【感想・ネタバレ】NHK 100分 de 名著 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』 2025年4月のレビュー

あらすじ

そういえば、あの本のこと、なんにも知らずに生きてきた。

一度は読みたいと思いながらも手に取らなかったり、途中で挫折してしまったりした古今東西の「名著」を25分間×4回=100分で読み解きます。各界の第一線で活躍する講師がわかりやすく解説。年譜や図版、脚注なども掲載し、奥深くて深遠な「名著の世界」をひもときます。

■ご注意ください■
※NHKテキスト電子版では権利処理の都合上、一部コンテンツやコーナーを掲載していない場合があります。ご了承ください。

■今月のテーマ
ムラカミはなぜ世界を魅了するのか?

飼い猫の失踪をきっかけに、どこにでもある日常を生きる「僕」の毎日が一変する。「壁抜け」による時空の超越、凄惨な歴史の記憶、日常に潜む闇、解かれることのない謎――。「世界文学」に精通する沼野氏が、特異で難解な物語世界に分け入り、国際的評価を得た「閉じない小説」の深層へと迫る。

■講師:沼野充義

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「面白かったけれど、どう言語化していいかわからないなぁ」と悩んでいた村上の長編のガイドブックになると思い購入した。
内容の解説はもちろんのこと、コラムや関連人物が充実しており、手頃な値段と文量ながら読み応えがあった。

0
2025年08月02日

Posted by ブクログ

沼野先生の手腕恐るべしです。4回で終わるというフォーマット、制限の中で、村上春樹の文学の性質、特徴を無駄なく論じる。

一読者としては、再読したくなるし、その可能性を考察したくなる。

ユングの説いた集合的無意識は、村上の場合、歴史になるのではないかとわたしは考えた。

村上春樹文学は世界文学であり、世界文学とは読みのモードだというのも納得がいった。

コラムも素晴らしい。

0
2025年07月09日

Posted by ブクログ

ただただ面白くてひたすら圧倒された初読、綿谷ノボルに表象される、村上春樹がみなす「悪」とは何かについて思いを至らせた2回目を経てもなお、私はこの物語を全然構造的に読めていなかったなあと思わされた。
やっぱり、綿谷ノボルや戦争は象徴的な「悪」であり、多分筆者はどんなことが悪であるのだ!と名指ししたいわけではないのだろうな。
と改めて思った。

彼の小説は神話に通ずる物語の古典的構造に則っていること、比喩がこの小説で果たす役割、世田谷の日常にノモンハンや満州の話が挟み込まれる意味(悪は歴史を超えてつながっているということを示す)…などなど、面白くて説得力のある解説が目白押し。
この小説を読む時はいつも、素晴らしいストレートパンチをひたすら受け続けてノックアウトされるみたいに一方的にその面白さを享受していただけだったのが、この本のおかげで、物語がぐっと立体的にみえてきた。
ねじまき鳥クロニクル読んだことある人はこの本も読んだ方がいいと思う。大変大変良かったしもっとこの小説が好きになった。

0
2025年04月26日

Posted by ブクログ

なかなか読むきっかけが掴めない村上春樹、先に軽めの解説書を読むのもありかな、と思い購入。サクサク読めてとても良かった。

0
2025年11月21日

Posted by ブクログ

人生のバイブル『ねじまき鳥クロニクル』解説書

ねじまき鳥の理解が進むとも言えるし、勝手に解釈されて想像の幅を制限されたとも言える。

でも、一旦本書で解釈のガイドを示すことでそこからさらに自身のオリジナルの解釈に発展させることもできるから、解釈の幅を狭めてるかもしれないが、解釈の余地は広げている。

私はねじまき鳥をマリオがピーチ姫を取り返す冒険のような、冒険譚として理解している。
その中で理不尽なことや、不可解なことが起こるしあまり解決もされない。そこが人生っぽさがあっていい。そんな感じ。

村上春樹に影響を受けまくった本を執筆してみたくなった。

0
2025年09月27日

Posted by ブクログ

執筆背景や、過去のインタビューを参照しつつ考察されていて助かる。

特に「苦痛のない正しさは意味のない正しさ」とかのテーマは、作品を理解しやすくしてくれた。

0
2025年05月25日

Posted by ブクログ

面白かった。岡田斗司夫がジブリとかガンダムを解説しているYouTubeを観るのと同じ楽しさがこの本の中にあります。

0
2025年05月06日

Posted by ブクログ

ねじまき鳥クロニクルの解説テキストといった感じですね。鼻につくような解釈や深読みはなく、あくまで原文に根ざして物語の出来事を整理したものです。村上春樹を「世界文学」の中に位置付ける沼野氏の視点、解説が分かりやすいです。

