あらすじ
大人気シリーズ、ベストセラー最新作!
栗原一止は、信州にある「24時間365日対応」の本庄病院で働く内科医である。医師不足による激務で忙殺される日々は、妻・ハルの支えなくしては成り立たない。昨年度末、信濃大学医局からの誘いを断り、本庄病院残留を決めた一止だったが、初夏には恩師である古狐先生をガンで失ってしまう。 夏、新しい内科医として本庄病院にやってきた小幡先生は、内科部長である板垣(大狸)先生の元教え子であり、経験も腕も確かで研究熱心。一止も学ぶべき点の多い医師だ。
しかし彼女は治ろうとする意思を持たない患者については、急患であっても受診しないのだった。抗議する一止に、小幡先生は「あの板垣先生が一目置いているっていうから、どんな人かって楽しみにしてたけど、ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」と言い放つ。彼女の医師としての覚悟を知った一止は、自分の医師としての姿に疑問を持ち始める。そして、より良い医者となるために、新たな決意をするのだった(2014年2月発表作品)。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
神様のカルテは、登場人物の人物像を、詳細に描いてくれるところがいい
挿絵も何もないのに、それぞれの姿が思い浮かぶから、より一層物語に引き込まれてしまう
それにしても未だによくわからないのが、男爵
この人、どうなるんだろう?行く末が気になるので、まだまだシリーズを続けて、いつか男爵の話を進めてもらいたい
Posted by ブクログ
地域医療といわれるものに携わるすべての医療関係者に刺さるのではないか。
そろそろ冬が始まろうとする気配の感じる信濃川上の駅で読み耽り、小海線の中で読み終わった。
進路に悩むいま、神様のカルテを読むと患者さんとの距離が近く長く携われる科に行くべきなのかと思う。
ただ、今日I先生と話す中で人生長いので回り道をした上で慢性期に携わるのもいいのかなと思った。
大狸先生と古狐先生のお見送りのシーンは、電車の中でも涙なしには読めなかった。
「だから、栗ちゃん、俺が言えることはただ一つだ。医者にとって大事なことは"続けることだ"ってな。」
私にとってこの言葉が救いの言葉になるのか、それとも傷を抉る一言になるのか。それは数年たたないとわからないけれど、いまの研修医時代に読み直して大きな勇気をもらったことは忘れないと思う。
そしてこのシリーズを読んで医師を目指し、ずっと消化器内科志望を曲げない大事な友人に心からの尊敬と感謝を。
本人には恥ずかしくて言えないけどね笑
Posted by ブクログ
「看護師が医者に口出しするな」って、言っちゃったね。
思ってても、言わないほうがいいことってあるよね。
看護師さんなしでは、病院はまわらないよ。
看護師さんを敵にまわしてはいけない。
口は災いの元。私も、何か不穏な考えは、思ってても、外に出さないようにしようと心に誓う。
シリーズ3は、泣かしにかかってこなかったのが、すごくよかった。
本が泣かしにかかってくると、泣けるけど冷める感覚ってわかりますか?
大学病院編も読んでみたい。(新章 神様のカルテ)
Posted by ブクログ
本作では、主人公栗原一止が先輩女医小幡の存在や患者とのやりとりを通じて本荘病院を辞し、大学病院に旅立つ話。本作でも、作者夏川草介氏の情緒あふれる情景描写は言わずもがなであるが、それに勝るとも劣らない登場人物たちのセリフや引用などが作品に彩を添える。
解説で姜尚中氏も挙げていた「利便とは時間を測定する働きであり、風情とは時間の測定をやめる働きである」の一文も作者ならではだ。その他にも「〝あせってはいけません。ただ、牛のように、図々しく進んでいくのが大事です″」や「〝人生という冒険を勇敢に闘うよりも、薄暗い思索の沼に浸かっている方が価値があるというつもりかね″」といったセリフたちに心をつかまれるのは私だけだろうか。
本作を読み終えるタイミングで私自身も「学び直し」を迫られていただけに、栗原一止により気持ちを重ねることが出来たのかもしれない。本作のファンの一人として、栗原一止の今後の医師としての成長と人間としての成熟を願わずにはいられない。