あらすじ
醜い椅子職人は、椅子の中に潜んでいる。その椅子は、若く美しい夫人の住む立派な屋敷に納品された。革一枚を隔てて味わう女体の淫靡な感触に溺れる日々を送った男は、女を愛し始め、女との接触を試みる……
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
『断崖』、「おとなだってそうよ。どんな苦しみにあえいでいる時でも、その中で遊戯している、遊戯しないではいられない」が印象深い。
ラストの「夕日は大空を焼き、断崖の岩肌を血の色に染め」と「女の姿は/人形とように可愛らしく」の対比にゾクゾクした。その直後の「つぶらな目は、大空を映して異様に輝いていた」も印象的。毒々しい空の色に目を輝かせるヒロイン……。まだ殺したりなさそう。これも「遊戯」ってやつか。
『屋根裏の散歩者』や『心理試験』も、この「遊戯」的な側面がある気がする。
『目羅博士の不思議な犯罪』の一文「何の動機がなくても、人は殺人の為に殺人を犯すもの」というのも、この「遊戯」とよく似ている気がする。
「遊戯」的側面への言及は解説にも。「世の中とうまく交われないんですよ。乱歩はまた、そういった、自尊心ばかりが強くて、そのくせ人間関係はてんで苦手で、だから人間が嫌いで、でも本当は人と接したくて/ついに見つけた方法が、一般の社会では犯罪と呼ばれるものだった」
誰もが犯罪者になり得る。金のためとか怨恨ゆえとかだけでなく、退屈や興味、遊戯など、理由は色々。だからこそ人間は恐ろしい。でも少なくとも小説の題材としては、これほど面白い生き物はいない。
人間とは不思議な存在だ。
Posted by ブクログ
私が大好きなお話です。
初めて江戸川乱歩の作品に触れたのがこちらでした。読んでいて独特の気持ち悪さと恐怖が背中を走りました。でも、面白くて読みながら1人でニタニタしてました。どんなもの食べたら人間が椅子に入るなんて考えるのでしょう。変態ですね。素敵です。
Posted by ブクログ
単純に男がキモすぎる描写、現実との一致で小説なのか実体験なのか分からなくてヒヤヒヤする描写が巧すぎる。
時を経ても読まれる作品ってこういうものなのだろうと感じた。
※オーディブルで作品鑑賞済
Posted by ブクログ
奇妙、奇天烈!そして普通であったはずの登場人物達にさしこまれる「魔」が狂気や悪意へと駆り立てる描写がピカピカすぎてよかったです。
表題作の『人間椅子』がやっぱりお気に入りですね。オチで、ちょっと和らげて露悪コメディみたいにしてるのも、あー、ゾッとした…みたいなお化け屋敷から出た後みたいなある種心地よいスッキリ感すら感じられました。
・目羅博士の不思議な犯罪
鏡写しのマンションで暗示的に殺人をする…
奇妙ーッ
・断崖
探偵小説風でもありながら、鋭く人間の底知れぬ悪毒を感じられる一作
・妻に失恋した男
10ページしかないとは思えない密度の探偵小説
・お勢登場
人間椅子の次にお気に入りの一作。
フッと魔が差し込んでしまったお勢の心の移り変わりと、閉じ込められてしまった夫の気も狂わんばかりの描写が見事すぎました。
・二癈人
作中の物語のオチは読めたが、大オチは読めませんでした。
・鏡地獄
発狂具合がたまりませんね
・押絵と旅する男
世にも奇妙な話に出てきそうなのが、こんな前から作られてたんですね
Posted by ブクログ
人間椅子は噂にのみ聞いていて、実際にお目にかかったことは無かったものの、ストーリーはなんとなーくこんな感じかな?と想像してから読んだ。思ってたのと全然違った。
切ない…!やってる事が気味悪いから仕方ないが、彼の中での“恋人”に対してなるたけ不快感を与えないことに終始しているのが良い。性欲を満たしたいなどの欲求ではなく、ただただ、愛した人に愛されたかったのだろうな。そして拒絶される事も承知の上だったから予め、恋文を創作物としてしまおうとする手紙も用意していたんだろうな…切ない話。
これ、恋文を受け取った夫人が岸辺露伴だったらこの男に会ってみただろうなぁと思うし、私も会ってみたいと思う。
後の短編作品もそうだが、語り部がどこか浮世離れしていて、きっと目の前に居たら触れ合うのを躊躇してしまうのだろうな、という空気感が絶妙で良い。今まで普通だった人間が狂っていく様が淡々と、絵画のように展開されていく。
特に二癈人の虚脱感、たまらん。