうからか…。未知の世界だから、まだ夢のような理想が成立して心がこんなにも動かされたのかもしれない。
BLものだからと読まないのはもったいない、という評判通りの一冊だった。
Posted by ブクログ
あらすじから読みだいたいは内容把握。
BL系小説、初読みです。
初めから、痴漢冤罪で刑務所暮らしもリアルで怖い。監獄暮らしが頭に浮かぶ程、気持ちが暗くなる。
ここから、長編物がどう変わるのか…
性的描写がリアルでちょっと引いてしまった面もありましたが、読んでいるうちに慣れてしまった自分もいたから笑える。
冤罪の辛さ乗り越えて、素敵な人たちとの出会いもあり、今までの生き方が、かなり方向転換されてしまった主人公でしたが、幸せな流れに発展して安心出来た。
Posted by ブクログ
まさかこういう話と知らず、レビューがいいから読んだけど
生々しい(汗)
だけどその生々しい描写さえなければ話としては純愛物語として面白かった。
ピュアな恋心とドロドロした夫婦関係が真逆なとこが良かった。
Posted by ブクログ
木原さんの作品は前に表紙買いをしたのがとても良くて、その後もう1冊読んだ。それらは一般作だったのだけど、木原さんがBL界で有名な作家さんだということを後から知った。
そして、BLカテゴリでは有名らしいこの本を読んでみたのだけど、ボーイズラブというのも様々なのだろうな、というのが第一印象。
いわゆる「萌え」のようなものはほとんど無く、どちらかと言うと読んでいて苦しくなる、同性愛者の苦悩みたいなものが大半だったように思う。
「BL界の芥川賞とも評される」と言われる理由がとてもよく分かる。
痴漢の冤罪で闘った挙句実刑を受けて刑務所に入った堂野は、刑務所で同じ部屋のメンバーであった喜多川と出逢う。元々無愛想でほとんど言葉も発さなかった喜多川が、とあるきっかけで堂野に懐くようになり、堂野が刑期を終える少し前に(半ば強制的に)性的関係を持ってしまう。
堂野は刑務所を出た後は痴漢冤罪被害者の互助会で活動しながら、愛する人と出逢い、いわゆる普通の暮らしを手に入れた。
しかし遅れて刑期を終えて出てきた喜多川は、堂野を忘れることはなかった。
堂野と喜多川の刑務所時代「箱の中」、喜多川が数年かけて堂野を探す「脆弱な詐欺師」、そして2人が再会を果たす「檻の外」の3部構成。
元々は「箱の中」だけの作品だったらしい。確かに、この1つだけならよりBL作品らしい雰囲気があったかもしれない、と思う。
そこに後の2つが加わったことで、より深みのある文学作品に昇華されているように感じた。
喜多川は不幸な生い立ちから重い犯罪を犯して、おそらくキャラクターを見ると発達障害のような何かを抱えている設定なのだと思う。不器用でぶっきらぼうだけど、とても純粋。だからこそ初めて自分に手を差し伸べてくれた堂野を愛してしまった。これがおそらく女性だったなら、喜多川はその人を堂野と同じように愛したのだろうと思う。
堂野は元は異性愛者。どちらかと言うと地味で真面目に生きていた人間が、刑務所で過ごすというしなくても良い経験を通して、真っ直ぐに自分だけを求めてくる喜多川と出逢ってしまった。
異性愛より同性愛の方が純粋で美しく至高…というイメージはおそらくこういう作品からは切り離せないものだと思う。そういう部分にご都合主義的なものを感じるところはあるものの(実際は同性愛だってドロドロしてる面はあると思うので)物語としてとても面白かった。
実際喜多川のような男は脅威だけど、でも細部を見ると、相手のことをすごくよく考えた上で動いて気持ちを伝えてくる人間でもあるので、堂野のことを本当に心から想っているのが分かる。
そこまでの愛情を持てる相手って、人生を通してもなかなかいない。
もがきながらも距離を縮めていく様子が苦しく、自分の本心と社会性をバランスよく保つのはどんな場合でも難しいと考えてしまう。
だからこそ喜多川の真っ直ぐさが胸にくる。
こんな風に自分に正直に生きるのは難しいと分かるからこそ憧れる。読み応えのある作品だった。
重いなぁ。。
長〜いこと積読状態だった噂の箱中外。レビューである程度覚悟していたけどなかなかにシビアとゆーかBLのエンタメ性をまるっと無視したよーな甘さの少ない世知辛さ。アメ鞭割合0.5対9.5くらい(笑)?人に騙され裏切られまた死に直面したりする世界観のせいで申し訳ないけどどこかジンワリとした不快感が拭いきれない全編、なのに気づけば一気に読破。喜多川の、本気でちょっと怖いんだけど、幼すぎる純粋な一途さに泣いた。
Posted by ブクログ
喜多川の生まれも一途さも可哀想すぎて途中から可哀想だと思うのやめたくらい可哀想
愛とは何か、愛の意味するところ
結局喜多川が堂野に執着した理由って
生きてきて言われたことのない言葉とか教えてもらったこととか、愛や人間関係に飢えた喜多川にとってはからっからの場所にどばどば水を注がれた感じになったからなのかな
一回潤ったらもっともっとってなるよな、、
相手が同性だったってだけで。
堂野は住所を伝えなかったし、結婚して子供もできてたし
けど妻の不倫と子供の死の原因を知って、裏切りを知ってから喜多川にいった、、ずるいのか、、
けど喜多川が報われてくれて、2人は愛し合ってるからそれが1番ではあるけど
2人が川に落ちて、初めて堂野が好きだって言ったシーンは流石に泣いた。
“同じ雨の降っている場所にいるんだって思うぐらいいいだろ”
強烈に胸打たれた
物を知らなくて、自分の感情も言葉にするのが下手な喜多川だからこそ駆け引きも何もなしにド直球ストレートで愛をぶつけてくる
育った環境、親が違ければまっっったく違う人生だったんだよなと思って辛くなるけど
これは創作物だとしっかり認識しないとひっぱられちゃいそうになる。辛すぎて
刑務所の中で、堂野と暮らす家、暮らしたい夢の話は辛すぎて。この世界で叶うことはないんだと思い知ったら死んでしまうんじゃないかと思って鳥肌たった
天地がひっくり返っても叶うことのない愛を持て余した彼が間違った選択をしなくて本当に良かった。
ハッピーエンドで良かった。
ハッピーエンドじゃなかったら呪ってたと思う
Posted by ブクログ
姉に勧められて。
苦手意識のあったジャンルだったけど、とても読みやすく、おもしろかった。
過激な描写も多かったので苦手な人は苦手かもしれないけど、BL小説と一言でジャンル分けしてしまうのは違うかな、と思うくらい色々考えさせられた。
出産のために入院していた産院で読んだので個人的にとても思い出深い一冊になった。笑