あらすじ
酸素欠乏症を引き起こす時限式爆発物を追い、名古屋の中心街をF1で疾走する臨床心理士・岬美由紀は最悪の事実を突きつけられる。それが高校に仕掛けられたと。そして残された時間は1時間を切っていると――。いじめや自殺、社会格差など、現代日本の抱える問題に鋭く切り込みながら、美由紀の新たな側面を描き出す。シリーズの新たな地平を切り拓く第5弾。異色の社会派エンターテインメント!
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Posted by ブクログ
岬みゆき千里眼シリーズには、珍しい学園もの!
なので、とっても、楽しめた〜
いきなり始まる脳外科医師、五十嵐が爆弾をしかけたといい
岬みゆきが、交渉へと現れる。
しかし、逃げる五十嵐、追うみゆき。
この追いかけっこが、いつものごとく、ハンパないスケール^^;
けれど、時間はやってきてしまった。
しかけた場所は、五十嵐の息子の通う、工業高校だと分かるが
岬みゆきが向かったときに、爆発してしまう。
が、そのとき、教師たちは、何者かによって全員外に出されていて
校内に残っていたのは、学生だけ。
そして、何人かの学生たちが、高校を「国」として動かすことをはじめ
イジメを排除し、優秀な人材は、部署を与え、使えそうなアイディアを出せば
出世もできるという、すごい「氏神工業高校国」が出来上がってしまうのだ。
世間では、高校生たちの篭城が大きな話題となり
保護者たちは、学校の外の待機所でオロオロするばかり。
しだいに、その「国」に住むことに慣れてくる学生たちは、
自給自足をはじめ、ライフラインの確保のために、ある生徒がパソコンソフトを開発し
それを売り、食料や、公共料金なども自分たちの国で支払いが出来るようにまでなる。
誰もが、自分には、何が出来るのか、
どうしたら生きていけるのかを真剣に考えたりする生徒たち。
大学受験も、もちろんさせるために、独学で勉強を教える立場になる生徒、
教わる生徒と強力しあい、試験の裏技も伝授!
しかし、重傷者が出てしまったことで、日本との交友が必要となるのだ。
医療施設のない、その国では、病人とケガ人は対処できなかった。。
そこで、日本と交渉。
警察は、乗り込むことを考えたが、
臨床心理士の岬みゆきが、その国への外交官となることを提案。
みゆきは次第に、生徒たちと解けこんでいき・・・
爆発が起きた場所へと爆発物の残骸を探しに、協力する生徒数十名と行動する。
そして、五十嵐のしかけた爆発物とは・・・・
今の日本は、「平等、平等」となりすぎていて
妙な歪みが生じてきていることを、気がつきはじめることへのメッセージ。
社会的問題となった高校の履修問題や、イジメ問題。
いろんな事がテーマになってるこの小説。
なにより、自分は自分で未来を切り拓いていくことへの大切さを教えてくれる小説だった。
また別の「千里眼」を読めて、とても楽しかった!
Posted by ブクログ
松岡圭祐による千里眼新シリーズ第5弾。
岐阜県の高校で生徒だけによる籠城から独立国宣言をへて、自治による運営がなされていく。一方でそれを取り巻く大人たちは高校生たちがなぜそんな行動に出たのかを理解しない。そんなすれ違いは、現実の世の中でも案外そこかしこでみられるのではないかと、自分の身にもつまされる展開だった。
特に、随所で重要な役割を果たす生徒・五十嵐がパチンコが他の賭博同様、絶対に勝てないことを論文発表すると、総理大臣をはじめとする国家権力側がなりふり構わずに生徒を弾圧しようとするくだりは、主旨は違えど一昔前の学生運動を彷彿とさせる。そういう意味で、意外と現実の世の中は危うい土壌の上に成り立っているのではないかと空恐ろしくなった。
相変わらず結末に至る過程は非常にご都合主義的展開で、事の真相についてもそんなことでそんなになるかよ!とツッコミを入れたくなるが、物語としてはやはり面白いことは間違いなく、相変わらずテンポよく読ませるのでついついページを繰る手が止まらなくなってしまう。
Posted by ブクログ
酸素欠乏症が、脳に影響を与えていじめが起きるという自説を唱える脳科学者五十嵐。自説を証明し、また息子を救うために彼は爆弾を息子の在学する高校に仕掛ける。
爆発の結果、高校生たちは独立国を宣言し、自分たちで自治を始め、大人が隠蔽していた世界史未履修も、自分たちの力で学習していく・・・
高校生の自治は面白かったが、酸素欠乏症が原因というのが、やや不満。
Posted by ブクログ
現代社会でも問題になっているイジメ、また履修不足、教育現場の現実が浮き彫りになっていると感じました。それでいながら、環境が子供(大人もだが)に与える影響にも深く食い込んだ内容で良かったです。
Posted by ブクログ
今回は、美由紀の活躍は少なめ。重要ではあるが、少なめ。
でも、このシリーズ数冊目にして初めて読後感が違った。
今まではスケールの大きい事件を美由紀がありえないほどの
スーパーぶりで解決していく大エンタメだったんだけど
今回は、社会、イジメ、親子関係、人間関係、などに対してエンタメで問題提起している。
そして、終わりかたが良かった。
好き嫌いあるだろうが、あたしの好きな終わりかたなのだ。
このシリーズ初の「胸ジーン」でした。
( ・_ゝ・)<ゆとり世代必読
Posted by ブクログ
とある田舎の学校で起きた生徒篭城事件。
酸素欠乏症が招いた事態の真相は…?
