あらすじ
祖母が守りたかったもの、それは?
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。
大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊! 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この作品、すご~く深かった…。でも、読めてよかったなぁ…と心から思えた作品です。
主だった登場人物は、孫娘の都、娘の雅枝、祖母の佳代…。瑞ノ瀬村というダムに沈んだ故郷を巡って、3世代がどのように生き、どのように向き合ってきたか…そして、未来は?というもの…。
やっぱり、いちばんこの作品で多く描かれている佳代の章「山ぎは少し明かりて」は、何というのかすごいです…。壮大なスケール感と故郷を思う気持ち、そして愛する人を思い続けること…何てレビューすればいいのか、わからなくなるほどの切なさとあたたかさをこの作品を読むことによって追体験できます!職場のお昼休みにエンディングを迎えてしまい、涙を抑えるのが大変でした…。この作品に出会えたことに感謝します。
Posted by ブクログ
大学生の都、都の母の雅枝、雅枝の母の佳代と母娘3世代の物語。都の持つ現代の悩みと雅枝の持つ家族への悩みまではこんなに深い物語だとは思わず、佳代の章に入った時の幸せな気持ちのまま読み終えたかった。ダムに反対する気持ちも補償金で村を去る考えもわかる。佳代が取った行いはとても感情的で確かに正しいとは言えないし家族たち周りはいたたまれない。だけど本当に守りたかったものへの想いは心の底から理解できる。通して読んでいくと胸の内側を絞られるような、ひどく悲しい。佳代を思うと湖へと撒かれた砂粒がせめてもの。
Posted by ブクログ
導入部分は期待外れだったかなと思ったが、後半の佳代の話になったら一気読みだった。最後は号泣してしまった。
戦争から故郷に帰ってきた人や家族を思って待ち暮らして来た人たちの故郷に対する思いに涙が止まらなかった。
Posted by ブクログ
ダムに沈んだ美しい村
故郷を愛しすぎた佳代と夫
その人生は幸せだったのか
三世代の母娘の人生が時代を遡って描かれていく
【第一章】
挫折を経験し、苦しみながらも令和を生きる都。
恋人の実家(長野のリンゴ農家)が自然災害にあい、都は手伝いに行くのだが、その中で〝故郷〟について考えてゆく。
【第二章】
生まれ故郷の村を嫌い、都会での生活を望んだ母、雅枝。
生まれ育った村を嫌悪する理由とは…
【第三章】
戦中戦後を生き抜いた祖母、佳代。
愛する故郷にダム建設の話が持ち上がる。
この章はものすごい熱量で描かれており、圧倒されっぱなし。
佳代と夫の孝光にとって、村での暮らしは明るく温かな毎日だった。
それは家族のような村の人々がいるからこそだろう。
しかし13年にも及ぶダム建設反対運動により、その関係性も変化していく…
こうまでして故郷を守る為に人生を捧げられるものだろうか。
愛する一人娘との大切な時間をもっと共にできたのでは?
