【感想・ネタバレ】とっぴんぱらりの風太郎(下)のレビュー

あらすじ

炎上大坂城の死闘!
法螺貝の音と共に大坂の陣は始まった。
敵は10万徳川勢。
燃える天守閣の中での別れ、宿敵との死闘、そして希望――。
堂々の完結篇!

和議成立ののち、平穏な日々が戻ったのも束の間、血なまぐさい因縁が風太郎を追い立てる。
やがて訪れる最後の大決戦。
燃え盛る大坂城目指し、だましだまされ、斬っては斬られ、忍びたちの命を懸けた死闘が始まる。
崩れ落ちる天守閣、無情の別離、託された希望。
圧巻のクライマックス。万城目学、時代小説でもお構いなし!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

万城目学さんの作品を読むのは久しぶりです。
かなりのページ数に驚きつつも、読んでいくうちに話に引き込まれてしまいました。
万城目さんの作風なのか、いつの間にか風太郎だけではなく、黒弓や常世、蝉や百、ひさご様まで応援していました。
クライマックスは幼き頃にテレビで見た、里見八犬伝を思い出すくらい感動しました。

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんという大作でしょうか。大作であり、傑作だと思いました。史実とひょうたんを絡めたフィクションですが、壮大な物語です。
上巻でも書きましたが、再読です。詳細は全然覚えていませんでした。
黒弓の境遇やこれから成し遂げたいことを風太郎に話すところは、ラストシーンを覚えているだけに辛く悲しかったです。
下が風太郎に「必ず戻るのじゃ」と言うシーンもラストを覚えているだけに辛くて辛くて。
本阿弥光悦が風太郎に見た「暗さ」は風太郎の運命を物語っていたのでしょうか。
我が子を託した忍び4人にあたたかな声をかけ、最期の別れを告げるひさご様に泣かずにはいられなかった。
詳細を覚えてはいなくても、ラストを鮮明に覚えているだけに、下巻は読みながらずっと辛かったです。上巻のようにクスッと笑えるところも少なかったように思います。

本当は、因心居士からの依頼と、ねね様からの依頼を成し遂げた後は少なくとも風太郎と蝉と黒弓は無事に生きて都に帰ることもできたはず。なのに、これまでの風太郎の人生を映し出すかのように、最後も流れのままに、ひさご様のお子を連れ出す任務を背負うこととなり、辛く悲しい結末を迎えることになります。この、流れのままに運命に逆らわず乗っかっていってしまう風太郎が悲しくもあり、風太郎らしくもあると思いました。他の誰でもない、ひさご様の頼みゆえ、その重い任務を引き受けてしまった伊賀の忍びたちですが、「伊賀」というしがらみから解き放たれ、采女の指示ではなく、自分の意志で戦うことを決めた姿に悲しみとともに、胸が熱くなりました。それは風太郎だけでなく、常世も蝉も、そして黒弓も同じで、赤子を守り抜くことを「自分たち」で決めたのです。蝉が、ひさご様から名を呼ばれ感謝され、初めて人として扱われた気がする、ということを風太郎に言うシーンがありますが、伊賀の忍び達のこれまでの境遇を物語っていますね。

それにしても憎き残菊たち・・・

前回読んだとき、私は風太郎はその後助かったのではないかと思っていました。そう思いたかったのも多分にありますが。夫に「ねぇねぇ、風太郎は死んでないよね?」と先に読んだ夫に聞いたりしました。今回レビューを書くにあたって、Wikiをのぞいてみたら、はっきり「息を引き取る」とあり、少なからずショックでした。じゃ、黒弓は?せめて最後をきちんと見ていない黒弓はなんとか生き延びて、天川の母上のところに戻れたんじゃないの?!そう思いたい気持ちでいっぱいです、今でも。だって、黒弓ってこの物語の中でずっと、憎めない個性的な、独特のキャラだったでしょ・・・。
でもたぶん、たぶん生き残ったのは百市だけ。ひさご様の赤子を守るということをやり遂げた風太郎、常世、蝉、黒弓は立派な死に様だったといえるのでしょう。史実の中にもこうした無名の勇者たちがたくさんいたんだろうなと思いを馳せました。

あぁ、辛いけど、素晴らしい大作でした。

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2024年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はぁぁぁー………

みんな死んじゃうなんて……

こんな結末ならのんきなタイトルと帯にして欲しくなかった……

『ラスト忍者』とかにしてくれてたら心構えもできたのにな……

主人公にも仲間にも感情移入させておいてそりゃないよ……

まさか導入でにんにくの絵を思い出す場面が死に際の重い場面だなんて思わないよ……

戦後にはのんきさが全くなくて辛かったな。

自分達の都合で危険な大阪城まで連れ出しておいて、最後まで面倒見てくれないひょうたんの神様は一体何だったの?
忍びを全滅させる為のキャラクター?
あんなファンタジー要素を出すなら救ってくれると思うよね?

