【感想・ネタバレ】86―エイティシックス―Ep.3 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈下〉のレビュー

あらすじ

敵〈レギオン〉の電磁加速砲(レールガン)による数百キロ彼方からの攻撃は、シンのいたギアーデ連邦軍の前線に壊滅的被害を与え、レーナが残るサンマグノリア共和国の最終防衛線を吹き飛ばした。進退極まったギアーデ連邦軍は、1つの結論を出す。それはシンたち「エイティシックス」の面々を《槍の穂先》(スピアヘッド)として、電磁加速砲搭載型〈レギオン〉の懐に――敵陣のド真ん中に突撃させるという、もはや作戦とは言えぬ作戦だった。だがその渦中にあって、シンは深い苦しみの中にあった。「兄」を倒し、共和国からも解放されたはず。それなのに。待望のEp.3、《ギアーデ連邦編》後編。なぜ戦う。“死神”は。何のために。誰のために。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

シンたちとレーナが再び出逢うまでの戦いを描いた後編。
うん、期待を裏切らない良い出来だった。

超長距離砲攻略戦の一部始終が描かれて、息つく暇もない戦闘描写と次々繰り出される戦術に思わずのめり込んでしまった。
すごいなあ。
シンを行かすためにエイティシックスの仲間たちの『俺にかまわず先に行け』的展開にはニヤッとしてしまった。
そして、絶体絶命の瞬間に響くその声。
いや、わかっていても胸が熱くなる。
いいよね。こういう展開。

そしてその再会は、この巻通してずっとシンが悩んでいたなぜ戦うのかという疑問への答えを与えることにもなるのだ。

一巻以来となるラストの再会場面が実にいい。
彼らの約束は果たされたのだ。
そして新たな約束が結ばれて、ここからは共に未来へ進んで行く。
その新たな展開に期待しよう。

1
2018年06月24日

Posted by ブクログ

二部作の戦争映画を観終えた気持ちである。切なさなのか、悲しみなのか、荒んでいるのに何故か清々しい気持ちになれる。
兵器同士のぶつかり合いはもちろん、他を圧倒する巨大な兵器にどう挑むのか? が圧倒的熱量で描かれていて目が離せなかった。
小説、特にエンターテインメント小説は駆け引きが何より重要だ。引いたと思ったら押してきて、引いたと思ったら……この繰り返しだと飽きるので変化球を織り交ぜたり間を置いたりするが、安里はもう徹底して「これが読みたい」という熱量で押してくる。その様はもう「一巻から読め」としか言えない。面白い。

0
2024年12月20日

Posted by ブクログ

2巻に引き続き、描写が卓抜している。
難しい表現の使い所も勉強になるし、ところどころに挟まれる何気ない会話のやり取りが息を吐かせるポイントとなる。重厚な世界観、戦争の状況や人命の儚くも美しい最後など世界観に浸れる物語である。
メカの部分も描写が適切で、比喩表現が上手い。さらに絶対に勝てないだろうなと思わせるものに立ち向かう主人公たちの生き様は拍手を送りたいほど果敢で蛮勇極まるものだ。戦場しか知らないのであればやはりこうなるよなぁと思う。
同時に、やはり戦争モノを描くのであればこれぐらいの酷薄さはほしい。凄惨で、絶対に助からないだろうと思ったところでちゃんと助かるとこちらも嬉しい。
第1巻のヒロインとの再会がまた嬉しいポイント。今度こそ共闘がまた見れると思うとワクワクするし、あの主人公の仏頂面がヒロインの前で緩むのかと思うと楽しくなっちゃう。これからはラブの方も見れると思うとワクワクするね。

0
2024年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

可哀想がってるくせに
生還が絶望的な
「敵地のど真ん中に突撃してって超電磁砲ぶっ壊してこい作戦」を
外国人少年兵に押し付ける軍の黒さよ.

なんだかんだでとてもピンチだったり
爆発したところでシーンが切り替わったり
するんだけど
1巻のエピローグで生き延びてて再会してるから
「でも死なないんでしょ?
みたいなのが頭の片隅にあって以下略.

列車超電磁砲がロマンなのは間違いない.

面白かった.

0
2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく良かった!
フレデリカの騎士,キリとシンが半分血が繋がってるのに驚いた
シンが諦めかけた時にレーナ率いるエイティシックス部隊が登場もいい!
シンはレーナのことをわかってその後のレーナへの質問もすがるような感じで…それに対するレーナの答えも最高…

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2022年08月24日

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共和国で迫害されていたシン達エイティシックスが連邦に移り住んでも意味を変えて別種の迫害が続く構図が描かれた前巻。その状況はこの3巻になっても変わらないのだけど、モルフォという人類共通の強敵が現れた事で軍内部での蔑視、世間からの憐憫は他所に置かれることになるね
その代わりに顔を出すのはエイティシックスが異邦人であり、戦いに赴く事に何の躊躇もなく、そしてその死を悲しむ者が本人達含めて居ない特殊性
モルフォ撃破の為に編み出された生還が限りなく不可能に近い特攻作戦。それに反対する者が直属の上司であるグレーテくらいしか居ない状況というのはあまりに物哀しいもの