と考えてしまうが、佳代と孝光にはどうしても必要な居場所なのかな…
辻堂ゆめさん初読みですが、とても好きな感じ。
ラストに全てが繋がり、胸がいっぱいです。
あと、脇役の男性たちがとても良いなぁ。
都の彼、雅枝の夫、佳代の夫…
特に雅枝の夫は頼りない人かと思ったけど、強くて優しい人でした。
Posted by ブクログ
三世代にわたるお話。
生まれ育った場所が国の施策でダムに変わるため立ち退きをお願いされる。故郷に対する思いが様々で、畑仕事は大変だといなくなる人もいるし、ダム建設反対で周りから冷たい目で見られ故郷を諦める人、思い出が詰まった場所だから残りたい人もいる。どの立場の人も共感できて、だから佳代と考光が反対し続ける思いも分かって辛かった。
どの章もパートナーとの純愛が良かった。憧れます笑
Posted by ブクログ
これは多くの人に是非読んでほしい
3世代の母娘を描いた物語だけれど、特に祖母の時代に感動した
戦争の時代に生きた家族の話が心に染みる
そして戻らぬ夫を死ぬまで待ち続けるカヨ
こんなにも涙した本は初めてかもしれない
大河小説だけど構成がとても面白く作られていて、さすが推理作家だなあと改めて感心した
これから辻堂先生の本は全て買っていこうと思った
己の今日を生き、一秒も立ち止まっていられない
この国に神風が吹き、戦争に勝つまでは
心に残るフレーズが沢山ある
Posted by ブクログ
三世代にわたる女性の軌跡。特に戦前から平成にかけ時代に翻弄された佳代の心情の移ろいには圧巻。胸が押しつぶされるような苦しさや怒りを覚えた。はるか昔から故郷を生み、守り、つないでくれている事実の重みを感じた。久々に読書で泣いた。
2024.5.18
Posted by ブクログ
読んで良かった。
故郷という大きさを改めて感じさせてくれ、切なさや愛おしさが心に広がる。
現在のシーンから話は始まるが、それは伏線で、太平洋戦争直前、後にダムに沈む瑞ノ瀬と言う場所での話に移る。
瀬川佳代、千代、三代の三姉妹と佳代の幼馴染みの瀬川孝光は、自然とその恩恵を受けて恵みが豊かな瑞ノ瀬で元気に暮らす。佳代と孝光は次第に意識をする仲となるが、そこに戦争召集令状が届き、佳代は孝光の無事を祈り待つ。諦めるしかないと思っていた矢先の再会。
二人は結婚をし、ようやく一人娘雅枝を授かる。
そんな中持ち上がったのが、ダム建設による瑞ノ瀬村全体の立ち退き。
孝光と佳代を始め、故郷を愛する人々による反対運動が行われるが、国や村の中の賛成者による懐柔策が次第に効果を表し、ついに二人だけの闘争となる。そして孝光の不可解な失踪。
佳代にとって、孝光との想い出の詰まった故郷はかけがえのないものだ。ましてやここで立ち退いては孝光の帰る場所がなくなってしまう。
ダム建設により水位が次第に上がってきても、小屋を移動させながらひたすら夫を待つ。その姿を故郷の自然は優しく包む。
故郷ということば響きは、どうしてこんなにも優しく哀愁に満ちているのかと思う。
余韻がいつまでも残る作品だと感じた。
Posted by ブクログ
結末に希望が見える第1章、第2章。
それに反して、壮大な美しい山村の描写に比例して寂しさとやるせなさが拡がる第3章…。
戦前戦後、高度経済成長…
昔は良かったという人は多いけれど、景気の良さや発展の影に犠牲を強いられてきた人や物事はたくさんあった。
自分は今、便利な時代の恩恵を受けているけれど、ここまでの暮らしを築いてきた先人たちへの感謝や尊敬の念を忘れてはいけないな、と実感。
これはフィクションだけど、ダムをめぐる史実をもっと調べてみたくなった。
参考文献として挙げられていた、徳山ダムや宮ヶ瀬ダムについての文献も読んでみたい。
「心のそこから守りたかったものは、瑞ノ瀬という名の、貴方だったのかもしれません。」
佳代さんが最後に綴ったこの一文が、ほんとうに美しいなと感じた。
Posted by ブクログ
辻堂さんにやられてしまった。
最後の最後で驚いて、佳代の手紙を読んだ時、涙が溢れた。それまでは佳代の行動がよく分からなくてちょっと引いてしまうところもあっただけに、「気持ちはわかるけれど頑固なお婆さんだなぁ」くらいに思っていたのだけれど。そのくらい佳代にも分かっていたんだなぁ、それでもどうにもならなかったんだなぁと、佳代の思いに触れて胸が痛んだ。
