あらすじ
変装してパリから脱出した国王一家だが、目的地まであと一歩のところで追手に捕らえられる。民衆の失望と反感はすさまじく、王家の威信は地に墜ちた。しかし議会は王の「逃亡」を「誘拐」とすり替えて発表。ロベスピエールら左派が反発する中、ブルジョワ中心の世の中を目指す有力議員たちが、フイヤン・クラブを設立し、政局は一気に緊張する。そしてついに、流血の惨事が――。激震の第8巻。
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Posted by ブクログ
ジャコバン派の分裂は、革命を主導してきた人々の分裂といえる事件である。そして、分裂させた方の三頭派を、佐藤氏は政治技巧を弄するあまり嘘も辞さない人々として描いている。
ヴァレンヌ事件の幕引きを通じて王の信頼を得、ラ・ファイエット派と合流して議会の多数派を握り、眼の上のたんこぶの左派を追い出したのだから、何のことはない、声なき声を代表するものとして淡々と治めていけば、ブルジョアの天下は訪れたかもしれない。しかし、議会左派を共和政を唱える違憲勢力と決めつけて黙らせただけでなく、署名運動を進めるパリ市民に銃を向けてしまう。黙らされた側のロべスピエールはただうろたえるばかり。彼の狼狽は、現段階では三頭派の冷酷さを浮かび上がらせるものとして描かれているが、のちのち、この革命を血塗られたものへと変える導火線になっていく。
Posted by ブクログ
ヴァレンヌ逃亡後半~シャン・ドゥ・マルスの虐殺まで。
革命を完成させたい有産者と、真の平等を願う持たざる者との攻防は、ついにジャコバンクラブを分裂させた。
三頭派の行動は保身でしかなく、ものすごく腹が立つ。何のための革命だったのかと。
不利な状況から、ロベスピエールはどう巻き返すのか。