また、エルンストとは別の形で庇護者として振る舞うグレーテもエイティシックスの理解者とまで成れていない点も哀しいね
グレーテはエイティシックスに寄り添おうと、彼らの理念を戦場に体現しようと努力している。けど連邦の理想や自分の信念を持って彼らに接する限りエイティシックスを理解なんて出来ないんだよね…
シン達も別に理解を求めているわけではないし、理解が可能とは思っていない。自分達に生還不可能な任務が宛てがわれたのも不満があるわけではない。でも、ここでセオが寂しさを感じたように自分達の道行の不確かさを嘆いた点は今後において変化させなければならないとの可能性を感じさせたよ


そうして始まった大規模作戦はエイティシックスを槍の穂先としつつも、共和国に無かった連邦の覚悟を示すものになるね
戦闘の中でもエイティシックスを侮蔑している点は変わらない。それでもエイティシックスこそモルフォを討滅すると信じ、そして国を守る為に命を懸けて戦っている
迫害の状況そのものは変わらなくても、その意味合いをほんの少し変えるかもしれないもの

一方でその辺りから際立ってくるのはエイティシックスにおけるシンエイ・ノウゼンの特殊性
エイティシックスは連邦の温もりに染まらず、軍部においても異次元の強さを見せた為に白眼視された。それはエイティシックスが連邦でも浮いた存在だった事を示している
けど、軍から離れてキリヤが宿るモルフォが近づくに連れ顕わになっていくのはエイティシックスの中でもシンが浮いた存在である事実だね
亡霊の声が聞こえ続け、エイティシックスの中でも別格の強さを持つ。何も叶えられずに死ぬ筈だったエイティシックスの中で唯一目的を遂げてしまったのに、仲間から願いを託され生き続ける事が至上命題となってしまった
そうしてシンだけが抱えてしまった孤独と空虚さは仲間と共有できないもの

それに似たものを共有できるとすればそれこそキリヤだけであり、キリヤを討ち倒した後のフレデリカだけ。だから最終決戦の場に存在したのもその三者のみという事になる
シンはキリヤを撃破した先に得られる何かを全く持たないしのに、モルフォを倒せる力を持っているというのは皮肉な話。そんなシンがキリヤとの戦いの中で望んでいたかもしれない唯一は死に場所か……

辿り着いた筈なのに何処にも辿り着けない。生き残ったのに生きている気がしない
だからこそ絶望に包まれていたシンの前にあのレーナが辿り着いてくれた事に感動してしまう。この時、レーナは話し相手がシンと気付いていないから、その上で彼女が語る言葉はシンに対して格好つけるものではなく、彼女の信念として彼女の中枢に焼き付いているもの
なら、誰がそれを焼き付けたかといえばシンエイになるわけで
託されるばかりだったシンエイの前まで、唯一願いを託した相手が生きて辿り着いた。それは他の何よりもシンエイ・ノウゼンが未来へ辿り着いた証であり、生きている証となるわけだ
また、戦友には死を与える事しか出来なかった死神を前にして、シンが居たから生きていられたとレーナが断言したシーン等は本当に感動してしまいますよ……


モルフォを倒して人類が救われるわけではないし変わらずに不利のまま。希望は何処に有るとも知れぬ状況
それでもシンがようやく生きる理由や戦う理由を手にし、遂にレーナと対面を果たした。それらの誰にも侵されることのない事実はこの物語がとても尊いターニングポイントを迎えたのだと感じさせたね

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2022年08月21日

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ネタバレ

アニメに触発されて気持ちが昂ってるうちに感想を。

その強さゆえに死んだ仲間を連れて戦ってきたシンが、サンマグノリアでレーナに言った「忘れないでいてくれますか?」は多分本人にとってはめちゃくちゃ勇気を振り絞ってでた言葉ではなかったと思う。必ず死ぬと決まっている運命の中でたまたま出会った善良なハンドラーと、どうこうなりたいなんて未来は想像なんてしてなくて、決してノリとかそんなんではないけど、もしそうだったらいいなみたいな一瞬の弱音のような呟きだったと思う。
でも、偶然にも生き延びることができてしまって、想像もしていなかった真っ暗な未来の先を見ることはできなくて。いつか終わる、終わるまではやりきるそんな気持ちだったのに、急にいつまで続くか分からなくなったことで途方にくれてしまっていたんだろうな。
だから、そんな時に小さな一言をずっと大切に抱いて追って、連れて行ってくれたレーナはとんでもない救いだったと思う。それこそこの人さえいてくれればまだ進んでいけると思えるぐらいの眩しい希望。
お願いだから2人ずっと一緒にいてください。

こうゆう比翼連理みたいな重くて深い結びつき大好き。

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2022年03月13日

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今自分の中でホットなので、お星さま最大です。
だって、やっぱり良いですよね>Boy Meets Girl。
良い歳したっていいんです。好きなものは好きなんじゃー!ということで。
2022年4冊目。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