風太郎も実はあの後養生して復活して芥下とひょうたん屋をやり、常世も黒弓も実は生き残っていて、黒弓はちゃんと巳ぃさんの槐の根元に埋めた大金を掘り出し、お母さんも自分も買い戻して自分の人生を生き抜いていると信じたい。

ラストは衝撃だったけど読み応えが充分ある作品でした。

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2022年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストの結末が切なすぎる。個人的には、ラスト風太郎がひょうたん屋をやるシーンで終わると勝手に想像してたので、読み終わった後ちょっとショックでした。だけど、豊臣家だけではなく、忍びも戦国時代の終了と共に滅びる運命だと解釈するならこの結末もありかもしれない。でもでもせめて黒弓と風太郎は生き残って欲しかった。

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2021年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黒弓だけでなく、風太郎の仲間の心境が吐露されて話に厚みが加わった。胸の底に秘めた暗く重い過去や本音が一人一人の忍びの横顔をくっきりと浮かび上がらせて、天守を包んだ炎より熱く激しく結末を燃え上がらせる。常世と蝉はひさご様に、百は風太郎に、風太郎は芥下の言葉に導かれるように進むべき道を定め、命を省みず人のために人を救う。黒弓はどこまでも黒弓だったな。お互い欺き欺かれ素直になれない連中が人のために動く覚悟はとびきりカッコいい。泣かされてしまった。

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2017年07月02日

ネタバレ

気合の入った力作ながら…。

2022年5月読了。

「鴨川ホルモー」で心を奪われて以来、ずっとずっと大好きだったのですが、「偉大なる…」で心底ガッカリしてしまい、万城目先生の著作からは一歩引いておりました。

ある日、「久々の大作!」と書店で見かけて購入したものの、長らく積ん読しておりましたが、縁有って今回読破いたしました。

「本当は熱い歴史小説が書きたいんだけど、時代的にありきたりに思われたら嫌だから、作者独特のとてもヒン曲がった角度から歴史を描く」と云う稀有な作家さんだとズ~ッと思ってきたのですが、
やっぱり此処(大坂の陣の時の京大坂!!!)の部分だけは、同時代の視点で描かなくてはいけないと、思い入れ充分で望まれたんだろうなぁと推察しました。
いつもの万城目テイストに、「トヨトミ…」へと繋がる物話をこのボリュームで描ききった労力には、先ず拍手を送りたいです。

京都の市井の生活から、大坂の陣前後の世相をふんわりイメージさせながら始まるのは、いつも通りで良かったですし(京~大坂間の物理的・心理的な距離感の表現は最高です)、
いろんな意味で拗らせている主人公も「正に万城目テイスト」なのですが、物語後半、世相や戦況が差し迫って来るに従って「そこいら辺に拘る気持ちも分かるけど、事態が切迫してきてるんだから、もう少し話をテキパキ進めてくれない?!」と、かえってストレスを感じてしまう部分が、残念ながら少なく有りませんでした。
登場人物も、(歴史上の)有名人をほぼ一切出さないので、前半部のニートな主人公と伊賀仲間との関係性を読ませる部分では良くても、戦争が本格化する後半に入ると、状況の推移がほぼ又聞きに成り、その時点で誰(武将達)が何処に居るのかすら曖昧になり、こんな戦時下でそんなに個人的な人間関係の話やケンカをする余裕が有るの?!と疑問に思いました。

特に終盤部等は、アクション重視の描写にすればかなりの大迫力に成ったと思いますし、会話を控えればもっと(亡くなっていく)人物への想いなんかもググッと盛り上がったと思うのですが、
「戦う者同士が、戦場の真っ只中でこんなお喋りしてたら、戦が終わっちゃうよ?」「大坂城って、燃え落ちそうに成ってからが強い、スゴい耐火構造にでも成ってたの?」と云う嫌味が言いたくなるくらいのもどかしさが残りました。

#笑える #切ない #アツい

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2022年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2020/7/20
万城目さん容赦ないな…
忍びやし、そんなもんなんやろうけど悲しいわ。
ひさご様はすごくよかった。
恐怖で支配しなくても、この人のために命を懸けようと思える人物だったのに。
それに比べて伊賀の里の采女様やお殿様よ。
いい人は死んでしまう法則は現実だけでよくないか?
彼らの楽しい姿をもっと見たかったよ。
痛快なの読みたい。
この時生き残った赤ん坊から『プリンセス・トヨトミ』に続くんだって。
なるほど。
でもプリンセス・トヨトミ忘れちゃった。

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2020年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鴨川ホルモーやプリンセストヨトミのノリで奇想天外な万城目ワールドを期待してたのが、これは悲しすぎる・・
鴨川ホルモーやプリンセストヨトミ、鹿男、しゅららぽんと、これまではいつも2度以上読み直していたけど、ハッピーエンドしか受け入れたくない私には、この結末をもう一度読もうと思えない。
もうちょっとプリンセストヨトミにつながるような含みを、具体的に書いてほしかったかな。

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2017年06月26日

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