あらすじ
【デジタル着色によるフルカラー版!】恐るべき二重人格者、ドッピオのもうひとつの顔は組織のボスだった! 美しき島、サルディニアを舞台に暗殺者、リゾットとドッピオが激突する…!! そして島に上陸したジョルノたちに新たな危機が迫り来る!!
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Posted by ブクログ
「アバッキオ」
「おまえはりっぱにやったのだ」
「そしておまえの 真実に『向かおうとする意思』は あとの者たちが感じとってくれているさ。」
「大切なのは…そこなんだからな…」
第5部の全体を眺めてみて、、、、「形骸化した成果主義(結果が全て!)」を打ち負かす「血肉の通ったプロセス(真の結果を導く『誠の行動』)を讃えよう」というテーマが見えてきた。
ラスボスの超能力「キング・クリムゾン(プロセスを消去し、結果だけを世に残す)」は、能力のユニークさ&恐ろしさはもちろんのこと、成果主義のアイコンとして見事なキャラクタでもある。
そんな第5部が、『到達するべき真実』を目指し、「誠の行動」を伴って加速をはじめる。その起点となるのが、アバッキオの死が描かれた59巻だと思う。
アバッキオ。
社会正義をこころざし警察官になったが、「守るべき市民が悪事を働き、従事すべき司法は裏金で簡単に左右される」という社会の実態(結果)にがっかりし、どうせそうならと、汚職に手を染める。
それが引き金となり、「相棒を死なせる」「警官生命を絶たれる」という経緯を経て、輝かしい将来(結果)への道を断たれた彼は、プロセス(過程)の施行にのみ、生きるしかなくなった、悲しい男だった。
「巨大で絶対的な者が出す命令に従っているときは、何もかも忘れ安心して行動できる(52巻)」
「くだらない男さ。なんだって途中で終わっちまう」「いつだって途中でだめになっちまう」
この59巻で、アバッキオはボスの正体を突き止める作戦の途中、ボスの報復攻撃を受け、あっけなく命を落とす。彼のプロセスが結果に至ることは、ついに無かった。
しかし、アバッキオが残したダイイングメッセージによって、主人公ジョルノたちはボスを倒すカギを握る。アバッキオは、自分の遺言をボスに気付かれぬよう、(彼が心底嫌う)ジョルノの超能力でしか解けない方法で残した。
アバッキオが命懸けで担った、プロセスの一端。
過程に身を窶すしかなかった彼の人生は、アバッキオの意志を受け継いだ仲間たちの「迷い無き行動」によって、讃えられる。
その死に顔は、悔しそうでもあり、満足げでもある。
【追加の祝福】最終巻(63巻)から引用。
「生き残るのは、この世の『真実』だけだ。真実から出た『誠の行動』は、決して滅びはしない。」
「彼らがこれから歩む『苦難の道』には何か意味があるのかもしれない」「彼らの苦難が…どこかの誰かに希望として伝わって行くような」「なにか大いなる意味となる始まりなのかもしれない…」
「去ってしまった者たちから受け継いだものは、さらに『先』に進めなくてはならない!!この矢は破壊しない!」
ドッピオとリゾットの心理戦は凄く見応えありました。強運で乗り切ったドッピオだけど、徐々にブチャラティ達が迫ってくる展開はハラハラさせられました。