あらすじ
毛布にくるまって読みふけった
あの頃のあなたへ――
こんなファンタジーを待っていた!
待望の第三弾が早くも登場
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ルーチェが残した犠牲法がレーエンデにさらなる陰を落とす時代。娼館保護法も生きているけど、何かしら告訴されてしまえば、レーエンデ人なら罪人としてほぼ決定してしまう。一巻から比べると、レーエンデからすっかり自由はなくなってしまったのだと痛感させられる状況。
そんな時代下、物語の主人公は劇作家のリーアンと、劇団座長のアーロウの双子の兄弟。リーアンが依頼をきっかけに、名前も忘れられた英雄テッサの物語を書き起こそうとし、その足跡を辿る。
帝国からの抑圧化の下にあっても、ちゃんとテッサの名前を、物語を、覚えている人がいた。その勇姿を受け継いでいた人もいた。そのことに希望も見える一冊。
もちろんというべきか、希望のあとに絶望に落とすところもこのシリーズらしいところではあるけど、武ではなく、芸術を取った今作は流血は少なめかなと思う。
搾取されることに慣れてしまった人々、搾取が当たり前になった人々の心へ訴えかけようとする、物語。
Posted by ブクログ
最初は才能があるない、双子ってそう言うことあるよねと単純に見ていた。
でも後半リーアンが、アーロウと打ち明けていくたびに考えが全く変わった。アーロウはリーアンの才能に羨望し、リーアンはアーロウの人望に羨望してた。身代わりになるリーアンに計り知れないほどの愛を感じた。
月と太陽とはまた違った感動で、今回は家族愛っていう感じだった。それにテッサのしてきたことは無意味じゃない。レーエンデの矜持はまだある!って思い知らされてた。すごく読みやすくて、展開がスムーズで気づいたら終わっていました。読むごとに感情移入しすぎて、次回も読むのが楽しみです!
Posted by ブクログ
レーエンデ第三弾。
とりあえず、いきなり鉄道が出てきてびっくり。
そりゃ産業も発展してるだろうけど、今までそういった描写がなかったから面食らった。
ユリアの時代からテッサの時代ってそんなにイメージ変わらなかったよね?
レーエンデはずっとそのままいく世界観だと思ってた。
さて。
今作は武力による革命ではなく、天才劇作家リーアンが戯曲によって世界をひっくり返そうとする話。
題材はテッサ。
テッサについては徹底的に秘匿され、一部の支持者以外には名前も知られていない状態。
テッサがどんな人物でどんな人生を歩んだか、追い求め戯曲は完成する。
が、やっぱりそう簡単に世界は変わらず。
前作で教育の大切さ、みたいな話があったと思うけど、そこに繋がるのかな。
「喝采か沈黙か」というサブタイトル、めちゃくちゃ良い。
Posted by ブクログ
百年戦争が終わり、闘うことから少し距離ができた時代。しかし、人種による階級差、差別はむしろ積み重なった年月分酷くなった。闘うことが遠い分反抗する想像もできない、レーエンデ人は家畜化された。
レーエンデにも鉄道が通り、もはや閉ざされた地ではなくなり、文化芸術が花ひらく。しかし光が強ければ影も濃いというのか
剣をペンに持ち替え革命の戯曲を描き、レーエンデ人を鼓舞する今作。当然自由に思想を開陳することはできない時代、命の危険を覚悟した行動だ。
しかしただそれだけのストーリーなら読む者の想像の範疇に収まるだろう。
自分の分身、才能と凡庸、嫉妬と愛情、人間らしい要素が物語に加わり次第に引き込まれていく。
生きながら幻魚に喰われることを想像し震えていたリーアン。いざ死のうとしても恐怖で引き金が引けなかったリーアン。
レーニエ湖で彼はどれだけの恐怖と闘っただろうか。どんな思いで歌っていたんだろうか。『レーエンデに自由を』は彼を支えただろうか。
読み終わった後、ページを戻り
"会いたいよ、兄弟。
一目でいい。
お前に会いたい"
の部分でやはり涙が込み上げる。
Posted by ブクログ
革命の話をしよう。神の祝福を経て、喝采を得るか。全てを飲み込み、沈黙となるか。
此度も時は流れ、英雄の名前は忘れられた。暗君は暴虐の限りを尽くし、民草は圧政に虐げられる。希望はなく、世界に救いはない。静寂の中で、決して消えない火を灯す。
天才劇作家の兄。凡人の弟。彼らは無い物ねだりだ。弟は才能を求めた。兄は愛を求めた。互いに反目しあっていたが、誤解を解き、互いを認めることで、2人を繋ぎ止める信頼の綱を作っていった。これは彼らが本当の意味で求めていたものだ。互いを絆の命綱で繋ぎ、最も大切なものを得ていった。
彼の偉業には喝采が送られる。
Posted by ブクログ
双子はずるい。
1人は才能があり、1人は平凡とか。ほんと(語彙力)
っていうか前作の物語が戯曲となって世界を動かしていくってほんとストーリー展開がやばい。テッサ。あなたの物語は無駄じゃなかったんだよーー!