シン達、スピアヘッド戦隊が連邦軍として戦場で戦うのがメインの話。
兄を討ってから自分の道を探せないシンの苛立ちとそれをラストにほぐしたレーナのやり取りが良かった。
自分のやりたい事を見つけるのって難しいよなぁ。1人で悩まず他人を頼ることも必要と思える一冊でした。

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2018年08月04日

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続編だけど、1巻のラストとの繋がりを描いた物語なので、結末がわかってしまっている分面白さ(ドキドキ感)は半減するが、それでも面白さは失われていない。四巻が待ち遠しい。

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2018年03月30日

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ネタバレ

『86―エイティシックス―Ep.3〈下〉』は、物語の大きな節目を刻む巻でありながら、読者の心を最後まで揺さぶり続ける力を持っている。あの第1巻のエピローグへと繋がっていくことを知りつつ読み進めるにもかかわらず、戦場の緊張感、仲間の生死、そして新たな舞台での戦いの苛烈さに、ページをめくる手は止まらなかった。むしろ「知っている結末」に至るまでの過程が、これほどまでに重厚で、そして切迫したものであったかと痛感させられる。

特に印象深いのは、主人公シンをはじめとする86たちが直面する「なぜ戦い続けるのか」という根源的な問いである。死地に身を投じることが宿命であるかのように描かれる一方で、その姿は決して無機質な消耗ではなく、確かな意志と絆に支えられている。読者はその姿に胸を締め付けられながらも、同時に高揚感を覚える。

また、戦術や軍事描写の緻密さはシリーズの大きな魅力だが、本巻ではそれに加え、「絶望の中に見いだされる希望」という物語の根幹が鮮明に浮かび上がる。長い戦いの果てに訪れる再会や、未来への予兆がもたらす感動は、単なる娯楽作品の域を超えて、読者に深い余韻を与えるものであった。

総じて、『Ep.3〈下〉』はシリーズの緊張と情熱を凝縮し、なおかつ次なる展開への架け橋となる力作である。あらかじめ「結末」を知っているからこそ、そこに至る道のりの険しさや尊さがより一層鮮明となり、読み終えた後には静かな感動と、物語の重みを心に刻むことになるだろう。

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2025年09月26日

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購入積読本~サンマグノリア共和国とギアーデ帝国の戦争を舞台に、人種差別を受け、無人戦闘機に搭乗させられ戦う少年少女たちを描いた物語の第3弾。電磁加速砲台“モルフォ“を投入してきたレギオンに対し、残された人類は連合を組み、立ち向かう。表題にもなっている「ラン・スルー・ザ・バトルフロント」がアツい。モルフォへの猛進と、敵の後続を抑えるため、仲間が一人、また一人離脱していくシーンは胸が苦しくなった。戦いの末、シンの思い至った心境の変化もいい。新たな仲間と共に歩む4巻が気になります。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シリーズを忘れてそうなところから読み返そうと思い再読。
この小説版は数年前に読んでいて、アニメも1年前に見たので今回はオーディブル版で聞きました。

オーディブル版の凄いところは読み手が上手すぎるキャラクターモノマネをしてくれる点で、特に女性キャラの演じ分け(+セオ)が凄かったです。
声優乗り移ったかと思いました。

ギアーデ連邦に辿り着いたものの、敵レギオンの大行軍により再度戦うことになったシン達。
羊飼いとなってしまったキリオと対峙するシン、そしてフレデリカ。
キリオがフレデリカ守ったところ、本当に良かったし、シンとレーナが出会う所は泣けるし面白いしで何度見てもうるっと来ました。

個人的にはエルンストがこんな世界滅びればいいって言うところが格好良かったです。

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

兄を討ち果たすという目的を達成してしまったシンは何のために戦うのか。
フレデリカの願いにより、彼女の騎士を倒そうとするも、果たしてその先には何があるのか。
失くしてしまった過去を取り戻そうとしないのは、自分たちの不完全さを目の当たりにしてしまうから。
未来を語れない自分に気づいてしまったから。
そして少年と少女は再び巡り合う。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

追いつきます、と言われ、追いつかれたその先に見てもらいたい景色があるのか。
もしそれが、見てほしい景色ではないのなら、見てほしい景色になるように頑張り続けるのは動機になるのだと思う。

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2021年12月27日

hi

購入済み

突然でてきたフレデリカ。
好きになれない。嫌い。

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2019年09月12日

Posted by ブクログ

戦うことしか知らない少年が、その先に果てることしか想像していなかった子供たちが、「未来」を与えられた時にどのように考え、振る舞うのか。本作はそんなところを突いているのかもしれない。それは取りも直さず、現代の社会問題の一つにも通じる、のかも。

そんな深読みをしてしまった。戦闘、情景描写にやや難はあったが(著者に見えているものが読者に伝えきれないもどかしさ、的な)、その分骨太さを感じるのも確か。綺麗にまとまったのも良かった。

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2018年03月05日

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