あらすじ
連続放火事件に隠された真実を追究する「樹を見る」、東京地検特捜部を舞台にした「拳を握る」ほか、検事・佐方貞人が活躍する、法廷ミステリー第2弾。第15回大藪春彦賞受賞。
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Posted by ブクログ
ヤメ検弁護士だった佐方貞人が、検事だった頃の話。
新任検事時代から始まり、話者は佐方ではなく、彼の周りの人物の視点で、彼の人間像を炙り出していく……という形式。
ところどころ時代背景を感じるが、はっきりとは時代性を示す表現がないので気にせず読める。
5話が収録された短編集だけど、それぞれの話がまるで長編のように密度が濃い。
5冊読んだ気分になった。
・樹を見る
連続放火犯を追う刑事、南場の視点。
18件の連続放火事件のうち、1件だけ犯人像が異なる……という疑問から、放火事件で唯一死人を出した1件だけは別の犯人がいると突き止めた佐方の手腕。
・罪を押す
スリの常習犯が、出所してすぐにスリで捕まった。
がしかし、この事件は彼の犯行ではないのでは?と疑問を持つ佐方。
・恩を返す
佐方が高校時代の同級生から恐喝にあっているという相談を受ける話。
同級生の過ごしてきた境遇が悲惨すぎる……。
なんとなく、80年代か90年代の設定かなと思ってたけど、当時はこんな感じだったんだろうな、という。
・拳を握る
贈収賄事件の特捜に応援に呼ばれた佐方。
別の地検から応援に呼ばれた事務官が、ひょんなことから佐方と組むことになる。
佐方は、取り調べをしていた重要参考人が無関係という調書を提出して干されてしまうが、一方で解決の糸口を提示していた。
結果、そこから上司が手柄を横取りしたような形で事件を解決してしまうというのが何ともスッキリしない。
・本懐を知る
一応表題作?なのか。
佐方の父親が、弁護士の立場を利用して顧問先企業の会長の金を横領していた、という事件の真相。
佐方父、佐方、事件関係者すべてが真相に口をつぐみ、墓場まで持っていくという“本懐”が描かれている。
過去に放送されたドラマを見ていたので、「あ、これ見たな」というところがいくつか。
他のキャラはとんと記憶がないが、佐方は一貫して上川隆也で脳内再生された。
もう、役者の年齢がだいぶ登場人物と乖離してしまったけど、もっとドラマ版も続きが見たかった。
シリーズはしばらく、検事時代の話が続く。
Posted by ブクログ
本懐
墓場まで持っていくことでそれに報いることができた
嫌な感じがした記者でさえ
それを墓場まで持っていく
正義の核をどこに見るのか
面白かった
少し先が読めてしまったが本当に面白かった。いつも本当にこのシリーズは人に対して希望が持てるものだなと思う。世の中汚い人間ばかりではないと救われる。素敵な作品に出会えて本当に嬉しい。また続きも読みたいと思う。