誰もが知っていて、実は知らない昭和天皇の激動の生涯。
昭和天皇の幼少期からを描き、人格形成の過程も垣間見られる作品。数えで5歳の頃から養育係として仕える足立タカとのやり取りや、初等教育の過程での周囲との立場の異なりへの気持ちの表れなどから、感じることは昭和天皇も庶民と変わらぬ人であるということ。
あの時代に何を思い、どう行動したのか。大元帥陛下であり大天皇陛下として、そして象徴として、人間として。
昭和天皇の内面を描きつつ、突き進む時代が描かれている今作は、ただの歴史マンガとしては括れない。
改めて、日本とは何か、日本人とは何かを見つめ直すきっかけになるような内面に響く作品だ。
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Posted by ブクログ 2018年05月08日
昭和天皇が天皇になるために周囲がどんな教育をしてきたか、迪宮がどのようにして天皇になるのかを描いた序章。
子供ながらに自分の名字がないことを気にして養育係の足立タカに竹山というハンコを作って打ち明けるシーンはなんとも言えない。
幼いながらに理知的な一面を持ち、周囲との違いを感じていたのか。天皇として...続きを読む生まれたと言えばそうだが、元を辿れば庶民と変わらぬ人間という生き物である。同じ人でも教育課程、環境で日本国を背負う人になる。
暮らしぶりを見れば当時の時代背景から庶民より恵まれてはいただろうが、この生き方は辛くもあるように私は思う。
今の天皇一家はこの本をどのように捉えるのだろうか。
読んでいて大変面白く興味深かった。私の知っている陛下とは別物だと感じた。菊タブーのせいなのかは知らないが日本の漫画で主人公が天皇陛下であらせられることは滅多にない、あるにはあるが近世ではない。これは貴重なシリーズだと思う。
昭和天皇のことは玉音放送とか歴史の講義で学んだことしか知らんが、マッカーサー相手に全責任を負うと発言するところとか乃木閣下への最期の言葉とか当時としては異質ながらも強い方だったのだなと感じた。(乃木閣下の下りはどこまで本当か分からんけど)
Posted by ブクログ 2019年04月14日
テレビで面白いマンガだと紹介されていたので読んだ本。書店に置かれているのが以前から気になっていた本。昭和の歴史に詳しくなくても楽しめたマンガだった。このマンガを読んで、東宮御学問所のことを初めて知った。
Posted by ブクログ 2019年11月13日
幼少時のご養育掛足立タカとの話が丁寧に描かれていたのは好感を持った。けど、昭和天皇幼少期の私の大好きなエピソード…海に小石を投げ込んだのをみて魚がびっくりしないかと心配したり、タヌキを見せようと係の者が箱から出したら周りに変われている犬たちがいっせいに吠えたて、タヌキが恐れてぶるぶる震えているのを見...続きを読むてかわいそうだから早く巣に戻してやれと命じられたり、生来からの慈しみ優しさのある性格だという話が載ってなかったのがとても残念。乃木希典とのエピソードも火鉢に当たる迪宮に外で駆けたらあったかくなりますよと叱咤激励したり、継ぎの当たった服はちっとも恥ずかしくなんかないと質実剛健の精神を教えてくれたりと良い話なのに何故かこれも載ってないし…?(゜゜;)あと迪宮が学友たち皆が尊敬する人に明治天皇をあげる中、一人だけ源義経をあげる、理由は明治天皇の事はよく分からないが源義経のことならタカがよく教えてくれるから…と。この後乃木に何故明治天皇をあげなかったと叱られてしまうんだけど、要するに迪宮は周りの空気を読んで意見を変えたり大人の喜ぶような答えをしようとは考えなかったのですよね。あくまでも素直で率直。まあ、戦時中迪宮が民間人だったら真っ先に思想犯としてしょっぴかれそうな気がしますが(笑)人にお上手をいって自分を取り繕おうとしない率直さは後々帝位についても引き継がれてゆくのですね。