あらすじ
日本橋北詰の魚河岸のほど近く、「丸九」という小さな一膳めし屋がある。うまいものを知る客たちにも愛される繁盛店だ。たまのごちそうより日々のめしが体をつくるという、この店を開いた父の教えを守りながら店を切り盛りするのは、今年二十九となったおかみのお高。たとえばある日の膳は、千住ねぎと薄揚げの熱々のみそ汁、いわしの生姜煮、たくわん漬け、そして温かいひと口汁粉。さあ、今日の献立は?しあわせは、うまい汁とめし、そしてほんの少しの甘いもの。おいしくて、にぎやかで、温かい人情派時代小説。
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Posted by ブクログ
中島久枝さん、フードライターとしての識見に、小説家としての切れ味が相まって、読み応え抜群の作品を次々と輩出されています。「一膳めし屋丸九」、2019.4発行、一所懸命の千住ねぎ、心惑わすふきのとう、浮かれたけのこ、意地っ張りの若鮎の4話。一膳めし屋「丸九」のおかみ、29歳のお高が切り盛りする人情時代小説、シリーズ化と思います。期待しています!
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一膳めし屋 丸九 毎日食べても飽きないご飯のお店。店主である料理人はお高。お店にはいろんなことが起きる。くさらずに前向きに生きる彼女が眩しい。
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一膳飯屋が舞台の人情時代小説。
人の体は食べた物でできている。
よく聞く言葉だけど真実だなぁと感じる。
贅沢でなくても丁寧に作られた物を丁寧に味わう。簡単なようでいてなかなかに難しい。
作中で『食べる時にはその人間の素地がでる』とあったが、今私の食事風景を見たらお高さんはどんな風に思うのだろう。ちょっと気になった。
Posted by ブクログ
大きな出来事はないけれど、昔から続く庶民の暮らしの一場面を見ているようで、癒される小説だった。
家庭的なお料理の美味しさが伝わってくるし、旬のものが食べたくなる。お高ちゃんが、料理上手の素敵な女性で、親近感が湧く。素敵な男性と出会うのかな?今後の展開が楽しみ。
Posted by ブクログ
江戸で、一膳めし屋を商う若い女主人。
高田郁のみおつくしシリーズを思い起こさせる。
季節の食材を入れたタイトルの話が4話、ちょっとした事件というか問題が起きて、それがタイトルの食材を盛り込みうまく一話完結という形になっている。
女主人と店の奉公人、店の常連客、それらを取り巻く人々・・・
みおつくしと違うところは、主人公や、周りの人々に悲しい過去や因縁めいた深い事情がないところ。
ただただ、おいしいものを食べてもらいたいという気持ちは同じだが、深い事情がないこちらは、ストーリーに深みがないというか、一話が終わったら完結なので、次に話が続かず全体の流れが途切れてしまう。
シリーズであるらしいが、何か惹きつけるものはあるかな。