「ひたむき」という言葉が、これほどまでに似合う漫画は珍しい。
主人公・宮本大は、世界一のサックスプレイヤーになるという夢を持っている。
たいていの人間なら、才能がないとか、周囲が理解を示さないとか、さまざまな理由をつけて諦めてしまうことを、大は決して諦めない。雨の日も風の日も、ただひたすらサックスを吹き続ける。
もちろん、大もはじめから上手かったわけではないし、運良くよい指導者につけたことが成功の後押しをしたことは確かだが、大のその愚鈍なまでのひたむきさというのは、何ものにも代えがたい“才能”である。
音楽漫画というと、スタイリッシュな印象があるかもしれないが、この漫画はそれとは真逆。泥臭く、暑苦しいほどに熱い。だからこそ、リアルな手触りを持って我々の心に迫ってくるのかもしれない。
この作品を読んで、生のジャズが聴きたくなった人は多いんじゃないかなあ……。
一介のジャズ好きとしては、これを機にジャズが盛り上がってくれるといいなと思います。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
電車の中で出会ったおじさんとのエピソードが最高。笑わせるも、ぐっとくる。ユキノリは挫折を味わう。巻末のウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックへのインタビューに驚いた。7巻すごい。
映画化された中でも一番好きな巻
映画BLUE GIANTでは主人公が東京に出てからトリオを結成してまた海外へと旅立つ直前までのことが描かれてるけど、その中でもこの巻は、雪祈が名門ジャズバーの関係者から否定されるシーンが印象的で一番印象に残ってる。それを乗り越えてトリオが更に飛躍していくきっかけになる感じが好き。
大が「バーナムラブ」以来の自作曲を手掛ける契機となった、500円玉貯金で楽器を購入したサラリーマンの姿が印象的だ。この手の貯金に手を出したことのある人も多いと思うが、それだけにやり切る難しさも理解されるだろう。音楽に対する情熱は理屈では言い表せない。
Posted by ブクログ
感想
自分がいけてると思った時に全否定されると凹むよなぁ
あらすじ
ギターの川喜田とセッションする。彼のお陰で知名度が上がり、段々集客できるように。雪祈は10代で、日本最高峰のソーブルーに立つことを目指していた。川喜田の口利きで、ソーブルーの担当者にライブを聴きに来てもらうが、雪祈はソロで全然さらけ出せていないとダメだしをくらう。
Posted by ブクログ
遡及レビューです。
第7巻のリード文
***
「大達、10代のジャズトリオ「JASS」。その全力の演奏が、客を増やし始める。初めて受け取ったギャラ。トリオを羨む中年バンド、悩み前進しながらライブを行うことで大達は道を切り拓いてゆく。そして、ピアニスト雪祈は、憧れ続ける日本一のジャズクラブに出演しようと、ある男を招き・・・?」
***
このリード文にかかれている、ある招かれた男が発した言葉が非常に印象的。
大が自分の全力のプレイをその男に披露した時、彼は言った。
「君は臆病か?」
「全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ。」
「内臓をひっくり返すくらい自分をさらけ出すのがソロだろ。」
この巻では、電車で楽器をもったサラリーマンのおっちゃんのトランペットをひょうんなことから聴かされるハメになる。その曲がブルー・ミッチェルの「I"ll Close My Eyes」ということで、この日はこの曲を聴きましたね。