【感想・ネタバレ】春夏秋冬代行者 秋の舞 下のレビュー

あらすじ

「きっと、貴方に恋をする為に――」
異国の地にて勃発した神を巡る大事件。それは二つの国の『秋』を波乱と混沌の渦に呑み込んでいった。
大和の秋である祝月撫子。橋国佳州の秋であるリアム。幼き秋達は運命に翻弄されていく。と同時に、容赦なく訪れる理不尽な暴力に対し、座して待つことを良しとしない者達が奮起していた。
冬の代行者、寒椿狼星。
夏の代行者、葉桜瑠璃。
さらには、大和からの随行陣や橋国佳州の四季の代行者も加わり、事件は国家をも巻き込む事態へと発展していく。
やがて明らかになる、巨悪の存在。
撫子の護衛官、阿左美竜胆は主を救う為に戦場を駆け抜ける。
少女の愛と罪を巡る物語の答えは如何に。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

誘拐された撫子とリアム。犯人はリアムの護衛官、ジュード。しかも竜胆と侍女の真葛を射殺した。目の前で、家族同然の侍女が頭を打たれて血を盛大に噴き出していたら、普通の子供なら錯乱するだろう。だが撫子は蘇生に踏み切った。しかも人の生命は吸い取らずに植物からだけという離れ技だ。その描写が古語や形容詞を使って描写し、そして「喰っている」という言葉で表されている。その後の雷鳥とのカーチェイスは読み応えがある。前巻で、橋国の代行者達が二十にもならない子供達ばかりであると明かされたが、ジュードがなぜ事件を起こしたのかと繋がっている。それは代行者達を保護するはずの機関が、金目的で代行者達を次々と殺していて、代替わりが激しかったからだ。撫子達の監禁場所が特定され、ここに佳州の代行者達も集結した。こんなに代替わりが激しければ、代行者達を教育する余地はないだろう。冬主従は傲慢だし、夏は少しはマシだが、攻撃後はへたり込んでいる。春の代行者はどうやって生きて来たのだろうと思えるほどだ。最後に雛菊とさくらがやってきたが、正直、意味はなかった。撫子が最後にも大量の人間を蘇生しているが、これはもう四季の中では撫子が最強と言えるのではないだろうか。竜胆の父の調べでは、もう撫子は時空すら捻じ曲げて越えているかも知れないらしいが、これはもう人間の力ではないだろう。クライマックスのシーンは、数年後の撫子と竜胆ということだろうか。それだけは少々わかりづらかった。

0
2024年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

※登場時から秋の主従の尊さに平伏している人間が書いています

あぁあああああぁああ!
ラストーー!その後はどうなったのぉおおおお!
竜胆!竜胆、撫子様に何か言ってあげてー!というか、きっと言ってるはず。その様子を暁先生の文章で読みたいいいいいいい(床をころげ回る)
巻末の著者の一言に「遠い未来のことは誰にもわからない。その先がどうなっているかは、ぜひ読者の皆様で想像の羽を広げていただければと思います。」とあって、そういう意図なのがよくわかるラストで、だからこそ秋としての美しさが際立っているのだが。涙……嗚呼、切ない、尊い、合掌

お願いだよぅ。秋の二人の幸せな未来を見せてくれよぅ。
渇望度が高すぎて、もう妖怪になるか二次創作書いちゃおうかなくらいの勢いだったけれど、
カクヨムの秋の舞 外伝を読んで、ちょっと落ち着きました。
うん。そうだよね。二人の愛は揺るがない。ずっと。

この物語が「それでも、生きていく」というのをテーマにしていると度々暁先生がおっしゃっているが、今回も辛い境遇が明かされ、畳み掛けるように理不尽な暴力や困難が襲いかかる展開に涙した。「それでも、生きていく」という言葉が、自分にとっても踏ん張る力として心に残り、今後何度も救われるだろう。

スオウ先生の挿絵が秋の舞も最高だぁ。特に最後の1枚の尊さと言ったら…
絵で泣かされるとは思わなかった。
何度も見返したい。

0
2024年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだかんだハッピーエンドで終わると思っていたのに。幼き2人に訪れた未来は決して明るくはなかった。

ジュードの行動には正義があった。それは正義となり、悪は成敗されたし、白日の元に晒された。
それでも、深く傷ついた少年と少女に咎は押し付けられる。

自由を奪われてもたった1人の自分を見てくれる人を選んだ少年。選ばれた護衛官。今の最善であることは間違いない。でも未来は?この2人の未来に憂いを感じるのは私の性格でしょうか。。。

年端も行かない女の子に、子どもの内にこの気持ちを昇華してしまえなかったのか、と言わせてしまう恋心を、溢れてしまった思いを、きちんと受け止めて終わってほしかった。。。あたしにはこの終わりをポジティブに読み解けない!