読み終えて、もう一度振り返って読み直しながらじっくりと噛み締めて、壮大な三代にわたる物語にようやく私も終止符を打てた。
また時をあけて読み返してみたいと思える1冊だった。
Posted by ブクログ
辻堂さんは、ちょこちょこ泣かせに来る。
ガンバッテルヒトタチを見習わなきゃと思うが、いざ現実に戻るとすっかり物語の事が頭から抜けてしまっている。
Posted by ブクログ
ボリュームにびっくりしました。何冊分か支払わないといけないぐらいです。殺される直接描写もなく戦争の悲惨な経験も内容は比較的ソフトにも関わらず、十分に伝わる作品でした。
Posted by ブクログ
作品紹介にある【 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。 】通りの話で、何故かどんどん引き込まれていく小説でした。
やっぱり辻堂ゆめの作品は良い‼️
Posted by ブクログ
中々読むのに時間が掛かった。
ダムに沈んだ村を背景に、祖母、母、娘の3世代の女性達を通して昭和から平成を経て令和までの歴史を辿っているような話だった。
1章の娘、都は現在の若い女性。海外留学したはいいけど思っていたのとは勝手が違ったようですぐに帰ってきてしまう。しかしそのことを隠してLINEで彼氏とやり取りを続ける。その彼氏の実家が台風の被害でリンゴ園が壊滅的な状況に陥って、そこを手伝ううちに精神的な打撃から立ち直っていく。ちょっと短絡的な思考と行動だがここから母や祖母の過去にたどり着いたのだろうか。
2章の母、雅枝はキャリアウーマン、自分が生まれ育った村に対して愛着があるのか無いのかはっきりわからない。読み進めていくうちにどうやら両親の行動が関係があるらしい。複雑な人物だと思う。私も田舎で育ったので都会への憧れもわからないではないし、また、故郷を懐かしく思う気持ちもわかる。世代的にも似ているので雅枝に一番共感できる部分があった。
3章の祖母、私の母の世代。一番大変な時代を生きた世代だ。最後までダム建設反対の意思を貫いたのだが、その根底には、佳代の章の最初の部分に描かれている豊かな山の生活の描写にあるのだろう。今はこんな風景はほとんど残っていない。ここの部分を読むと、高度経済成長期に何か大切なものを壊して今の日本を作り上げてしまったのではないか、と思う。佳代の最後までの抵抗はダム建設反対だけでなく夫孝光を待つためでもあったのだ、いや、こっちのほうが強かったのかもしれない。そこには子どものころから一緒に過ごした村の情景、そして離れ離れの時もこの村の豊かさが守ってくれたからだろう。
孝光はどうして消えてしまったのだろう。佳代だけでなく、雅枝の心にも父の失踪は大きく影を落としている。
とにかく壮大な物語だった。読み終わってダムに沈んだ各地の村のことが知りたくなった。高度経済成長期に様々な犠牲を負った人のことも。
そして今なお、同じようなことが日本の各地で繰り返されているのではないだろうか。
立ち止まることも、そして考え直すことも大事だと思った。
読み応えがある物語だった。
Posted by ブクログ
昭和初期に自然豊かな瑞ノ瀬村で3姉妹の長女として生まれた佳代、その娘で戦後生まれの雅枝、雅枝の娘で令和に生きる大学生・都。
時代背景が異なる3人の女性の生き様や故郷への思いを対比的に描く。
物語の中心に据えられているのが、昭和40年代に持ち上がった瑞ノ瀬村にダムを建設する計画。
美しい瑞ノ瀬村で暮らす300戸が湖に沈むことになる。佳代の夫・孝光はダム建設に反対する急先鋒として懸命に頑張るが、補償金をあてに賛成にまわる家が増え、ついに孤立してしまう。佳代は懸命に支えるが、疲れはてた孝光は行方をくらましてしまう。
ダムは着工され、住民は皆移転するが、佳代は周辺に小屋を建て、頑として移転に応じない。
命がけで故郷を守ろうとした夫が戻るのを待ちながらダムに面した裏山での一人生活を続ける佳代の生き様や故郷への執着は凄まじいものがある。
