あらすじ
如月庵は上野広小路から湯島天神に至る坂の途中にあり、知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さもきれいに消えてしまうと噂だ。 板前・杉治は、ある日、荷車にひかれそうになった薬種屋の娘を助けた。
名乗らず去ったが、薬種屋が助けた者を探しているらしい。 「自分の身元」が割れたのではないかとおびえる杉治だが――
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
プロローグがあり4編の話しです。
うまい料理に極上のもてなし
なんていうのを読むと
又 美味しいものと 人情の話しだな!
と思いましたが 肩透かし!
私には 猫がしでかした不始末
が一番身近な話しでした。
可愛いがっていた猫2匹が よりによってご近所のお茶やさんの 高級な壺を割ってしまう。
そりゃ せめてその壺 金継ぎにでも出さなきゃいけない。
梅乃と紅葉のふたりは 金継ぎのお金を稼ぐために
お茶やさんに手伝いに行きます。
まあ お客もはいらないわけだわ!
掃除もされてない!
変な匂いはする。
いろんなものが 風呂敷につつんで置いてある。
片っ端から掃除し 説得してゴミやに出していく。
お伝さんの説得が大変!
出てきた 綺麗な器を使うことにし お伝さんの浴衣も 新しいものにさせる。
お伝さんの娘も顔を出し 最後に猫のお土産に鰹節をくれる。
今も生きてる 一人暮らしの なんでも取っておくおばあさんの話し
最後の人形を連れて歩いてる男の話しも
一筋縄ではいかない。
みんな いい人で みんな 訳あり!
面白かったです。
Posted by ブクログ
シリーズ第4弾。
今回は、板前・杉治の過去が明らかになります。
人目がある中で、暴れ馬から咄嗟に少女を助けたことから、“身元が”割れたのでは・・と悶々と悩む杉治。
“蜘蛛茸”の事を医者の助手の桂次郎にペロっと話してしまったり、見習いの竹助に「(杉治の)後ろ姿が板前じゃない」と言われたり、何気に脇が甘い杉治ですが、さて葛藤する彼はどうなるのか・・。
そして、いつものように部屋係の梅乃と紅葉も色々引き起こしながら、元気に働いています。第四話「人形と旅する男」では、人形を生きているように扱う謎のお客を巡って、梅乃を心配した紅葉と喧嘩のようになってしまうのですが、その時の紅葉の「あたしは梅乃のことが本当に心配だったんだ。だから思ったことを言った。にこにこして上っ面だけ仲良くするなんていうのは好きじゃない。逃げるのが嫌なんだ」という台詞が、“梅乃はいい友達持ったね・・”と二人のそんな友情を微笑ましく思いました。
Posted by ブクログ
シリーズ四弾。今作では宿の料理人杉治の過去が通して描かれている。お人好しで純粋な中居の梅乃が様々な人との触れ合いのなか、人として、中居として成長していく。