neko_andさんのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
木原先生の作品、「美しいこと」で一気に引き込まれて、他代表作として書かれていた本作を読みました。起きる現実の淡々とした残酷さが壮絶。ただ真面目に、普通に生きようとするだけの堂野の身に起こる、冤罪との闘い、服役、詐欺被害、子どもの死、妻の浮気。作中で、何一つ、彼は報われない。作品の中で、彼から伝わる絶望や、家庭を築き普通の幸せに対して感じている心の温かさ、裏切られた妻に対して感じていたしがらみはすごく普通で、人間的だと思う。(本当にそんな残酷なことが人生で自分の身に起きたら普通には生きていられないとも思うけど・・)堂野の感情の機微が人間的なのに比べて、感情があまりに幼く描かれていて、際立つ。唯一堂野から愛をねだり、堂野を傷つけられると激情する。人から騙されても気づかない、人を疑わない、堂野の妻もねたまない、殺されかけても恨まない。ずっと堂野が好きだっただけ。最終的に堂野を救ったのが、喜多川の変わらない、子どもが親に求めるような愛だったというのが、とても悲しかった。
個人的にBLの好きなところって、マイノリティで、偏見を持たれやすいという障壁があってもなお惹かれあってしまう熱いところなんですが、箱の中の二人はそういう愛憎劇を超えた、世界に二人しか残されなかったから愛するしかなかった・・みたいな二人でした。
第二部の大江探偵の話も、救われなくていいですね。物語がずっとヒリヒリしてて、最高でした。心奪われる物語でした。めちゃくちゃ好きです。