一方、娘の雅枝はダムの補償金を活用し務め先のある市内に一軒家を建て伴侶とともに暮らしていた。だがダム建設に反対する両親との間には亀裂が生じていた。都会でのキャリアウーマンとしての生活も終焉を向かえようとしていた時、無口で頼りなく思っていた夫から、ある知らせが届く。雅枝は、それを契機に故郷・瑞ノ瀬に思いを馳せる。
また、雅枝の娘・都は海外留学するも、適応障害で1ヶ月と少ししか、持たずに帰国、家にひきこもっいた。そんな時に恋人の実家のある長野市が豪雨で被災したというニュースを見て家を飛び出し、長野に向かう。結局、12日間の復旧作業に従事した都は帰宅後、瑞ノ瀬ダムの治水効果に気付き、故郷として見直すようになる。
故郷を守ろうとする女性、未練もこだわりもなかった故郷に懐古の気持ちを抱き始める娘と孫、その接点にダム建設がある。
ダム建設は、現場に住む人々の生活基盤を一転させることから明暗様々な人間ドラマを産み出し、小説のネタになりやすい。
だが、賛成側と反対側の対立の実態、貯水開始により、徐々に村のあちこちが水に沈んでいく様子の描写がこれほど真に迫ってくる小説はないのではないかと思う。
ただ、一点、腑に落ちなかっのは、佳代の夫・孝光の失踪の真相。まだまだ戦おうとしていた矢先で失望
したとはどうしても思えない。そこが謎のまま、終わってしまったのが残念な気がする。
Posted by ブクログ
親娘3世代のそれぞれの時代と想いを綴った物語。親子でも言えない事&知らない事ってたくさんあるよなーと思いました。
佳代さんの愛、とっても素敵でした。
辻堂先生の作品は3冊目ですが、前回読んだ作品と構成が全く違って、こんな書き方もできるのかっ!と感動しました。
読みにくさ等は得になかったですが
何となく初心者向けではないかな。(個人の感想です。)
少し穏やかに考えながら読みたい人におすすめです。
Posted by ブクログ
いい本でした。構成も良かったしストーリーも良かったしよどみなく読めました。
第三章の子供たちが山、川で遊ぶシーンは秀逸で既視感がありました。読んでいていきいきとした子供たちの姿が目に浮かぶと同時に自分たちが子供のころ川で遊んだ情景がまさに見てきたように描かれています。これは実際にその場で遊んだりしなければ書けないなと思いましたが、著者の略歴を読むとそんな環境に身を置いてなさそうだし、どうやってこのシーンが書けたのかな?と思ったら最後の参考文献を見て納得しました。映画「ふるさと」です。あの映画にそんなシーンがありました。まさしくそれです。あの映画もダムに故郷が沈んでゆくというストーリーでした。
日本社会のひずみ、文化の迷走、カネへの執着といったものが大事な山河と心を蝕んでいくんだなということを感じました。本当に大事なことを守ろうとする人間こそが幸せにならなければならないのに世の中は常にその流れに逆らって、資本主義の悪弊に突き進んでいっているのでしょうか。でも、最後にダムが街を救ったとも言っています。それは真実でもあり、皮肉でもあり救いでもあります。
それが実情としても瑞ノ瀬の村人たちの変貌ぶりが醜いですね。
田舎の原風景が余すところなく描かれていて全般的にはすがすがしさいっぱいでもあります。
Posted by ブクログ
都、雅枝、佳代、千代、三代。
この物語に登場する女性たちの名は、どこか雅だ。
各章につけられているタイトルは、枕草子からの言葉である。
これらが無意識に日本人の心とは何か、あなたにとって故郷とは、と問われているような気がしてくる。
一方で、時代の生き方を否定することなく、選んだ道で暮らしていく強さを描いており、共感できる場面が多くある。
第三章のラストでは、プロローグとエピローグに繋がるようになっているが、私は第一章のラストの場面を思い起こしながら読んだ。
そう、未来へ続く景色として。
Posted by ブクログ
著者の作品は読後感の良いミステリーですが、これはミステリーではありません。
孫娘→母親→祖母と女性3代の話を読み進めていくと色々と伏線が回収されていく、登場人物への愛情が注がれるのはいつもの作品と同じです。
