あらすじ
堂野崇文は痴漢と間違われて逮捕されるが、冤罪を訴え最高裁まで争ったため、実刑判決を受けてしまう。入れられた雑居房は、喜多川圭や芝、柿崎、三橋といった殺人や詐欺を犯した癖のある男たちと一緒で、堂野にはとうてい馴染めなかった。そんな中、「自分も冤罪だ」という三橋に堂野は心を開くようになるが…。
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Posted by ブクログ
愛と恋の境界線。そこには人それぞれ様々な考えがあり価値観があるだろう。この本はそれを乗り越え私の中にある曖昧な部分をそれでいいんだと諭してくれたような気がする。情なのか、愛なのか、恋なのか、友情なのか、物理的な線引きがない分悩み苦しむ題であるが、これに性差は関係ないとも思う。BLだからこそその深みが出てくるわけではあるが、きっと男女間にも通じるものがあるだろう。
詐欺な探偵とひたむきに身を削りながらも金を稼ぐ喜多川の対比がものすごくやるせなかった。ムショに入れられる人と入れられない人、社会の理不尽さを感じた。
Posted by ブクログ
BL界の芥川賞、本当にその通りの作品だった。
堂野は箱の中で喜多川に人の気持ちは温かいものだと知ってもらおうと近づいていく
最初は無口で嫌な奴だと思っていたけれど風邪薬をくれたり温かい布団の中に足を入れさせてくれたり喜多川は親切にしてくれる。愛を知らない喜多川が堂野の「ありがとう」に心動かされて懐くようになる
喜多川は人の気持ちが分からない大きな子どもだった
堂野がノートに描いた家の見取り図を指でなぞって「広そうだから、走ってみた」というのは最初の頃の喜多川からは想像できない描写だった
檻の外ではもう結ばれることは無いのだろうなと思った。堂野があまりにも幸せな生活を送っていたからだ。
探偵を通してやっと会えても堂野は喜多川を拒み続ける 2人目を作る気になったら教えてくれ、死ぬから
死んだらあんたの家の子になれるかもしれない
一途に思い続ける喜多川に胸が痛くなった。思い続けられる堂野もずっと苦しかっただろう。性別というのはここまで2人を隔てるものなんだと思った
最終的には堂野も喜多川に思いを寄せるようになってびっくり。喜多川が報われてよかった
Posted by ブクログ
ネタバレ注意
とてもよかったです。普段同性愛を取り扱った物語は読むもののBL小説と銘打たれたものは読まないのですが、こちらは気になって読んでみました。
決してラブロマンスが主軸ではなく、冤罪の苦しみや服役の苦痛などそちらの表現が女性向けにしては生々しく、また文体も硬めで文学として面白かった。その苦しみの中で光る純愛がとても良かったです。
ただ私の苦手な子供の死(しかも理不尽な死)が描写されていてそれが辛かった。彼女が死ななくても物語は進められたのではないか、とか思ってしまいノイズになってしまったので星を一個減らしました。後日談がBLレーベルから出版された「檻の外」であるらしくとても萌えるらしいのですが絶版で…困っています(笑)
Posted by ブクログ
よかった。。いい小説読んだなぁ〜って思う。
bl小説って男女の恋愛小説よりも、言葉とか描写が繊細な気がする。
最悪に最悪が重なる怒涛の展開だけど、最後はホッとした。
喜多川のふとした時に出る言葉が純粋さ故か重たくて、グッとくる。
Posted by ブクログ
読みながら「BLではないのでは?」と感じていましたが最後の最後でBLになった。BLになるまでが長ければ長いほど名作だと思うので名作です。
BLはざっくりと分けて、
①女性がいない世界だから愛し合うのも当然だよ≒箱の中
②女性がいる世界においても愛し合うよ≒檻の外
に分類できるかと思いますが、
物語構造的に①へと向かっていく(女性がいる世界において女性が消えていき、喜多川の家という箱の中に収束する)形と感じます。
しょうがなくではなく、
どうしても愛す。
というのがBLだという認識なので、
橋から落ちることを選び取ってからがBLです。
幼い子供すら亡くなる念の入れようで、女性を物語から消していく過程が正直読んでいてしんどかったのですが、それを耐えられるほどのBLを諦めなかった男・喜多川が素晴らしかったですね。
不憫で最高。
不憫な人物は受けになりがちな中、攻めでこの不憫さはすごい。
Posted by ブクログ
普段は絶対に読むことの無いBL
読んでみて意外と良いかもと思えた。
過激な性描写は少し苦手だったが、2人の決してキラキラもしていない実るとも分からない関係に読んでいて惹かれた。
ただどうしても理解できないのは娘を亡くしたあとの喜多川の言動。
性行為に及んだのが全く納得し得ない。
悪い点をあげてしまったけど、BL界の傑作というのも頷けるほど良い作品だった。
木原音瀬さんの作品をもっと読んでみたい。
Posted by ブクログ
喜多川の生まれも一途さも可哀想すぎて途中から可哀想だと思うのやめたくらい可哀想
愛とは何か、愛の意味するところ
結局喜多川が堂野に執着した理由って
生きてきて言われたことのない言葉とか教えてもらったこととか、愛や人間関係に飢えた喜多川にとってはからっからの場所にどばどば水を注がれた感じになったからなのかな
一回潤ったらもっともっとってなるよな、、
相手が同性だったってだけで。
堂野は住所を伝えなかったし、結婚して子供もできてたし
けど妻の不倫と子供の死の原因を知って、裏切りを知ってから喜多川にいった、、ずるいのか、、
けど喜多川が報われてくれて、2人は愛し合ってるからそれが1番ではあるけど
2人が川に落ちて、初めて堂野が好きだって言ったシーンは流石に泣いた。
“同じ雨の降っている場所にいるんだって思うぐらいいいだろ”
強烈に胸打たれた
物を知らなくて、自分の感情も言葉にするのが下手な喜多川だからこそ駆け引きも何もなしにド直球ストレートで愛をぶつけてくる
育った環境、親が違ければまっっったく違う人生だったんだよなと思って辛くなるけど
これは創作物だとしっかり認識しないとひっぱられちゃいそうになる。辛すぎて
刑務所の中で、堂野と暮らす家、暮らしたい夢の話は辛すぎて。この世界で叶うことはないんだと思い知ったら死んでしまうんじゃないかと思って鳥肌たった
天地がひっくり返っても叶うことのない愛を持て余した彼が間違った選択をしなくて本当に良かった。
ハッピーエンドで良かった。
ハッピーエンドじゃなかったら呪ってたと思う