原作は二回読んだのですが、このテキストのおかげでまた少し解像度が上がりました。

0
2025年04月23日

Posted by ブクログ

もう内容をだいぶ忘れてしまっている”ねじまき鳥”を追体験。それだけでも十分楽しめた本書。著者ならではの読み解き方なんかも興味深い。

0
2025年04月09日

Posted by ブクログ

昔、ノルウェーの森を読んだ記憶がある。意味がわからなかった。その時以来、二作品目となる村上作品。NHKの番組を通じてテキストも読んだが、やはりわからない。相性の問題なのか?私の至らぬ感性が問題なのか?テキスト巻末にあった著者の短編を読んでみたいと思います。

0
2025年04月30日

Posted by ブクログ

私の本棚にある「100分de名著 ヘミングウェイスペシャル」巻末の次号予告にはこう書いてある-「2021年11月号予告 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』 ムラカミはなぜ世界を魅了するのか?」

講師の沼野充義さんの健康上の都合により、2021年11月号は亀山郁夫講師の「ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』」アンコール放送のものに差し替わったが、もう「ねじまき鳥~」の回はお蔵入りだと勝手に思っていた。約3年半を経て、満を持して登場した形だ。

実は村上春樹はアメリカ文学の翻訳では読んだことがあるが、日本語のオリジナル作品は読んだことがない。そもそもこのテキストを私が読もうとしたのは、村上春樹のネームバリューよりも、講師が沼野充義さんだからだ。沼野さんのチェーホフの翻訳を読んで興味を持ったのだが、沼野さんの根っこに村上春樹の存在があったとは…翻訳への現代性の持ち込み方などにそれがうかがえると言われれば、そうかもしれない。

そしてテキストを読む。沼野さんは「ねじまき鳥クロニクル」を「世界文学」たりうる要素に満ちた作品として冒頭で紹介する。しかし世界文学という言葉はわかりやすいようでいて、その言葉に飲み込まれて何となくわかったように陥る危険性がある。つまり作品世界が広大だから世界文学という単純な話ではない。

沼野さんが解説するところの世界文学とは、「読みのモード」つまりその作品を読む世界中の人が自分の世界観や人生観をもとに自由な読み方ができる作品を指している。私も世界文学というとヘミングウェイとかドストエフスキーを想像するが、沼野さんの定義はその点で当たっている。私は釣りや闘牛に親しんだことはないし、父殺しをしたこともないが、先に挙げた作家の作品を自分の人生に照らして読むことができたからである。

沼野さんはさらに、村上春樹が世界文学たりうるとして、その独自性を個別に挙げて解説している。それが各回のタイトルとして付けられている(たとえば第1回は「日常のすぐ隣にある闇」)ので、興味ある人はそれを検索してほしい。

だが私は沼野さんの解説を通読しても、村上春樹の作品を読みたいという気は起らなかった。まずその暴力性がだめ。受け入れられない。もちろん世界文学を見渡せば、先に挙げた2人の作家やフォークナーを持ち出すまでもなく暴力描写を抜きに彼らの作品を読むことはできないのは承知している。では村上春樹の暴力性の何が個人的にだめかというと、何と言えばいいか、村上春樹の暴力は、無表情で無感情の暴力に思える。幽☆遊☆白書の仙水忍が野の花や小さい生き物に優しさを示す一方で、反対に人間に対しては当然であるかのように暴力を加えようとする、あの暴力だからだ。まるで免罪符が与えられたような暴力。そんなものはこの世に存在しない。それがわからない作家(またはわかっていて書く“確信犯”)を私は認めたくない。

あと村上春樹の性描写(性的描写)についても個人的にだめだ。たぶん暴力と同じ理由だからなのだが。以上の嫌悪は沼野さんの解説を読んでも解消されなかった。そもそも村上春樹なんか読まなくても、私にとって未読の世界文学はまだまだ数え切れないほどある。限られた自分の人生は、それらを読むことに使いたい。

(ここまで書いて、ちょっときつく書きすぎたかなと反省。村上春樹さんの作家性は認められるものだし、作品は苦手でも作家まで嫌いになるということはない。将来、受賞があるかどうか、私も注視しています。)

0
2025年04月27日

「趣味・スポーツ・トレンド」ランキング