世の中の矛盾・不条理が浮き彫りになる一冊です。
是非お試しあれ!
今回は主人公岬美由紀の活躍が少なかった気がします。
Posted by ブクログ
生徒たちが高校校舎に立てこもり独立自治を宣言?!
我が高校国は独立を宣言し、主権を無視する日本国へは生徒の粛正をもって対抗する。前代未聞の宣言の裏に隠された真実に岬美由紀が迫る。いじめ・教育から心の問題までを深く抉り出す著者渾身の書き下ろし第5弾!
学校系の反乱もので「ボクらの七日間戦争」を彷彿させる、個人的に好きな分野の作品。あまりの突拍子のなさで、多少の展開や設定の我慢は許してしまう作品。
Posted by ブクログ
主人公の岬美由紀があまり前に出ていない作品。
前半は岬のアクションが目立つが、
後半はほとんどが独立国家となった高校が舞台で、
主な視点や描写はその高校内の生徒になっている。
元自衛隊員の心理カウンセラーである岬が
自衛隊の所有物である戦闘機やらヘリやらを乗り回すのは
フィクション性が高いのだが、
物語のトリックが今回はそれを越えるくらい
あり得ないような気がした。
世界史Bの未履修問題や、自殺予告など
問題となっている時事的な情報は豊富に盛り込まれている。
トリックが現実的な可能性から逸脱してしまい過ぎている感は否めないが、
個人的に結構好きなタイプの話だったので満足。
Posted by ブクログ
松岡作品を読むたびにやりすぎだと思ってしまう。
今回の千里眼教室もそれを多くの箇所で再認識した。
ただ、日常当たり前と思っている事や普通に流れていることについても疑問を持つべきだと自戒した。
Posted by ブクログ
酸素欠乏症を引き起こす時限式爆発物を追い、名古屋の中心街をF1で疾走する臨床心理士・岬美由紀は最悪の事実を突きつけられる。それが高校に仕掛けられたと。そして残された時間は1時間を切っているとー。いじめや自殺、社会格差など、現代日本の抱える問題点に鋭く切り込みながら、美由紀の新たな側面を描き出す。
Posted by ブクログ
子どもが学校を乗っ取って、そこに子どもだけの国をつくる…みたいな。
なんか、すごい懐かしい感じ。
昔、こういう本、よく読んだなぁと思って。
最後のあたり、なぜ子どもたちがそういう行動をしたのか、の種明かしみたいなのは、ホントかよ、って感じだけど。
でも、おもしろかったです。
Posted by ブクログ
千里眼シリーズの中では異色作かな?学校が一つの国として徐々に成立していく様子が面白かった。
社会派小説なのに荒唐無稽で、それでいて話が成立するのは千里眼シリーズならではかなと思いました。
Posted by ブクログ
嵯峨主体の話の方も読みましたが、豪快なアクションのある美由紀が絡んだ方が断然面白かったです。最後のどんでん返しは、矢張り子を思わない父親はいないのかなぁと、願いたくなります。
Posted by ブクログ
名古屋の地下街をF1カーで犯人を追って疾走。小牧基地からF15Jに乗りついで、岐阜の片田舎の工業高校での酸素欠乏症を引き起こすとかいう爆弾騒ぎを防ぐべく、飛び駆けつけるが、青白い閃光! 間に合わなかった。爆弾は高校生の体は傷つけなかったものの精神に影響を与え、生徒達は学校に立てこもり、国家として独立要求をすることになる。
てっきり、犯人の裏には悪の組織がいて、新たな陰謀か?!と思いながら読み出しましたが、話し半ばまできて、どうも違うようだとなり、少々ガッカリ。やっぱりスーパーヒロインが凡人相手に戦っていたら、お話にもリアリティがなくなってしまいます。
それはさておき、結局、千里眼のこの新シリーズは、一話完結シリーズってことでしょうか。次回から心して読むことにしましょう。
(2007/7/25)