どうするの?竜胆?竜胆、ちゃんと欲しがって!
凍蝶を見習って!

愛も恋も誰かを思う気持ちが溢れすぎてそれに救われる一方、そのせいで噛み合わなくなるのが苦しかった

お金のために犠牲になった命を読み上げるシーンは涙一歩手前でした。

2024.2.23
32

0
2024年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻がドン底で終わったからあとは上がっていくのみ…と思ったのが間違いでした。リアムと撫子にはまだ底があった。残された大和四季の面々は流石の安定感で一つずつ(あるいは一気に)手を打って、解決を手繰り寄せていくので思ったほどの悲壮感はなかったけど、リアムは完全に闇落ちしていくし、ジュードは全て諦めモードだし、レオと撫子が居なかったらもっと真っ暗だっただろうな。
そして、撫子が夢で会う竜胆がいつも、現在が何年かを確認するから多分そうなんだろう、とは思っていたけど、やはり未来の竜胆だったよね。夢だからと撫子が話す内容を聞いた竜胆の思いについては最後に答え合わせがあってよかった。秋の2人が揃って生きていく幸せな道に辿り着けますように。

0
2024年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恥ずかしいぐらい読書中泣いた
苦しい辛い寂しい、そして嬉しく優しい涙
子供だからこその無垢で純粋な感情が胸を突く
大好きな人に傍にいて欲しいという願いが堪らなく愛おしくて、そして、最後の挿絵の破壊力に心臓張り裂けそう
正直この春夏秋冬代行者というシリーズの中で1番泣いてしまったと思う
読む章読む章で涙腺が崩壊してしまう…私には罪深い作品であった……

7章のジュードさんの邂逅と慟哭
彼の行動の理由を知ると、彼を責めることなんて出来やしない
愛おしい人の別離と愛おしい人を守ること
最愛の神を失い、だからこそ幼い最愛の神を守ろうとする姿が印象的だ
幼い命を失う瞬間の叫びが聞こえるようで、自害を試みるぐらいの愛していることが伝わり涙するんだ
そして最愛の者との再会は、大人になろうとした彼の幼さに気付かされる
そんな彼に愛されていた異国の秋の少年神であるリアムくん
彼の絶望の気持ち、そして諦めの描写が苦しくて苦しくて
もうしにたいと呟く幼い男の子の望み
ただただ愛おしい愛おしい人の子の愛を乞う姿
小さい、彼にとってはとてつもなく大きな願いがかなった瞬間、唯一の愛おしい人に望む願いにぶわっと涙が溢れてしまった
本当の意味で幼い神様と彼が心を通わせる日を心待ちにしてしまう

もう一方の秋の主従
こちらも時々すれ違いそして抱きしめ合う
小さき女神の恋心
色んな想いを胸に秘め、もしかしたら未来で知られてしまうかもしれない
お互いがお互いを想うからこそ、傷つけ合うように
未来で大人になった女神とその従者は、変わらずにきっとお互いを想うのだろうと想像する
そして2人の関係は、きっと、最良のものだと私は信じてしまう
撫子ちゃん…年の差なんて些細なものなんだよ!

もうひとつの号泣シーンは、大人の都合で亡き者になった幼い神様たちの名を読み上げるところ
その元代行者護衛管や家族たちが涙する姿を想像すると……私にはダメだった
仇討ちが良い事だとは思わないけれど、従者の神への愛の深さを知ってしまうと…もう本当泣きながら読むしかなかった…

更にさらに胸熱がっ、というシーン
大和と橋国佳州の四季の代行者とその従者が一箇所に集まる瞬間が最高すぎて!
遅れながらに春も代行者と護衛官も登場
佳州の代行者たちも癖強で…好き!ってなる笑
いつか橋国…佳州の物語も読める日が来るだろうか
そして、橋国の全ての秋の神様たちが一箇所に集まったと書いてあり、どんな光景でどんな言葉を交わし、どんな思いで彼らはいたのかと想像してしまう

長文で感想書きたくなるぐらい、もっと書きたいぐらい最高な作品で充足感を味わっている
素敵な作品で大満足でした

0
2023年11月20日

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