【感想・ネタバレ】この国のかたち(二)のレビュー

あらすじ

この国の習俗・慣習、あるいは思考や行動の基本的な型というものを大小となく煮詰め、エキスのようなものがとりだせないか――。日本史に深い造詣を持つ著者が、さまざまな歴史の情景のなかから夾雑物を洗いながして、その核となっているものに迫り、日本人の本質は何かを問いかける。確かな史観に裏打ちされた卓越した評論。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

前巻に引き続き、著者が様々な切り口から「この国のかたち」を考察していく。「東アジアの婚姻」、「職人」、「聖」など、多岐にわたるテーマから日本あるいは日本人の一片を切り取っていく著者の知識や洞察力には感嘆せざるを得ない。一方で、1つのテーマに割かれる紙面は10ページ程度であることから、読者に最終の考えを委ねる部分が大きい。
現代の日本人の習慣や価値観、あるいは文化を考えた場合、奥行きがあることを感じる。例えば、かつえマルコ・ポーロが日本を「黄金の国」と呼んでいたように、日本で金が取れたことが、日本の文化を形作っていった。金があったからこそ唐からたくさんの輸入品が入り、正倉院に象徴されるような天平文化を生んだ。また、唐への留学ができ、くだって室町時代においても、禅宗の流入が可能となった。また、江戸時代にはオランダ人が金に魅かれ日本へ来たことにより、蘭学が興った。歴史の教科書で習うことも、「金」という1つの物質をとって考えてみるだけで、歴史の必然性を感じることができる。今、私たちが当然のように行動していること、あるいは考えていることは、長年にわたり先祖代々から脈々と受け継いできたものであることを認識させられる、そのような一冊であった。

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2012年07月07日

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