あらすじ
大正時代より、東京・沼半井町に
傲然とそびえ立つ奇怪な屋敷、
名を「双亡亭」。
立ち入った先で闇と出会ってしまったら、
もはや己は己でなくなるだろう。
遺恨を辿る者達はその門戸へと
導かれ、集い、挑む。
おぞましき屋敷を破壊する為に…!!
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Posted by ブクログ
自衛隊の爆撃をも物ともせず、中に入る者たちを取り込み化け物に変えてしまう。
そんな化け物屋敷・双亡亭を壊すべく立ち上がった人々の群像劇的物語である。主人公は(おそらくは)三人だが、基本線は群像劇と見ていいだろう。
それにしても、物語が開いていくワクワク感は素晴らしいものがある。
藤田さんが描く絵の濃さ、ホラー描写の巧みさも影響しているのだろうが、何よりストーリーテリングの手並みが本当に優れている。
おぞましき屋敷に因縁を持つ総理が、自身の手で双亡亭壊すべしと述べ、賞金を懸ける。
双亡亭に父を食われた少年・緑朗は双亡亭を壊しうる人との出会いを得て、双亡亭を目指す。
双亡亭爆撃の夜、45年前に行方不明となった旅客機に乗って現れた少年・青一は、その身をドリル状に変形して魔を撃つ。彼は緑朗と共に双亡亭を目指す。
そんな彼らの陰に隠れて、美大出身のただの人である凧葉は、ほんの弾みで言ってしまった言葉の責任にとらわれている。だが、今は彼は双亡亭を目指していない。
そんな彼らの群像劇は、同時進行で二つの物語を描きながら、そのそれぞれを丹念に描くことで中断のわずらわしさがなく、一方でテンポ感も良い。
日本のトップが軍隊を使っても壊せない家。その怪異を解決するという物語の主題も、子供への訴求力はかなり高い印象だ。
また、何より絵の力強さが尋常ではない。一個一個の描写が持つ力には惹きつけられた。
正直に述べれば、最初に読んだ際(三巻までまとめ読みしている)、風呂に入るのが少し怖かったくらい(笑)にはホラーめいた作品だ。
大変優れた物語のスタートである。星五つでぜひ評価したい。
Posted by ブクログ
初藤田和日郎作品。
まぁ面白い。キャラクターを作る力と熱の籠った絵を描く力がすげぇ。
ガッシュと言い、サンデー作家の熱量高い絵を描く力ってすごいよな〜
主人公が冴えない青年でおじさんっぽい見た目なので共感しづらいのもあるし、王道って感じではなさそう
ただ能力者が集まるシーンはワクワクするものがある。
双亡亭という限られた環境の縛りと、敵が家という縛りでどうやって面白くすんねん…が気になるのでもうちょっと読んでいきたい。
とはいえ、それぞれの双亡亭を壊さないといけないって理由がそんなに必然性ない気がしていて、緊張感に欠ける気もする。
緑郎は親父を亡くした復讐だけど、もう親父が戻る訳でもないし、相手が具体的にいる訳でもないから共感しづらい。
凧葉も仕方なしであって、緑郎をけしかけた罪悪感と紅を守るためだけど、そこまでの義理があるのか…?って感じではある。
もちろん漫画だから正当性なんて無くてもいいんだけど、説得力はないといけないと思う。
双亡亭に入るまでに描かれてる凧葉のキャラ的に、そこまでするかな…?って感じがあってイマイチ乗り切れない。
紅も弟が来るまでに双亡亭を…って言うけど、弟を止める方に注力した方がいいし、斯波総理達もなんでそこまでこだわってんの?って感じ。
(それがミステリーとして作品を引っ張っているかと言われるとそうでもなくて、ただ違和感として残ってるだけ)
合理的に考えたら「家が敵」なんて絶対にやめた方がいい設定なんだけど、それを強引に進められる先生の実績と、それでも読ませる画力と漫画の上手さはやっぱりすごい。
5巻ぐらいまでは読んでみようかなって感じ。面白くなくても「からくりサーカス」は絶対読もうと思う。