もうここまで読んだらラストまで読みたい。リーエンデ国はどうなるんだ
Posted by ブクログ
前作に比べてさくさく読めるけれど、辛いのは相変わらず
ストーリーの中盤で、色んな事が上手く行き出して、良かったー!とは思いつつ
でも、絶対このままじゃ終わらないよね、絶対何か良くない事が起こるよねーと思いつつ読み進める
昨今、チート主人公故に、何も心配せずに読める作品が多い中で、この出るぞ出るぞ、いつか出るぞと言うお化け屋敷みたいなハラハラ感は、ずっとはキツイけどたまになら・・・
Posted by ブクログ
テッサの起こした革命の足跡を辿り、剣ではなく芸術で革命を起こそうとする双子の話。前作があまりにも辛い内容だったので、最後は両者の想いが伝わり合ったこと、戯曲も成功をおさめたこともわかりハッピーエンドと言っていいのでは。
そりゃそうなんだろうけどルーチェは語り継がれてないのがちょっと残念。
Posted by ブクログ
前作のテッサが処刑されたあとの、レーエンデの暗黒時代のお話。テッサの存在も忘れ去られているが(帝国によって隠されている)、テッサの事実を何とか戯曲化して真実を伝えようとする双子のお話。悲しくて心苦しくて辛いけど、途中からは双子の絆も見えてくる。でもそれも辛い。
Posted by ブクログ
「こんなファンタジーが読みたい」を最高のレベルで叶えてくれる。
風景描写は繊細で、世界設定も詳細で、けどちゃんと人物たちのやりとりに温度があるのが素敵。リーアンとアーロウが照れ合ってるあのシーンなんて、おかしくってくすくす笑いながら読んでた。
それからやっぱり、メインに歴史としてでてきたテッサたちだけじゃなく、白昼夢のような形でユリアとトリスタンが出てきた瞬間の、あの鳥肌ったらない。うわーっこれこれこれ!!!って内心昂りまくっちゃった。ファンタジーな世界観、シリーズものの醍醐味をめちゃめちゃに噛み締めちゃった。
展開は「う、うわ、、まさか…まさかそれって……!!」な激動の展開に興奮した(し、お陰で興奮しすぎて夜寝付けなかったりもした)けど、それでも何となく…駆け足というか…都合のいい展開が続く印象はあったかも。
膨大な登場人物の中でとりわけ目立つ、ミケーレやミラベルが、悪い意味で裏表なさすぎてちょっとだけ拍子抜けしたとこもある。どちらもアーロウたちの認識を裏切るって形ではあったけど、そうする役割にしては深堀されずに流れてったなぁ…って。
そういう意味でも、終盤は特に展開がはやすぎるように感じたな……俺でなきゃ見逃しちゃうね…
あっ。あと読後実は一番胸に刺さってるの、犠牲法で幻魚に喰われる最期を迎えたリーアンだった。
あんなに死ぬのが怖いって自暴自棄になって、ミケーレを殺しちゃって八方塞がりな現状前にしても拳銃を引くことができなくて。そんな彼が捕まり、船に載せられ、それでもずっと歌ってた。その姿を想像しただけで、その姿を伝え聞いたアーロウを考えるだけで、途方もなく胸が苦しくなる。
てか、待って?才能はあるけど、誰かに愛され慈しまれることには恵まれず、挙句人の悪意と死の恐怖に絡め取られ、逃げ出したくてもアーロウやマレナたちっていう大切な存在を守るために逃げられなかった、リーアン………。なんて業の深い人生遅らせるんだ多崎礼……。しばらく三日三晩リーアンの人生を思い出して悶え苦しみそう。アーロウだけじゃなくお前も幸せになれ~~くそ~~~幸せになれよ~~~~うわぁ~~~;;
次巻気になって、ちょこっとだけ他の人の感想見たら、「夜明け前が一番暗い」って言われててしょげちゃった。そっか……展開は明るくなさそうね……。
ユリアは真に報われる結果には至らず、テッサは壮絶な最期を迎えさせられ、リーアンの人生はくたびれたおっさん(※神様らしい)の掌の上だった。アーロウでようやく手応えは感じられたのに、それが芽吹くのは100年後だそうだ。そんでその100年後にも報われる日はまだ訪れない…ぽい。
早く革命に命を賭した彼らが報われて欲しいと思うけど、このシリーズが終わってしまうのはさみしいんよなぁ。とりあえず次巻も読もう…。