あらすじ
すべての働く人に送る、書店を舞台としたお仕事エンタテインメント、ついに完結! 中学の読書クラブの顧問として、生徒たちのビブリオバトル開催を手伝う愛奈。故郷の沼津に戻り、ブックカフェの開業に挑む彩加。仙台の歴史ある書店の閉店騒動の渦中にいる理子。そして亜紀は吉祥寺に戻り……。それでも本と本屋が好きだから、四人の「書店ガール」たちは、今日も特別な一冊を手渡し続ける。文庫書き下ろし。
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Posted by ブクログ
遂に最終話。
ペガサス書房の閉店で始まり、櫂文堂書店の閉店で終わる。ずっと、本屋の意味・意義を問い続けてきた。同時に、ネット通販には勝てない現実も。
「モノではなく体験を売る」リアル店舗は語る。しかし書籍の場合、、店舗で売るものと、ネットで買うものに、恐らく違いはない。ホントの”体験”は、”買う”ことではなく、”読む”・”感じる”ことにあるからかもしれない。”買う”ことはその第一歩で。(自宅にも読まずに積み上がった本が…)
本屋の「体験」は、ブックリストの拡張版なのかもしれない。書店員・沢村さんが語るような、「お勧めの本」があれば足りるのか。無目的に本屋を巡って、偶然目にする手にする”本”を選ぶからよいのか。時に悩む。例えば、本書はリアル店舗で手にすることは、きっと無い。この現実を私たちは、受け止めるしかないのか、と。
「効率とか合理化、数値化できないところに良さがある」と説く。私たちは、「書店」の良さを味わう最後の世代になるかもしれないと、考えながら、理子さんの涙に想いを重ねたい。
Posted by ブクログ
冒頭、前を走りバトンを繋ぐリレーの描写があり、そういう事なんだろなと思い、良い始まり方だと感じました。
描き終わりは女傑ではなく前向きなアキで締めているのもとても良い終わり方でした。
「本を語る事は自分を語る事」
「読み通した本は自分の地肉となる」
書店ガールのナンバーの中で一番、好きな言葉です。
完結まで読み通してよかったと思える作品でした。
Posted by ブクログ
シリーズ完結編、ということで本シリーズに登場した愛奈・彩加・理子・亜紀の4人の女性のその後の話が1章ずつ構成されている。
愛奈は司書を務める学校の読書クラブで、ビブリオバトルを通じてクラブ生たちが自分たちの内面と向き合う姿を見守る。本を語ることは自分を語ること、は心に残る一言。
彩加は故郷の沼津に戻って叔母の本屋をブックカフェとして改装するための準備をするが、地元の友人たちと再開し、思いがけない言葉をかけられながらも、気持ちを新たに一歩を踏み出そうとする。ブックカフェの話を期待していたので、少し残念な部分。
理子はエリアマネージャーとして管轄する仙台の老舗書店がついに閉店に追い込まれ、郷土愛が強いスタッフやお客様を巻き込んだ騒動になる。管理職としての自分の役割や書店に対する地元の熱い想いなどとの狭間で葛藤する姿が切ない。そして、信頼していた沢村店長は東松島市の被災した書店を受け継ぐことになり退職してしまい、被災地の癒えない傷と非被災者との壁を感じ、自分の人生の歩み方に苦しむ姿は、震災がもたらした傷の大きさを映してくれているように思う。
亜紀は念願叶って現場、しかも吉祥寺店の店長になる。品出しや開店前の朝礼など、書店で働く楽しさを噛み締めながら迎える店長初日の話。
シリーズ全体を通して、本・本屋さんへの愛があふれていて、本当に楽しく読んだ。
テーマに沿った本もたくさん紹介されていて、読んでみたいと思った本がたくさんあって、本当に充実したシリーズだった。シリーズ完結は寂しいが、いつか5年後とかの続編が読みたい。
Posted by ブクログ
"書店ガール"シリーズの最終巻。これまでに出てきた4人の女性店員たちのその後を描いている。
中学校の司書になった愛奈は、生徒のビブリオバトル開催を手伝うが、子どもたちが周囲から浮かないよう気を使いながら暮らす様子は少し痛々しい気がした。
取手駅の書店閉店後、彩加は地元の沼津に戻り、その地に馴染もうとする。
新興堂チェーンの東日本地区のエリアマネージャー、理子は、仙台店である櫂文堂のさらなる合併を聞き、社員たちの新店舗での雇用に心を砕くが、社員の多くや地元の住民たちは書店名が変わることに最後まで抵抗する。
大型店舗ばかりが増え、特徴のある書店が消えていく今の流れは、本好きにとっては残念なことだが、働く人たちが誇りと自信を持って働ける職場は素敵だと思った。そして、櫂文堂の沢村店長は辞職し、理子の淡い恋心も終わる。
そして、育休後、本部で働いていた亜紀は、吉祥寺店に店長として戻る。
それぞれが新しい場所で、前を向いて進もうとする姿に、少し元気をもらえた。