あらすじ
都に戻った源氏は紫の上と再会を果たします。明石の君との間に生まれた姫君の入内を進め、並ぶ者のいない栄華を極める中、女三の宮という一片の暗雲が物語に影を落としていきます。
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Posted by ブクログ
= 澪標
光源氏28歳。都で復権。帝(源氏の兄)が,藤壺の宮との不義の息子の春宮に譲位して,朱雀院となる。
新帝が年若いため,引退した葵の上の父が摂政となり,源氏は内大臣となる。
承香殿の女御の息子が次の春宮に立つ。
明石の君に娘が生まれる。
源氏は,弘徽殿の大后にはあれこれ世話を焼くが,不遇時代に冷遇された紫の上の父(兵部卿宮=藤壺の宮の兄)だけは許さず,冷たく当たる。
御代代わりのため,斎宮も交代になり,前斎宮の母・六条御息所ともども京に戻ってくる。
六条御息所が息を引き取る前に娘(前斎宮)のことを源氏に託し,源氏は娘を引き取り,帝に入内させる準備を進める。
= 絵合
朱雀院は,前斎宮を自分の元に来させたがっていたが,源氏は藤壷の宮とも相談して,結局帝に入内させる。
帝には権中納言(かつての頭中将)の娘が入内していたので,帝の寵愛をめぐって競合が生じた。
権中納言側と源氏側とで,絵の優劣を競う会などが催された。
源氏は出家したいと考えているが,帝がもう少し大人になるまでと封印している。
= 松風
源氏31歳。
二条院の東院が完成し,花散里の君が移り住む。
東の対には明石の君を住まわせる心づもりをする。
しかし,明石の君は都に住むのに気後れし,明石の君の母の祖父の古い屋敷が大堰川のほとりにあったので,そこを整備して母と移り住むことにする。
源氏は,明石の姫だけでも二条院に引き取りたいと考える。
紫の上も,幼い子を可愛がる性質なので,乗り気になる。
= 薄雲
源氏は明石の君を説得し,明石の姫を引き取ることにする。
太政大臣(葵の上の父)が亡くなる。
続いて,藤壷の宮も病に伏し,37歳の若さで亡くなる。
さらに,式部卿の宮(朝顔の斎院の父)も亡くなる。
立て続けに大事な人が亡くなる事で,帝は自分に原因があるのではないかと悩む。
源氏が宥めるも,帝は源氏が実の父だという事を知ってしまっており,複雑な心境である。が,自分が知った事を父に知られては気まずいだろうと考え,胸に納め,ますます悩む。帝は源氏に譲位したいと考えるが,いさめられる。
それでも,帝は源氏を太政大臣相当に昇進させる。
前斎宮が二条院へ里下がりをした際,源氏は前斎宮への恋心をほのめかす。
いまだにそういう心情が残っている事に,源氏自身驚くが,以前のようにそこから先には進まない。
= 朝顔
現斎院(朝顔の姫宮)は,父の服喪のために人を降りる。
源氏は,朝顔の姫宮が元の屋敷に戻った事を知り,以前の恋心を再燃させる。
が,朝顔の姫宮は相手にしない。
源氏が朝顔の姫宮に言い寄っている事を噂に聞いて,紫の上は嘆き悲しむ。
= 少女
源氏33歳。
相変わらず朝顔の姫宮にちょっかいを出している。
亡き葵の上の息子が元服する。
源氏は,若いうちにあまり高い位につけるのは良くないと考え,息子を六位につけ,大学寮に入れて勉学を積ませる。母方の親戚にはそれが面白くない。
前斎宮(梅壷)を中宮に立后させる。後の秋好中宮。
源氏は太政大臣になり,右大臣に昇進した元頭中将に執政権限を委譲する。
内大臣には娘(雲居雁の姫)がもうひとりおり,葵の上の息子(冠者の君)と一緒の屋敷で育ったため,非常に仲が良い。2人は,密かに恋文を交わすようになる。
一方で,内大臣はこの娘を春宮に嫁がせたいと考える。
冠者の君と雲居雁の姫の仲が内大臣に知れてしまい,遠ざけられてしまう。
源氏は,冠者の君を花散里の君に預ける。
源氏は六条に新しく邸宅を建て,そちらに移る。明石の君もようやく引っ越してくる。
= 梅枝
源氏39歳。
明石の姫の裳着があり,春宮の元服も行われる。
葵の上の息子は宰相中将(夕霧)となっている。
源氏は夕霧がいつまでも独身である事を心配し,中務の宮の姫との縁談を勧める。
内大臣は,雲居雁の姫と宰相中将を一緒にさせてやった方がよいのではないかと思い始める。
= 藤裏葉
ついに内大臣が折れて,息子(柏木)を使って,夕霧を雲居雁の姫のところへ手引きする。そして晴れて結婚する。
明石の姫が入内する。明石の君がお世話役として内裏に入る。
源氏は太上天皇と同等の位を得,内大臣は太政大臣に,夕霧は権中納言に昇進する。
夕霧と雲居雁の姫は祖母の大宮が住んでいた三条屋敷に移る。
六条屋敷に帝の行幸があり,准太上天皇たる源氏と帝が並ぶと瓜二つである。
横に控えた権中納言も併せて,源氏の血族の栄華を極めた時と見える。
※太上天皇は引退した先帝のこと。略して上皇。院とも呼ばれる。
准太上天皇は,そういう正式な称号があったわけではない。太上天皇に准ずる待遇の意。
= 若菜 上
朱雀院が病を得,出家を急ぐようになる。
出家に当たっては,不遇だった藤壺の女御の忘れ形見である女三の宮の行く末が心配になる。
女三の宮の嫁ぎ先としては,柏木も考えられていたが,この時点でまだ官位が低いため,
見送る事になり。朱雀院のたっての願いで,源氏が引き受ける事になった。
女三の宮の格が高すぎるため,紫の上は自分の今後の立場を思って心を痛める。