”瑞ノ瀬”は”宮ケ瀬”ですね。私は孫娘・母親の時代のロケーションは目に浮かび、祖母の時代はこんなだったのかと思いながら読みました。
Posted by ブクログ
孫娘に対する優しいおばあちゃんと、頑固な佳代さんとのギャップが謎だったが、最後の最後にこういうことだったのねと理解できた。
(しかし、孝光さんの死に対する疑問が少し残った。書き置きはどういうことなんだろう。)
著者はまだ31歳ということだが、それぞれの時代感をうまく表している。今後も期待できる人だと思う。
Posted by ブクログ
ダムに沈んだ村をルーツにもつ女性三代のおはなし
するすると入ってくる読みやすく穏やかな文体が心地よかった
ダムという人為的なもので住んでいた土地を離れること、災害他で住んでいた土地を離れざるをえなくなること、いろいろなことに思いを馳せることができました
Posted by ブクログ
4.2
孫、子、親と話が進む。
美しく豊かで先祖代々守って来た故郷がダムになってしまうお話。
佳代の幼少期から亡くなるまでの生活の中で、
どんどん村に愛着が湧き、引き込まれる。
Posted by ブクログ
ダムに沈んでしまった故郷を持つ三世代の家族の物語。
大学生の都、定年までわずかのキャリアウーマン雅枝、ダムになった村を最後まで愛した佳代。
三つの章が独立した短編でもいいくらい、それぞれの物語がしっかり書かれている。
全体の半分以上を費やした佳代の章は、子供時代から老後まで丁寧に描かれ、当然のように感情移入してしまうのだけど、その前の二つも好きだな。
留学に挫折し引きこもりになった大学生。自然災害の壮絶な被害の様子。
仕事に一生懸命だった女性が定年を迎え、何を思うのか。夫との関係。両親への思い。
最後は切ない気持ちになるけれど、今後のそれぞれの穏やかな関係を思わせるような終わり方。
Posted by ブクログ
ダムになる、道路になるという理由で大金が手に入ることがあるかもしれないが、自分の生まれ育った場所が無くなるのはどんな気持ちなのだろうと思いながら読んだ。
Posted by ブクログ
家族の歴史
世代が飛ぶので理解に苦しんだ
死んだでのちに発見された夫は何故
疑問が残ったまま終わってしまった
家系図があればわかりやすかったかな
Posted by ブクログ
祖母、娘、孫娘三世代にわたる物語。
生まれ育った場所がダムに沈んでしまう事になり反対運動をしていた祖父と祖母。
親が反対運動に夢中になり、蔑ろにされていた娘。
留学に行ったが馴染めずに帰ってきて引きこもり、祖母の家に通う孫娘。
なかなか読み応えがありました。生まれ育った場所が大切なのはわからないでもないけど、それよりも娘を大切にしてあげてほしかったなぁ。結局最後まで我を貫き通した祖母。
Posted by ブクログ
ダムの建設をきっかけに地元を追われた家族と、その親子三代それぞれの生活が描かれた話。
初めはダムの話などほぼ出てこない孫の都が主人公。留学先でうまくやれずに帰国してから引きこもりな都の心の支えは近くに住む祖母。祖母は優しく都を肯定してくれる。
二部の主人公は都の母である雅枝。雅枝は幼い頃から住んでいた瑞ノ瀬村にダムができることをきっかけに街へ出てきた。都会での暮らしを望み、自分の子供には(自身ができなかった)広い世界で生きてほしいと考えている。
三部の主人公は都の祖母で雅枝の母である佳代。佳代は三姉妹の長女として瑞ノ瀬村で育ち、戦争を経て幼馴染の孝光と結婚する。地元の瑞ノ瀬で穏やかに暮らしていたが、そんな矢先、瑞ノ瀬にダムの建設計画が持ち上がる。孝光と佳代は他の住民と共に反対運動を行うが、時間が経つにつれて反対運動に加わる住民が減っていく。それでも反対運動を辞めない孝光と佳代。
いやー、佳代の人生が波瀾万丈すぎて。
以下ネタバレですのでご注意。
都の血縁的な祖母は佳代だけど、都が思っている祖母は佳代の妹の三代だったとはー!佳代は最後まで瑞ノ瀬で孝光を待っていたかったんだな…。
自分の生まれ育った地域がダムに沈んでしまうという経験はないけど、確かに寂しいだろうな。地元への気持ちと家族の大切さを感じさせられる本でした。